国指定重要文化財(建造物) うしひこじんじゃほんでん 宇志比古神社本殿
所在地 | 大麻町大谷字山田六六 宇志比古神社 |
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時代 | 安土桃山~江戸時代 |
指定年月日 | 2000(平成12)年12月4日 |
宇志比古神社は、かつて当地に石清水八幡宮の荘園があったので、八幡神が勧請されたものと考えられている。江戸時代には八幡宮と称しており、明治になって宇志比古神社と称することとなった。
本殿は三間社流造であるが、前面の縁が庇柱まで張り出す変則的な形式としている。現在の木階はある時期に改造された後の姿で、建築当初は庇中央間に登高欄付の木階が取りついていたと復原できる。身舎梁間(本体部分の奥行)は二間で、内部を前後に内外陣に分け、内外陣境の各間に板扉を構え、内陣には三基の宮殿を安置する。身舎正面(外陣正面)は、三間とも格子戸とし、外陣を比較的開放的な空間としている。庇柱は角を落とした面取角柱で、組物の肘木及び桁にも面取りを施し、中世末期から近世初期の様相を示している。また、部材表面に槍鉋(現在の台鉋以前に使用されていた古い形式の鉋)や丸刃の手斧を使用した痕跡が認められる点でも古式である。
本殿には一五九九(慶長四)年、一六三五(寛永一二)年、一七〇四(宝永元)年の棟札が残り、本殿は慶長四年に建てられ、寛永一二年と宝永元年に修理されたことがわかる。彫刻など細部装飾には慶長四年より新しい様式のものがあり、これらは寛永や宝永の修理の際に取り替えられたものの可能性がある。建築年代が明確な徳島県下最古の神社建築として貴重な存在である。
参考文献
『徳島の文化財』 徳島県教育委員会 徳島新聞社 平成一九年三月三一日発行 P39