渦の国 鳴門
~ 魅力あふれる鳴門の街 ~

国指定重要有形民俗文化財 なるとのせいえんようぐ 鳴門の製塩用具

所在地 撫養町南浜字東浜一七〇 鳴門市(徳島県立博物館)
指定年月日 1967(昭和42)年6月17日

波の穏やかな砂浜であり、潮の干満の差が大きいという塩作り(とりわけ、入浜式塩田)に適した条件を有する鳴門では、慶長年間(一五六九~一六一五)に最初の塩田が開かれている。徳島藩の保護奨励のもと、斎田塩の名は全国に知られるようになり、塩はまさに地域経済の要に位置づけられ、江戸時代末には五〇〇町歩ほどの塩田が徳島藩内で経営されるに至っている。明治末からの外国塩の輸入、さらに、昭和二〇年代ごろからの流下式塩田への転換、昭和四〇年代のイオン交換膜法の導入によって、入浜式塩田は廃止された。
製塩用具一四三点は、入浜式塩田で使用されたもので、塩の満ち引きによって海水を塩田に取り込み、濃い塩水である鹹水を作る塩田作業で使用された五〇点、釜屋で鹹水を煮詰める煎熬作業で使用された三八点、浜屋が用いた炊事道具など五五点からなる。これら製塩用具は、鳴門製塩組合が収集したもので、瀬戸内海沿岸の「十州塩田」における製塩を知る上で重要なコレクションである。鳴門の他には、山口県防府と兵庫県赤穂の製塩用具が、国の重要有形民俗文化財に指定されている。

参考文献

『徳島の文化財』 徳島県教育委員会 徳島新聞社 平成一九年三月三一日発行 P259

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