渦の国 鳴門
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国指定重要文化財(彫刻) もくぞうみろくぼさつざぞう 木造弥勒菩薩坐像

所在地 大麻町字大谷字山田五九 東林院
時代 平安時代
指定年月日 2002(平成14)年6月26日

東林院本堂内の向かって右側に安置される、ヒノキ材寄木造、像高九六・六cmの坐像である。臂を曲げて両手を前方へ出し、掌を前にして両手ともに第一指と第三指を捻じるという珍しい印相を示す。
かつては高野山北室院に宝冠阿弥陀如来として祀られていた像であり、江戸時代になって東林院に移されたことが、台座蓮肉部の墨書によって判明している。
顔だちは、平安時代後期の像らしく優しく穏やかであるが、その中に鎌倉時代的なシャープさを合わせ持つ。特筆すべきなのは結跏趺坐する両脚部の柔らかな衣文表現で、とくに両足裏の真ん中をわたる天衣などには、木を彫りこんだとは思えないような、塑像や乾漆像を思わせるタッチが示されている。
なお、指定名称は弥勒菩薩となっているが、現状の印相からだけでは尊命の特定は難しい。

参考文献

『徳島の文化財』 徳島県教育委員会 徳島新聞社 平成一九年三月三一日発行 P120

位置図

うずひめちゃん
うずしおくん