渦の国 鳴門
~ 魅力あふれる鳴門の街 ~

国指定名勝 なると 鳴門

所在地 鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池、字大毛
指定年月日 昭和6年2月20日

文化財の概要

逆巻く渦潮で知られる名勝「鳴門」は、古くは『日本書紀』や『土佐日記』で「あはのみと(阿波の水門・粟門)」として登場する。『後撰集』を始め和歌にも詠み込まれて「鳴門」が次第に定着し、江戸時代には北斎、広重等の浮世絵で紹介されるなど名所としての地位が確立した。近代以降、本格的に観光開発された。

渦潮という絶妙な自然現象は、後氷期の地形と、海峡の両側での干満の時差により生じる潮流がもたらした。鳴門市大毛島の孫崎から兵庫県淡路島の門崎にかけては、白亜紀和泉層群の堅い砂岩層が、南西−北東方向に突出し、鳴門海峡を形成する。海底を約一四〇〇mにわたって横断する砂岩層は、中瀬波石などの暗礁群を形成し、紀伊水道と瀬戸内海(播磨灘)の海水の移動を遮る。潮汐に伴う播磨灘への海水の移動は、紀伊水道−明石海峡経由と豊後水道経由、どちらも数時間を要する。結果、鳴門海峡を挟んだ播磨灘と紀伊水道の潮位差は、一km足らずの距離で、干満の差とほぼ同じ一・五mとなり、時速一四~二〇kmで流れ込む潮流のジェットが渦を発生させ、海の難所となる。引き潮時には紀伊水道側に渦が生じる。潮流による浸食は海底にも及んでおり、海峡の両側には、海釜と呼ばれる最大水深が一六〇mと二一〇mを超える二つのすり鉢型の凹地形ができている。

一九八五(昭和六〇)年、大鳴門橋の完成で大きく様変わりしたが、自然景観と人工景観の調和が新たな魅力となっている。

参考文献

『徳島の文化財』 徳島県教育委員会 徳島新聞社 平成一九年三月三一日発行 P338

位置図

うずひめちゃん
うずしおくん