鳴門市における陸上風力発電のゾーニング(適地評価)結果について

鳴門市では、多様な地域内外の関係者と協議を重ねることで、陸上風力発電の“立地の可能性”について、検討を進めてきました。

 

美しい自然や豊かな歴史・文化に彩られた環境を、次世代に引き継いでいくためには、こうした環境を保全していくことはもちろん、一方で再生可能エネルギー(以下 再エネ)の導入を図ることで、地域環境に影響をもたらす温暖化を抑止していくことが、今後増々求められていくと考えられます。

 

そのため、風況の優れた鳴門市では、再エネの推進を図りながらも、一方で導入による影響を最小化するという両立を果たすことを目指して、手始めに、地域環境に十分配慮した陸上風力発電の導入可能な場所を見つける“ゾーニング(適地評価)”を進めてきました。以下に、その評価結果を公表します。

図1 ゾーニング(適地評価)の結果

 

1.策定背景

年々、深刻化する温暖化の影響は、地域の自然環境や生活に影響を及ぼし始めています。こうした温暖化を抑止し、かつ地域のエネルギー自立につながることからも、近年、太陽光や風力といった再エネに注目があつまっており、今後もその普及拡大が期待されています。一方で、過度な開発による自然環境への負担も懸念されることから、地域の自然や風土を大きく損なわない、バランスの取れた開発を進めていくことが求められています。

 

鳴門市においては、太陽光や風力などの自然エネルギー資源が豊富である一方で、瀬戸内海国立公園をはじめとした豊かな自然環境に恵まれており、こうした環境と調和した再エネの導入が求められます。

 

また本市では、『第4次鳴門市地球温暖化対策実行計画』にもとづき、「再生可能エネルギー導入計画」策定の一環として、陸上風力の導入ガイドラインを策定することになっています。こうした背景から、地域の自然・社会環境と調和した再エネの最大限の導入を図る計画を策定するために、まずは導入の適地があるかを判断する適地評価(ゾーニング)を、地域内外の有識者を交え検討することとしました。

2.趣旨・目的

本ゾーニングは、地域の自然・社会環境に過度な負担を与えない再エネ(陸上風力)の立地可能な場所を明確にするものです。これを活用することにより、

(1) 地域の自然・社会環境と調和した再エネ(陸上風力)の導入を図る、鳴門市の計画の策定を促します。

(2) 地域での事業計画において、事業者と地域住民がよりよい開発になるような対話を促します。

 

もって、地域が豊かになる再エネの導入を促すことを目的としています。

3.検討主体・期間

検討主体

地域の自然・社会環境への配慮の観点にくわえ、事業の可能性を有する立地場所を模索する観点からも、異なる見識をもつ多様な関係主体により、ゾーニングの検討・評価を行うことが望ましいと考えられます。そのため、以下の4団体を中心に、地域内外の幅広い有識者・住民の協力を経て、検討を行いました。

  • 鳴門市(自治体)
  • 徳島地域エネルギー(事業者)
  • エコみらいとくしま(環境団体)
  • WWFジャパン(環境団体)

 

検討期間

2014年6月 ~ 2017年3月

 

4.ゾーニングの評価結果

本ゾーニング(適地評価)の結果を上図に示します(図1)。

自然環境・社会環境への負担度合に応じて、主に以下の3段階で表示されます。

  • 図中の赤色の場所 = 原則開発不可とするべき場所(レッドゾーン)
  • 図中の橙色の場所 = 極めて慎重な開発検討を要する場所(オレンジゾーン)
  • 図中の黄色の亜所 = 慎重な開発検討を要する場所(イエローゾーン)

なお、本ゾーニングの結果(図1)を得る過程で、別途10個の評価検討を行っています。

これは、風力発電の立地にともない発生が想定され得る10種類の影響面(景観、騒音、バードストライクなど)に対し検討を行ったもので、これら個別の影響についての評価結果を全て重ね合わせたものが、上図の最終的なゾーニングの評価結果(図1)となります。(以下イメージを参照)

図2 ゾーニング(適地評価)のイメージ

本ゾーニングの最終的な評価結果、ならびに、その過程での各影響に対する評価結果については、以下の表で確認ができます。また、全ての評価の検討経緯については、付属の「根拠資料」から参照できます。

 

  レッドゾーン
(原則として立地不可とすべき地域)
オレンジゾーン
(極めて慎重な検討を要すべき地域)
イエローゾーン
(慎重な検討を要すべき地域)
評価図 根拠資料
最終的な
ゾーニング結果
以下全てのレッドゾーンを重ねた場所
(以下の個別の影響評価において、一つでもレッドゾーンであれば、レッドゾーンの表記とする。)
以下全てのオレンジゾーンを重ねた場所
(レッドゾーンを除き、以下の個別の影響評価において、一つでもオレンジゾーンであれば、オレンジゾーンの表記とする。)
以下全てのイエローゾーンを重ねた場所
(レッドゾーン、オレンジゾーンを除き、以下の個別の影響評価において、一つでもイエローゾーンであれば、イエローゾーンの表記とする。)

(1)全域

(2)阿讃山脈中央部

概要

(統合) ↑

個別の影響評価項目 レッドゾーン
(原則として立地不可とすべき地域)
オレンジゾーン
(極めて慎重な検討を要すべき地域)
イエローゾーン
(慎重な検討を要すべき地域)
 評価図 根拠資料
1 災害 (1)砂防指定地
(2)地すべり防止区域
(3)急傾斜地崩壊危険区域
(4)土砂災害特別警戒区域
(5)保安林地区
(1)土石流危険渓流
(2)土石流危険区域
(3)地すべり危険個所
(4)急傾斜地崩壊危険個所
(5)土砂災害警戒区域
(6)崩壊土砂流出危険地区
(7)山腹崩壊危険地区

(1)市北西部

(2)市北東部

(3)市南西部

(4)市南東部

災害
2 騒音 (1)阿讃山脈近郊の住宅地
ならびに、主要な学校・
病院・福祉施設等から
半径600m
 

(1)市北西部

(2)市北東部

(3)市南西部

(4)市南東部

騒音・シャドウフリッカー

3 シャドウフリッカー
4 景観 (1)阿讃山脈南陵
(2)国立公園(全域)
(1)県立自然公園(全域)  

(1)市北西部

(2)市北東部

(3)市南西部

(4)市南東部

景観
5 バードストライク (1)渡り鳥のうち、特にサシバ・ノスリの秋季の渡りの飛翔密度が高い場所 (1)渡り鳥の秋季・春季の渡りの飛翔密度が高い場所(左記を除く) (1)渡り鳥の秋季・春季の渡りの飛翔密度が高い場所の周辺500m  

(1)市北西部

(2)市北東部

(3)市南西部

(4)市南東部

バードストライク
6 動植物 (1)阿讃山脈ならびに周辺における重要種の生息域
(2)鳥獣保護区
(1)阿讃山脈ならびに周辺における重要種の生息地に影響を与え得る場所 全域 動植物
7 構造物損壊 (※) 構造物損壊
8 資産価値 資産価値
9 文化 文化
10 地場産業 地場産業

(※)7~10(構造物損壊、資産価値、文化、地場産業)については、評価検討の結果、レッドゾーン、オレンジゾーン、イエローゾーンを設けないこととなった。そのため評価図はない。

 

5.本ゾーニングについて

(1) 本ゾーニング評価については、今後、鳴門市が再エネ導入計画を策定する上で参考とする、重要見解として位置付けるものとなります。そのため、同導入計画の策定前後に関わらず、市内で事業を計画する者に対しも、その評価内容を、尊重することを求めます。

(2) 本ゾーニング評価、ならびに掲載の関連資料については、個別の事業の成否を保証・担保するものでないことに注意してください。

(3) 本ゾーニング評価は、上記検討期間において評価を行ったものです。そのため、今後の周辺環境の変化や、地域の開発に対する見解が変わる場合には、この評価内容が必ずしも適用できないことに注意して下さい。

お問い合わせ

環境共生部 環境政策課
TEL:088-683-7571

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