平成30年鳴門市議会第2回定例会

◆ 目 次

(1)はじめに

(2)鳴門駅周辺整備事業について

(3)「産直施設」と「交流拠点施設」の整備・連携について

(4)訪日外国人誘客に向けた取り組みについて

(5)NARUTOスポーツパス事業について

(6)本庁舎の整備について

(7)生活支援体制整備事業について

(8)ボートレース事業について

(9)水道事業について

 

(1)はじめに

 本日、第2回定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、公私何かとご多忙中にもかかわりませず、ご出席を賜り、誠にありがとうございます。

 今期定例会におきましては、補正予算案を始め、各種議案を提出いたしておりますが、これらの議案説明に先立ちまして、まずは、諸般の報告と現在本市が当面している諸課題についての所信を申し上げ、議員の皆様を始め、市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 

 まず、職員の不祥事について、ご報告申し上げます。

 既に、報道等で大きく取り上げられましたが、先月、本市の消防職員が、飲酒運転で自損事故を起こすという事案がございました。

 この職員につきましては、市の懲戒処分の基準に則り、停職6か月とし、さらに1階級降任の処分といたしました。また、管理監督責任の立場にあった3名を文書訓告処分としたところであります。

 交通法規を遵守すべき立場にある公務員として、あってはならない不祥事を引き起こしたことについて、深くお詫びを申し上げます。

 今回の事案を受け、消防長から消防職員に訓示を行うとともに、全職員に文書を送付するなど、法令遵守の徹底と綱紀粛正を図ったところであります。

 こうした事案が再び起こることのないよう、より一層気を引き締め、市民の皆様の信頼回復に努めてまいります。

 

 次に、市の鳥「コウノトリ」の近況についてであります。

 本年3月に大麻町で誕生したコウノトリの雛2羽の愛称につきまして、4月に公募したところ、市内外から134件のご応募を頂きました。

 選定の結果、今年はベートーヴェン「第九」交響曲がアジアで初めて演奏されてから、100年目の節目の年にちなんで、それぞれ「歌」(うた)と「百」(もも)に決定いたしました。

 5月22日には「歌」が、24日には「百」が、それぞれ無事に巣立ちを迎えており、6月1日付で特別住民票を交付したところであります。

 昨年生まれた「蓮」・「なる」の2羽とともに、全国へ鳴門市をPRしてくれることを大いに期待しております。

 今後も、「コウノトリが選んだまち鳴門」の注目度を生かした各種施策を展開し、地域活性化、産業振興を一層推進してまいります。

 

 次に、「鳴門市チャレンジデー2018」の結果及び「なると島田島ハーフマラソンwith吉本新喜劇」の開催についてであります。

 去る5月30日に「鳴門市チャレンジデー2018」を開催いたしましたところ、早朝から夜間まで37,235人の皆様に、思い思いの運動やスポーツに取り組んで頂きました。

 9回目の参加となりました今回は、「第九」アジア初演100周年記念事業として、また、対戦相手をコウノトリの生息地で有名な兵庫県豊岡市との「コウノトリダービー」として実施いたしました。

 今年は、鳴門市スポーツアドバイザーの里崎智也さんが各会場を訪れたほか、「第九」や「コウノトリ」をテーマとした展示会や抽選会を開催するなど、大いに盛り上がりを見せたところであります。

 当日はあいにくの雨となりましたが、本市におけるチャレンジデーの参加率は63.6%となりました。残念ながら勝利することはできませんでしたが、各会場における皆様の笑顔を拝見し、取り組みの成果を感じております。

 この度、ご参加を頂いた皆様を始め、運営にご尽力頂きました協力団体並びに関係者の皆様に対しまして、この場をお借りして、改めてお礼申し上げます。

 

 次に、同じく100周年記念事業として、昨年に引き続き、「なると島田島ハーフマラソンwith吉本新喜劇」を10月28日に開催する運びとなりました。

 詳細は来月3日に記者会見を開き、発表いたしますが、自然を満喫しながらスポーツと笑いを堪能できるランニングイベントとして、昨年以上に賑わいを創出してまいりたいと考えております。ぜひ多くの皆様がご参加くださいますよう期待しております。

 

 次に、仮設図書館の開設についてであります。

 現在、市立図書館につきましては耐震改修工事を行うため、本年6月から休館とさせて頂いておりますが、市民の皆様へのサービス確保の観点から、来月から来年3月末まで、水道会館西側の旧教育委員会棟で仮設図書館を開館いたします。

 耐震改修工事とあわせて利便性の向上が図られるよう、来館者専用エレベーターの新設やトイレの改修を行い、来年5月にリニューアルオープンする予定としておりますので、市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

 次に、「第九」アジア初演100周年記念事業についてであります。

 去る5月27日に鳴門市文化会館において、ベートーヴェン「第九」のアジア初演100周年記念事業の幕開けとなる「子どもと大人のベートーヴェン『第九』交響曲第4楽章演奏会」を開催いたしました。

 第1部では、鳴門市在住の児童文学作家くすのきしげのり氏の絵本「交響曲『第九』歓びよ未来へ!~板東俘虜収容所 奇跡の物語」を私が朗読させて頂き、演奏会が始まりました。

 徳島交響楽団ジュニアオーケストラの演奏に合わせ、市内小学校4校の児童185人と認定NPO法人鳴門「第九」を歌う会のメンバー95人が、大人と子どもの心地よいハーモニーを奏でながら歌い上げ、大人から子どもへ「歓喜」を繋ぐ演奏会となりました。

 そのほか第2部では、板東俘虜収容所の史実がよりわかりやすく描かれた映画「バルトの楽園」を上映し、100周年の幕開けを飾りました。

 次に「第九」の全楽章が板東俘虜収容所で演奏されてからちょうど100年目となる6月1日に、ドイツ兵子孫の方々や松江豊壽所長のご親族のほか、国内外の関係者をお招きし、記念式典及びレセプションが盛大に開催されました。

 ドイツ兵子孫の方からの心温まるご寄贈や功績のあった方への感謝状の贈呈など、これまでの100年を振り返り、これからの100年へと繋がる意義ある集いとなりました。

 また、ドイツ館前広場においては、松江豊壽銅像建立実行委員会からの銅像の寄贈及び除幕式が執り行われ、松江所長の銅像が見守る中、初演の「第九」演奏会を再現した「よみがえる第九」演奏会が開催され、約1,200人の聴衆で埋め尽くされました。

 演奏会は、関西学院グリークラブと認定NPO法人鳴門「第九」を歌う会、テレマン室内オーケストラの皆様により、当時の規模・開始時刻に合わせて男性のみの合唱団で歌われました。

 100年の時を超え、「第九」アジア初演の様子が現代によみがえり、当時の収容所の姿を平和のシンボルとして世界に発信することができました。

 さらには、6月2日及び3日の2日間に渡り、鳴門市文化会館において、第37回「第九」交響曲演奏会を開催し、両日とも会場満席となる延べ約2,600人の観客にご来場頂きました。

 演奏会指揮者には、ドイツ・リューネブルク市立劇場音楽監督のトーマス・ドーシュ氏を迎え、合唱団にはドイツ・アメリカ・中国からもご参加を頂きました。

 演奏会後には、国内外の多くの観客から割れんばかりの拍手喝采が約8分間におよび鳴り響くなど、100周年にふさわしい国際色豊かで盛大な演奏会となりました。

 この秋頃には、ドイツ館周辺での美術工芸展覧会などの「第九」アジア初演100周年記念事業を引き続き予定するなど、「第九」アジア初演から100年におよぶ歴史の祝祭とすることはもちろんのこと、さらに発展的に成長させていくことのできる機会を創出してまいりたいと考えております。

 特に、「ベートーヴェン『第九』交響曲」に象徴される友愛の歴史を基本とする様々な事業は、これから後、次世代を担う子どもたちが100年続いてきたこの歴史に誇りを持ち、次の100年へと繋げていく力を持てるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 

 次に、本市を取り巻く社会経済情勢とその対応についてであります。

 最近の社会経済情勢について概観いたしますと、内閣府の5月の月例経済報告の基調判断では、4月同様、「景気は、緩やかに回復している。」とのことであります。

 また、8日に発表された1月から3月期のGDP2次速報値では、前期比年率換算で0.6%減となり、9四半期ぶりのマイナス成長となりました。

 景気の先行きにつきましては、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があるとされております。

 このような状況の中、本市といたしましては国や県の動向などを注視しつつ、様々な状況に対応できるよう、効率的かつ効果的な事業展開を図っているところであります。

 特に、平成27年5月に策定しました「鳴門市スーパー改革プラン2020」につきましては、計画期間が半ばを過ぎたところでありますが、基金残高を始め、財政指標におきまして概ね計画どおり推移いたしております。

 しかしながら、「自立的で持続可能な行財政システムの確立」に向け、手綱を緩めることなく、具体的取り組み項目に位置づけた各事業の推進を図るため、より一層スピード感を持って取り組んでまいります。

 

(2)鳴門駅周辺整備事業について

 次に、新たな成長・活性化に繋げるための「なると未来づくり総合戦略」等に基づく交流人口の増加に資する取り組みにつきましても、鳴門の持つポテンシャルを最大限に発揮しながら事業の具体化を図ってまいりたいと考えております。

 まず、鳴門駅周辺整備事業については、施設の老朽化や景観、駅の東西を繋ぐ利便性や駐輪場の確保などの課題に対応するため、平成27年度から、国の交付金を活用して、段階的に整備を進めてまいりました。

 5月には、駅前ロータリーの改修工事を終え、駐輪場やバス停などにつきましては、既に、市民の皆様にご利用頂いております。

 残る施設のうち、駅舎北端の「観光案内所」及びバス停に隣接する「足湯」につきまして、今期定例会に公の施設の設置及び管理に関する条例案を上程するとともに運営費用に係る補正予算案を提出いたしており、必要な準備を経て供用を開始したいと考えております。

 「まちの顔」として多くの方に利用される鳴門駅前におきまして、観光案内及び憩いの場を提供することによりまして、利便性の向上と魅力アップに繋げてまいります。

 

(3)「産直施設」と「交流拠点施設」の整備・連携について

 次に、「産直施設」と「交流拠点施設」の整備・連携についてであります。

 現在、JA大津松茂では生産者の所得向上を目的に、生産者や消費者からのニーズが高い常設の「産直施設」開設の取り組みを進めており、今年度、設計及び建築工事に着手する予定と伺っております。

 本市におきましても、今後、「四国のゲートウェイ化推進事業」として、「産直施設」の隣接地に「交流拠点施設」を整備し、連携を図ることで、相乗効果を生み出し、産業振興や交流人口の増加等、地域の活性化に繋げてまいりたいと考えております。

  こうしたことから、JA大津松茂が実施する「産直施設」の建設事業につきまして、財政支援を考えております。

今後も、関係機関等と連携しながら、本市が名実ともに魅力ある四国の玄関口となるよう取り組みを進めてまいります。

 

(4)訪日外国人誘客に向けた取り組みについて

 次に、訪日外国人誘客に向けた取り組みについてであります。

 去る5月23日、本市の豊かな自然や観光資源、イベント等の情報を世界へ発信するとともに、訪日外国人誘客施策の検討に活用するため、株式会社DMoX並びにNIPPON Tablet株式会社との連携協定を、四国で初めて締結いたしました。

 世界に360万人以上の登録者を持つ会員制交流サイトに対し、定期的な情報発信を行うほか、無償貸与されたタブレット端末を市役所やドイツ館、観光案内所などに設置し、7か国語に対応する通訳サービスの実証実験を展開してまいります。

 官民連携の新たな取り組みのもと、SNSでの情報発信や訪日外国人の受け入れ態勢の充実に努め、鳴門の魅力をさらにPRしてまいりたいと考えております。

 

(5)NARUTOスポーツパス事業について

 次に、NARUTOスポーツパス事業についてであります。

 「第九」や「渦潮」、「鳴ちゅるうどん」など本市が誇る地域資源とスポーツを組み合わせ、戦略的に地域・経済の活性化を図るため、NARUTOスポーツパス事業を実施することといたしました。

 このNARUTOスポーツパス事業とは、本市をスポーツで訪れた方に対し、観光パンフレットを配布するとともに、観光施設や土産物店、鳴門うどん店での割引などの特典が受けられるパスポートを発行するものであります。

 今後におきましても、スポーツで鳴門を訪れた方に本市の魅力を満喫して頂くとともに、スポーツを通じた地域活性化の取り組みを進めてまいります。

 

(6)本庁舎の整備について

 次に、本庁舎の整備についてであります。

 現在、新庁舎の基本計画策定に向けた取り組みを進めるため、有識者8名で構成する「鳴門市新庁舎建設基本計画検討委員会」を6月5日に立ち上げ、第1回の検討委員会を開催したところであります。

 今後、基本計画の柱となる基本理念や基本方針、また、建設場所や施設規模などの基本計画策定に必要な各種事項の検討を行って頂くこととしております。

 また、並行して実施予定のワークショップ形式の市民会議や市民アンケート調査、さらには議員ワークショップなどで頂いたご意見やご要望を検討委員会の中で議論・検討して頂きながら、基本計画の素案をまとめることとしております。

 今後につきましては、より良い基本計画が策定できますよう、鋭意、スピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。

 

(7)生活支援体制整備事業について

 次に、生活支援体制整備事業についてであります。

 少子高齢化が進む中、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる体制づくりを進めていくことは、本市における大きな課題の一つだと認識しております。

 現行の介護保険制度は、高齢者の要介護状態に視点を置き、サービス提供をしておりますが、ちょっとした見守りや日常の生活支援を必要とする高齢者を支援していくためには、地域住民や高齢者同士の助け合い、有償ボランティアといった多様な主体による生活支援サポートが必要であります。

 これまで、「公益財団法人さわやか福祉財団」との連携により、フォーラムや勉強会等を通じて、市民の皆様の熱意や活動に向けた手ごたえを感じており、本市といたしましても、生活支援サービスを提供する拠点の整備と運営に係る費用を支援するため、今期定例会で必要な補正予算案を計上しているところであります。

 今後も高齢者を始め、誰もが気軽に集える居場所があり、様々な住民主体の介護予防が行われ、住民同士の日常的な助け合いが行われるような地域づくりを目指してまいります。

 

(8)ボートレース事業について

 次に、ボートレース事業についてであります。

 ボートレース鳴門では、平成28年4月のリニューアルオープン以来、健全経営の確立を図るとともに、「温浴施設」の誘致や各種施設を市民に開放するなどの地域貢献やスポーツ・文化の発信拠点として取り組んでまいりました。

 先般、ボートレース振興会から、これらの取り組みが特別に認められ、「ボートレースパーク化」のモデル事業として選ばれたことにより、ボートレース場から総合レジャー施設として、地域との共生を目指したレース場となるよう、さらに整備を進めているところであります。

 その一環として推進している「プレイパークエリア整備事業」につきましては、先月、桑島テニス場5面を人工クレーコートに改修し、愛称を「なるちゃんコート」としてリニューアルオープンいたしました。

 また、本場周辺には、ボートレース振興会のご協力を頂き「スケートボード場」を初めとして、「バスケットボールコート」や「サイクルステーション」等の整備も行っており、今秋の完成を目指しているところであります。

 こうした新しいスポーツコミュニティスペースとして利用頂くことで、ボートレース鳴門に親しんで頂くとともに、本場周辺の賑わいづくりと市民の健康づくりを推進してまいります。

 また、イベント企画では、今年度から子供に人気のある映画を上映する「ボートシネマ」や、7月28日から8月上旬までの間、屋内外に、全国的に人気のある「ボーネルンド」製の知育玩具を設置するなど、多くのファミリーに楽しんで頂けるイベントを計画しておりますので、こちらも多くのお客様にお楽しみ頂きたいと考えております。

 一方、収益の確保策として、今年度は、電話投票の売上向上を図るため、4月中旬から薄暮レースを開催するとともに、9月22日からはモーニングレースを予定しており、さらなる収益率の向上に努めているところであります。

 概算ではありますが、リニューアル後の経営の合理化と収益確保策が功を奏し、平成29年度につきましても一般会計への繰り出しを合わせると約18億円の利益が見込まれる状況となっております。

 今後におきましても新たなチャレンジを行うことにより、安定的な経営と本市のランドマークとして地域に貢献できるボートレース鳴門となるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 

(9)水道事業について

 最後に、水道事業についてであります。

 水道事業における料金改定に向けた取り組みといたしましては、去る5月30日に学識経験者や公募市民などで構成する「水道事業審議会」において答申を頂いたところであり、この答申の内容につきまして、今期定例会でご報告をする予定としております。 

 水道事業の経営状況や審議会の答申内容につきましては、市民の皆様にご理解頂けるよう、今後も各種団体等に対する説明会や広報紙等を通じた周知に努めてまいります。

 将来にわたり、安全で安心な水道水を安定して供給できるよう、「鳴門市水道事業ビジョン」に基づき、水道料金改定を含めたさらなる経営改善に努めて参りますので、議員の皆様を始め、市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

 引き続き、「第六次鳴門市総合計画」や「なると未来づくり総合戦略」を柱とした各事業の具体的展開を図り、さらなる地域活性化に向けた取り組みを推進してまいります。