平成27年鳴門市議会第2回定例会

■目 次 

(1) はじめに  

(2) 最近の社会経済情勢について 

(3) 行財政改革について 

(4) 子育て支援等の充実について 

(5) 地域経済活性化について 

(6) 観光振興について 

(7) 「なると第九」アジア初演ブランド化プロジェクトについて 

(8) 鳴門駅周辺整備事業について 

(9) 防災・減災対策の推進について 

(10) ボートレース事業について 

(11) まちづくりエリアについて 

 

(1)はじめに

 本日、第2回定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、公私何かとご多忙中にもかかわりませず、ご出席をいただき、誠にありがとうございます。

 今期定例会におきましては、補正予算案を始め、各種議案を提出いたしておりますが、これらの議案説明に先立ちまして、まずは、諸般の報告と現在本市が当面している諸課題についての所信を申し上げ、議員の皆様を始め、市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 まず初めに、明るいニュースとしてお伝えしたいのが、鳴門西地区の児童生徒で消防活動をしております、「うずしお少年少女消防クラブ」が、7月にポーランドで開催される「ヨーロッパ青少年消防オリンピック」の日本代表チームに選出されたことでございます。

 同クラブの鳴門中学校2年生5人が日本代表メンバーとして、現地で消火活動を取り入れた競技に参加することになっております。ぜひ、日頃の活動の成果を存分に発揮できるよう活躍を期待するとともに、現在、鳴門西地区と大津地区の市内2地区で活動している同クラブが、これを機に、さらに多くの地区においても発足し、各地区の児童生徒が防災知識を深めることで、将来の地域防災を担える方が増えていくよう期待しております。

 次に、大麻町に飛来しております、国の特別天然記念物コウノトリについてであります。一度は台風第6号の影響により、巣がほとんど無くなりましたが、13日に巣作りを再開し、現在は雌雄2羽で過ごす様子がたびたび目撃されております。

 本市といたしましては、幸せを運ぶといわれる、このコウノトリが居付いてくれますよう、皆様へ静かな見守りをお願いいたしますとともに、今月21日に発足いたしました「コウノトリ定着推進連絡協議会」の中で、関係団体等と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

 そして、昨日27日には、大鳴門橋開通30周年記念として「鳴門市チャレンジデー2015」を開催し、3万295人の皆様に、思い思いの運動やスポーツに取り組んでいただきました。

 市民の皆様に、スポーツに親しみ、健康づくりにつなげていただく機会を提供するための住民総参加型イベントとして、今回で6回目の参加となりましたが、当日は幸い天候にも恵まれ、今年の対戦相手である岐阜県土岐市に見事勝利することができました。

 今年度、新たな取り組みとしては、元プロ野球選手の里崎智也(さとざきともや)さんを「鳴門市スポーツアドバイザー」の第1号として委嘱し、スポーツ少年団を対象とした野球教室を開催するなど、スポーツがもたらしてくれる充実感や達成感を、多くの市民の皆様に感じていただけたものと考えております。

 本イベントにご参加をいただいた皆様を始め、運営にご尽力いただきました協力団体並びに関係者の皆様に対しまして、この場をお借りして、改めてお礼申し上げます。

 今後におきましても昨年策定いたしました「鳴門市スポーツ推進計画」に基づき、誰もがそれぞれの目的に応じて、スポーツに親しむことができる「生涯スポーツ社会」を実現するため、スポーツを通じた健康づくりや地域づくりに向けた様々な取り組みを進めてまいりたいと考えております。

 次に、今月10日には、「鳴門市戦没者追悼式・平和を考える市民のつどい」が、盛大かつ厳粛に執り行われ、戦後70年の節目を迎えた今年は、昨年より多い約600人のご参加をいただいたところでございます。

 当式典は、かつての戦争を経験された世代の皆様が年々少なくなる中で、戦争の悲惨さや平和の尊さを末永く後世に語り継ぐため、平成25年度から、追悼式のあとに第2部として「平和を考える市民のつどい」を開催しており、今年は、第一中学校生徒会が制作した人権劇の上映や平和を祈る歌の合唱などを行いました。

 ご遺族や関係団体の皆様を始めとして、様々な世代の皆様にご参加をいただき、恒久的な平和の実現に向けて共に考え、共に祈念する、貴重な機会になったと実感しております。

(2)最近の社会経済情勢について

 さて、最近の社会経済情勢について概観いたしますと、景気の先行きにつきましては、4月の月例経済報告の基調判断は、3月同様、「景気は、企業部門に改善がみられるなど、緩やかな回復基調が続いている」とのことであります。しかしながら、海外景気の下振れなど、我が国の景気を下押しするリスクに留意する必要がある状態となっております。

 国においては、政府が夏頃にまとめる財政健全化計画について、平成32年度にプライマリーバランス、いわゆる基礎的財政収支の黒字化に向けた各種施策の取り組みには、経済成長による税収増や歳出削減を柱としているほか、さらなる追加対策も検討されており、地方経済や国民生活への影響も不透明な状況であります。

 本市といたしましては、国の動向や地方経済などを見極めつつ、適切な対応に努めていく必要があると考えております。

 本市の目指すべき方向性につきましては、第六次鳴門市総合計画に掲げる将来都市像を実現するため、本市経済の活性化と行財政改革を柱とし、定住人口の確保や交流人口の増加、雇用の確保、産業の振興など、市全体の基礎体力を培う地域活性化施策について、全力で取り組んでいく必要があると考えております。

 まず、地域活性化に関しましては、「まち・ひと・しごと創生法」により国が示した「総合戦略」や「長期人口ビジョン」等を勘案し、平成27年度から31年度までの5か年を計画期間とする「鳴門市版総合戦略」及び「鳴門市人口ビジョン」の策定に取り組んでいるところであります。

 この計画の策定に際しましては、「人口ビジョン」と「総合戦略」の大きな方向性を示す骨子案を今期定例会でお示しさせていただく予定としておりますが、これからの鳴門市を担う若い世代の方のアイデアやご意見も取り入れた計画となるよう、5月30日には、第1回目の「鳴門の地方創生を考えるワークショップ」を開催することとしており、また、6月11日には、鳴門の産・官・学・金・労・言の各団体のご意見をいただく「総合戦略懇話会」を開催するなど、工夫を凝らして進めてまいりたいと考えているところであります。

(3)行財政改革について

 次に、行財政改革につきましては、時代の変化に伴い発生する様々な行政ニーズに的確に対応しながら、中長期的に持続可能な財政運営を可能にするため、このたび「スーパー改革プラン2020」を策定いたしました。

 この計画につきましては、第1回定例会で議会にご報告した後、素案についてパブリックコメントの手続きを実施し、また、全職員を対象とした研修も実施したところであります。さらに、市内14地区の自治振興会にご協力をいただき、住民説明会を開催するなど、計画内容に関する様々なご意見をいただいているところでございます。なお、詳細につきましては、今期定例会でご報告する予定としております。

 私は、今後、数年間の取り組みが、将来の鳴門市の有り様を決定づけるとの認識に立ち、そのためには、市内各地・各分野で活躍されている市民の皆様の「市民力」と、市職員や各部署が改革・改善に挑戦する「職員力」、この2つの「総合力」をもってこれらの課題に積極的に取り組むことにより、「今」ある危機を乗り越え、「未来」を切り拓くことができると確信しております。市民の皆様の一層のご理解とご協力をお願いいたします。

(4)子育て支援等の充実について

 次に、子育て支援等の充実についてであります。

 昨年度、消費税率の引き上げに伴い、実施されました、子育て世帯のための「子育て世帯臨時特例給付金」及び所得の低い方のための「臨時福祉給付金」の支給については、今年度も引き続き国において実施されることが決定されたため、現在、支給に向けた準備作業を行っているところであります。さらに、本市独自の子育て支援並びに地域活性化のための経済対策として、就学前児童1人につき1万円分の「子育て応援商品券」の交付を行うことといたしました。この商品券につきましても、現在、交付に向けた準備作業に取り組んでいるところであり、対象世帯の皆様には8月頃に申請書を郵送する予定としております。

 また、子育て世代の定着促進策につきましては、この支援策のみならず、昨年度策定いたしました「鳴門市子ども・子育て支援事業計画」に掲げましたとおり、その基本理念である「自然とふれあい 笑顔がうずまく 子育てを始めるまち なると」を実現するための各種取り組みを着実に推進することにより、誰もが「鳴門市に生まれて良かった」、「住んで良かった」と感じ、将来も「鳴門市で自分の子どもも育てたい」と思っていただけるような、子育てをしやすいまちづくりに継続して取り組んでまいりたいと考えております。

(5)地域経済活性化について

 次に、地域経済活性化についてであります。

 まず、地場産業に関する最近の取り組み状況でありますが、先月25日にJF北灘主催による「桜鯛まつり」、今月2日には大鳴門橋開通30周年を記念し、市内外の農協・漁協、鳴門市阿波踊り振興協会等のご協力による「農水産物フェア」「なるとうずトラ市」など、地元生産者や事業者の団体が主体となるイベントが次々と開催され、市内外から多くの皆様にお越しいただきました。

 いずれのイベントも、それぞれの団体が創意工夫を凝らして魅力向上に努められております。何よりも、地元の事業者等が元気になることが地域経済を活性化する上で重要でありますことから、本市といたしましても、その環境作りに努めてまいりたいと考えております。

 次に、消費喚起対策につきましては、本年4月に国の交付金を活用し、県と協調した「阿波とくしま・商品券」を発行したところでありますが、秋頃には、市内店舗を対象とした「鳴門市プレミアム付き商品券」も追加的に発行する予定としております。

 また、中小企業支援を体系的に実施する「エコノミックガーデニング鳴門」につきましては、今後も継続的に取り組んでいくとともに、今年度からは、地域外からの人や企業の流れをつくる「サテライトオフィス誘致」や「地域おこし協力隊」の採用、さらには昨年度に徳島労働局と締結しました「鳴門市雇用対策協定」に基づく雇用労働施策について更なる充実を図ることとしております。

 なお、本市の経済活性化施策の指針となる「中小企業振興基本条例」につきましては、現在、制定に向けて審議会を順次開催しているところであります。

 次に、中心市街地活性化につきましては、鳴門市大道商店街振興組合が「100円商店街」や「まちゼミ」など様々な活性化事業に取り組んで頂いているところでありますが、こうした取り組みが商店街や地域の発展に貢献したものとして認められ、このたび中小企業庁の「がんばる商店街30選」に選ばれました。

 関係者の皆様の日々の努力に改めて敬意を表しますとともに、本市といたしましても、関係機関と連携しながら、引き続きこうした取り組みを支援してまいりたいと考えております。

(6)観光振興について

 次に、観光振興についてであります。

 まず、なると観光ブランド化推進事業につきましては、昨年12月に両県知事が会長を務める兵庫・徳島「鳴門の渦潮」世界遺産登録推進協議会が発足し、これまで本市と南あわじ市で築いてきた連携の輪が更に大きな広がりを見せたところであります。

 今後は、この協議会を母体として、機運の醸成を図るための啓発事業や情報発信などを推進していく予定としております。

 また、先月14日には、有識者を委員として招き、第1回目の学術調査検討委員会を開催したところであり、今後、引き続き、世界遺産登録に向けた調査・研究を行う予定としております。

 次に、「鳴門市阿波踊り」及び「納涼花火大会」についてでありますが、今年度は、大鳴門橋開通30周年を記念いたしまして、事業の拡大や充実を図って参りたいと考えております。

 まず、阿波踊りでは、8月9日に、初めての試みとなります吉本新喜劇とのコラボイベントを行う予定であり、本年3月から「鳴門市阿波踊りPR大使」にご就任頂いております吉本興業のタレントである石田靖さんにご協力をいただき、広くPRを行っております。

 また、納涼花火大会では、打上げ数を四国最大級となります、例年の2倍にあたる1万発に拡大いたします。

 本市の夏の夜を飾ります5日間のイベントを充実させることにより、県内外からの観光誘客を図り、にぎわいの創出を図って参りますので、ぜひご来場いただきたいと思います。

(7)「なると第九」アジア初演ブランド化プロジェクトについて

 次に、「なると第九」アジア初演ブランド化プロジェクトについてであります。

 「第九」アジア初演100周年に向け、第九ブランド化推進プロジェクトの具体的な取り組みを進めるために実施計画の策定作業を進めており、8月末を目途にとりまとめを行う予定にしております。また、来月7日に鳴門市文化会館で開催される「第九」交響曲演奏会につきましても、今年は姉妹都市であるリューネブルク市より指揮者トーマス・ドーシュ氏を迎え、大鳴門橋開通30周年記念として、盛大に開催する予定であります。世界に一つしかない「なると第九」の演奏会にご家族やご友人をお誘い合わせの上、ご参加くださいますようお願い申し上げます。

 なお、7月にリューネブルク市へ派遣する姉妹都市親善使節団につきましては、今年で21回目を迎えますが、今回は、前回新たに実施いたしました青少年派遣枠をさらに拡充し、中学生及び高校生12人を派遣する予定としております。本事業の実施により、多くの若い世代の皆様が豊かな国際感覚を育む機会となるよう期待しております。

(8)鳴門駅周辺整備事業について

 次に、鳴門駅周辺整備事業についてであります。

 現在の取り組み状況といたしましては、4月号の広報で駅前整備についてのアイデアを募集したところであり、基本計画については、皆様からいただきましたアイデアを参考とした提案をいただけるよう、応募型プロポーザル方式により事業者の募集を行っているところであります。

 今後、基本計画の素案ができましたら、議会に報告させていただきますとともに、JR等の関係団体とも調整をしながら、10月末を目途に基本計画を策定してまいりたいと考えております。

 平成28年度には工事に着手し、29年度には供用開始できるよう事業を推進してまいります。

 なお、駐輪場の整備が完了し、供用を開始したJR撫養駅周辺につきましては、先月1日に施行した「鳴門市自転車等放置防止条例」に基づき、今月1日に「自転車等放置禁止区域」に指定いたしました。

 今後も駅周辺における交通環境と利便性等の向上のため、適正な管理に努めてまいりたいと考えておりますので、市民の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

(9)防災・減災対策の推進について

 次に、防災・減災対策の推進についてであります。

 今月12日に本県へ最接近しました台風第6号は、四国沖で温帯低気圧に変わり、幸いにも本市において大きな被害はありませんでした。

 本市では、風水害対策の一つとして、「土砂災害・洪水ハザードマップ」を作成し、本年3月末から市公式ウェブサイトで公開しておりますが、このマップのより一層の周知を図ることを目的として、現在、市内全戸への配布に向けた準備を進めております。

 なお、このマップは昨年配布した津波避難マップと同様、カラーユニバーサルデザインに配慮したものとしており、ご家庭における防災教育・防災対策の情報源として、ぜひ、ご活用いただければと考えております。

 また、里浦町南部地区に整備予定の津波避難施設の整備につきましては、平成28年度中の竣工を目指しており、先月、関係団体等の皆様と地元説明会を開催し、津波避難施設と集会所、消防分団詰所の機能をあわせ持つ常時使用が可能な複合施設とする基本設計について、ご説明させていただいたところであり、現在、実施設計に着手しているところであります。

 次に、災害時における飲料水の確保等を目的とした大谷配水池施設の使用に関する自主防災会等との協力体制構築についてであります。

 これは、同施設の機能を活用して、大規模災害時における飲料水等の確保や、消防水利等の確保を行う際に、市職員がすぐに対応できない場合を想定し、あらかじめ地域の方に協力していただける体制の整備を図るものであります。

 このたび協力についての同意を得られましたことから、昨日27日、市企業局と大谷自主防災会との間で「大規模災害時における大谷配水池の緊急遮断弁のバルブ操作等の協力に関する覚書」を、また、大谷消防分団とは「災害時における大谷配水池の施設を使用するための鍵貸与に関する覚書」を、それぞれ締結いたしました。

 こうした地域との協力体制の構築により、災害時においても飲料水の確保や消火活動等を円滑に行うことが可能となります。

 これからも市民の皆様の安全・安心を確保するため、あらゆる分野において関係機関等と連携を図り、より一層の防災・減災対策に取り組んでまいりたいと考えております。

(10)ボートレース事業について

 次に、ボートレース事業についてであります。

 まず、新スタンド建設の進捗状況についてでありますが、現在は基礎工事がほぼ終了し、これから本格的に建屋工事に移る段階となっております。天候不順もあり一時、工程の心配もありましたが、現在は概ね予定通りに進んでおります。

 また、現在、本場におけるレースは、護岸工事及び施設改善のため休催しておりますが、連日多くのお客様においでていただいております、エディウィン鳴門での場外発売に加え、「ボートレース宮島」、「ボートレースまるがめ」にご協力をいただき、本市主催による代替開催を実施してまいります。

 今後も引き続き、来年春のリニューアルオープンに向けて全力で取り組んでまいりますので、ご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。

(11)まちづくりエリアについて

 最後に、まちづくりエリアについてであります。

 この事業につきましては、ボートレース場の敷地の一部をまちづくりエリアと位置づけ、本市の活性化及びまちづくりの核とするとともに、リニューアルするボートレース場との相乗効果を期待できる事業として、エリア整備を行おうとするものであります。

 このまちづくりエリアにつきましては、民間の資金やノウハウを活かした整備や活用を基本方針とし、施設内容について、様々な角度から検討を行ってまいりましたが、市民の皆様のご要望や議会でのご意見を踏まえた中で、市民の健康増進にも繋がり、幅広い年代の方々が利用できる「温浴施設」を核とするエリア整備を行ってまいりたいと考えております。

 来春には、ボートレース本場がリニューアルオープンいたしますが、その後、できるだけ早い時期に、事業誘致ができるよう、民間事業者が進出しやすい環境整備や支援策を整え、応募型プロポーザル方式によって、事業者選定を進めてまいりたいと考えておりますので、議員の皆様を始め、市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。