平成26年鳴門市議会第2回定例会

■目 次 

(1) はじめに  

(2) 産業振興施策 

(3) 観光施策 

(4) 教育行政 

(5) 防災・減災対策の推進 

(6) 環境・エネルギー対策 

(7) 競艇事業 

(8) 行財政改革・市民の皆様との対話 

(1)はじめに

 本日、第2回定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、公私何かとご多忙中にもかかわりませず、ご出席をいただき、誠にありがとうございます。

 今期定例会におきましては、補正予算案を始めとする各種議案を提出いたしておりますが、これらの議案説明に先立ちまして、まずは、諸般の報告と現在本市が当面している諸課題についての所信を申し上げ、議員各位を始め、市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 まず、現下の社会情勢について概観いたしますと、4月1日から実施された消費税増税について、実施からおよそ2か月が経過し、国民生活への影響について、経済の専門家等から様々な見解が示されているところでございます。

 それらの見解の中には、4月以降の景気減速や個人消費の落ち込みが、あくまで一時的なものであり、想定の範囲内にとどまっているとの意見もございますが、厳しい価格競争にさらされている多くの企業や、日々の家計のやりくりにご苦労されている市民の皆様の実感といたしましては、今後の経済活動や生活設計の見通しに大きく影響を及ぼしているのではないかと考えております。

 そこで、本市といたしましては、消費税増税に伴う経済対策として、国や県と協調して当初予算に計上いたしました、地域の消費拡大を目的とする「プレミアム付き地域商品券」である「阿波とくしま・商品券」の発行や、低所得の方のための「臨時福祉給付金」、子育て世帯のための「子育て世帯臨時特例給付金」の支給などの施策に取り組んでいるところでございます。

 さらに、本市独自の取り組みとして、保育料の負担が重くなっている中間所得世帯に対する支援策として、保育料の階層区分を細分化し、所得に応じたきめ細かな保育料を設定することで、保育所入所児の約3割について保育料を軽減したほか、下水道使用料の単価を引き下げるなどの措置を、今年度より実施しているところでございます。

 本市といたしましては、今後も引き続き、国の施策動向に注意を払い、それらが市民生活に及ぼす影響を常に考えながら、積極的かつ機動的に市政運営にあたりたいと考えております。

 さて、本市では先月から今月にかけて様々な催しや式典が行われました。

 まず、5月10日には、「鳴門市戦没者追悼式・平和を考える市民のつどい」が、盛大かつ厳粛に執り行われ、約450人のご参加をいただいたところでございます。

 当式典は、かつての戦争を経験された世代の市民が年々少なくなる中で、戦争の悲惨さや平和の尊さを末永く後世に語り継ぐため、昨年度から、従来の追悼式のあとに、「平和を考える市民のつどい」として、語り部による戦争体験のお話しや、合唱団による平和を祈る歌の合唱などを行っております。

 今年は土曜日の開催ということで、第一中学校合唱部と大麻中学校音楽部の皆さんに参加していただいたほか、第一中学校ボランティア部の皆さんに、受付や進行などをお手伝いしていただきました。

 ご遺族や関係団体の皆様を始めとして、様々な世代の市民にご参加をいただき、恒久的な平和の実現に向けて共に考え、共に祈念する、貴重な機会になったものと考えております。

 次に、「第25回全国みどりの愛護のつどい」についてでございます。

 5月24日に、鳴門・大塚スポーツパークを会場として「第25回全国みどりの愛護のつどい」が開催され、地域の緑化・緑地保全等に功労のあった団体の表彰、記念植樹等が執り行われました。

 当日は、式典のごあいさつと記念植樹のために、皇太子殿下にご臨席賜り、広く全国に向けて、本市が有する豊かな「自然環境」や「文化」を発信する絶好の機会になったものと考えております。

 地元開催となりました本市といたしましては、国土交通省や徳島県などの関係機関のみならず、当式典の開催にあたってご尽力をいただきました関係者の皆様に対しまして、この場をお借りしまして、改めてお礼を申し上げます。

 続いて、5月28日には、「鳴門市チャレンジデー2014」を開催し、約3万3千7百人の方に、思い思いの運動やスポーツに取り組んでいただきました。

 市民の皆様に、スポーツに親しみ、健康づくりにつなげていただく機会を提供するための住民総参加型イベントとして、今回で5回目の参加となりましたが、当日は幸い晴天に恵まれ、絶好のスポーツ日和になったこともあり、対戦相手である秋田県能代市に見事勝利することができました。

 現在、本市では、だれもがそれぞれの目的に応じて、スポーツに親しむことができる「生涯スポーツ社会」を実現するため、スポーツを通じた健康づくりや地域づくりの指針となる「鳴門市スポーツ推進計画」の今年度中の策定を目指して取り組んでいるところでございますが、スポーツがもたらしてくれる充実感や達成感を、このイベントを通じて多くの市民の皆様に感じていただけたものと考えております。

 ご参加をいただいた皆様を始め、本イベントの運営にご尽力いただきました協力団体並びに関係者の皆様に対しまして、感謝申し上げます。

 そして、6月1日には、本市における毎年恒例の一大文化イベントである第33回ベートーヴェン「第九」交響曲演奏会が、鳴門市文化会館で盛大に開催されました。

 今回の演奏会は、鳴門市・リューネブルク市姉妹都市盟約締結40周年を記念して、49団体609人の合唱団が舞台に立たれ、会場いっぱいに歓喜の歌声が広がる素晴らしい演奏会となりました。

 平成30年に「第九」アジア初演100周年を迎えるにあたり、現在本市では、「アジア初演『なると第九』ブランド化プロジェクト」において、鳴門の「第九」を広く国内外へ発信するための様々な取り組みを検討しているところでございますが、4年後に迎える記念演奏会を、100周年の節目にふさわしい、素晴らしい演奏会にしたいと考えております。

 また、「第九」アジア初演100周年を契機として、関係者の皆様のご尽力により、イオン株式会社と本市は、5月27日に、「WAON発行に伴う提携合意書」を締結いたしました。

 これにより、全国約18万5千箇所のイオン加盟店において、ご当地電子マネーである「なると第九WAON「第九アジア初演の地」鳴門市」の専用カードをご利用いただけるようになり、その利用金額の0.1%が本市に寄附されることとなります。

 本市では、この寄附金を「なると第九」ブランド化推進基金に積み立て、100周年記念事業等の原資として活用させていただきたいと考えております。

 本市といたしましては、この提携により、今後、国内外に店舗を構えるイオングループと様々な事業で連携し、本市の観光振興や物産の拡販等についてもご協力いただくことで「鳴門」ブランドのさらなる向上を目指すとともに、国内はもとより、世界に向けて鳴門の「第九」の魅力をPRしてまいります。

(2)産業振興施策

 次に、産業振興施策についてでありますが、先日、市内のわかめ加工業者が、鳴門わかめの産地偽装を行ったとして逮捕されるという、本市にとって誠に残念な報道がございました。

 過去に発生した産地偽装問題によって失われた信頼を取り戻すため、これまで地道に「鳴門わかめ」のブランド力向上のために努力を重ねてこられたわかめ生産者や加工業者のみならず、市内の土産物店や観光施設への影響も懸念されるところであり、大変遺憾なことと考えております。

 本市では、当加工業者が家宅捜索を受けて以降、事業者の皆様や関係機関と連携し、県下統一様式での「原料原産地生産者証明書」の発行を推進するとともに、市独自の取り組みとしまして、科学的産地判別分析を実施するなど、より一層踏み込んだ再発防止策に取り組んでおります。

 今後も、より抜本的な再発防止策を検討・実施することを通して、「鳴門わかめ」という、本市が誇るブランドの信頼回復に、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 さて、本市における地場産業に関する最近の取り組みといたしましては、4月26日・27日にJF北灘主催による「桜鯛まつり」、5月3日に市内外の農協・漁協等のご協力による「農水産物フェア」及び「なるとうずトラ市」、5月10日に鳴門市大道商店街振興組合による「100円商店街」など、地元事業者の団体が手掛けるイベントが次々と開催され、市内外から多くの方にお越しいただきました。

 いずれのイベントも、新鮮な地場産品が安価で提供されたり、ユニークな関連イベントが開催されるなど、それぞれの団体が創意工夫をこらして魅力向上に努められ、今やそのいずれもが毎年恒例の定例イベントとして本市に定着した感がございます。

 中でも、「100円商店街」の関連イベントとして、四国で初めて実施されました「いす-1(ワン)GP(グランプリ)」では、市内外から多くの若者が参加され、大いに盛り上がったところでございます。

 消費税増税など、地域経済をめぐる環境は依然として厳しいことに変わりはございませんが、地域の活性化を実現するためには、まずは地元の事業者が元気になる環境作りが不可欠であるとの認識のもと、本市といたしましても、「中小企業振興条例」の策定に向けた基本調査など、各種の産業振興施策を引き続き進めてまいりたいと考えております。

(3)観光施策

 また、観光施策に関しましては、今期よりJ1リーグに昇格した徳島ヴォルティスのホームゲームが、鳴門・大塚スポーツパークで開催されており、対戦相手のサポーターをはじめとして県内外から多くの皆様が本市にお越しになり、鳴門駅前やスタジアムに設置された観光案内ブースも、多くの方にご利用いただいております。

 J1リーグのレベルの高さに、チームは苦戦が続いておりますが、先月にはホームゲームで初めて待望の勝ち点を挙げ、これからの活躍に期待を膨らませているところでございます。

 今後も引き続き、交流人口の増加を図るとともに、本市の魅力を全国に発信して、スポーツを通じたにぎわいづくりを実現するため、徳島ヴォルティスのさらなる奮起を期待し、市民一丸となって声援を送り続けたいと考えております。

(4)教育行政

 次に、教育行政についてであります。

 本市では、昨年度をもって67年の歴史を持つ瀬戸中学校と北灘中学校が閉校し、4月1日に瀬戸町と北灘町の2町を校区とする新生「瀬戸中学校」が開校いたしました。

 4月9日には、開校式と入学式が盛大に挙行され、これまでの保護者や地域の皆様のご理解とご協力により、まずは順調にスタートすることができ、生徒たちも新たな絆の輪を広げているものと考えております。

 これからも、生徒一人ひとりが、瀬戸中学校と北灘中学校の誇りと伝統を受け継ぎ、豊かで活力のある中学生活を送られることを期待しております。

(5)防災・減災対策の推進

 次に、防災・減災対策の推進についてであります。

 本市では、近い将来に発生が予想される南海トラフ地震への対策に万全を期すため、これまでソフト・ハードの両面にわたって各種施策を推進してきたところでございます。

 このような中、去る3月28日、政府の中央防災会議において、南海トラフ地震対策の推進に関する基本方針となる「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」が発表されるとともに、本市が、南海トラフ地震で大きな津波被害が想定される地域として、県内の沿岸に位置する他の自治体とともに、「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」に指定されました。

 この「強化地域」の指定を受けたことで、施設整備のための津波避難施設整備費等の国庫補助率のかさ上げなどの措置がなされることから、本市といたしましても、これら措置の有効な活用方法について検討をしてまいりたいと考えております。

 また、県が、今年3月11日に公示した津波の基準水位に基づき、本市では津波ハザードマップである「鳴門市津波避難マップ」を作成し、3月末に市公式ウェブサイトに掲載するとともに、先月末より市内全戸に配布したところであります。

 今回配布いたしましたマップは、できるだけ見分けやすい配色であるカラーユニバーサルデザインに配慮し、特定非営利活動法人カラーユニバーサルデザイン機構から認証を受けたハザードマップとして、全国で初めて配布したものでございます。

 各ご家庭における防災教育・防災対策の情報源として、ぜひご活用いただければと考えております。

 さらに、昨年4月に、病原性の高い新型インフルエンザ及び全国的かつ急速なまん延のおそれのある新感染症への対策を図るため「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が施行されたことを受けて、県が昨年11月に「新型インフルエンザ等対策行動計画」を策定したことを踏まえ、本市においてもこのたび、同法に基づく「鳴門市新型インフルエンザ等対策行動計画」を作成いたしました。

 今後は、県や関係機関等との連携を図りながら、感染症の拡大を抑制するための体制整備などに取り組み、市民の安全と安心の確保を図ってまいります。

(6)環境・エネルギー対策

 次に、環境・エネルギー対策についてであります。

 平成24年7月に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が開始されて以来、本市においても、民間事業者による太陽光発電事業への取り組みが、各地で進展しているところでございますが、昨年、鳴門商工会議所及び大麻町商工会により設立された特定目的会社「株式会社鳴門太陽光発電所」におきましても、本市が所有する遊休地を活用した太陽光発電事業の実施に向けて、着実に計画を進めていると伺っております。

 先日には、同社と本市が市有地の賃貸借契約を締結したところであり、今後、整地や基礎工事、パネル設置工事等を経て、今年度中に発電を開始する予定とのことでございます。

 こうした取り組みが、環境負荷の低減によって地球に優しい環境都市の実現に資するとともに、本市の地域経済の振興にもつながることを大いに期待するものでございます。

(7)競艇事業

 次に、競艇事業についてであります。

 競艇事業につきましては、撫養港海岸保全施設整備事業に伴う地盤改良工事および新施設建設事業の影響で、現在は、外向発売所「エディウィン鳴門」のみでの営業となっております。

 「エディウィン鳴門」においては、本年3月15日に増床してリニューアルオープンし、さらに4月からは、5場併売を可能としてモーニングレースの発売を始めたことなどにより、来場されるお客様から好評を得ております。

 しかしながら、この状況に満足することなく、今後も収益確保に向けた取り組みを継続して進めていく必要があると考えており、地元選手にご協力をいただきながらのイベント開催なども計画しております。

 なお、ボートレース鳴門の本場施設改善の進捗状況につきましては、設計施工一括発注のプロポーザル方式により平成26年3月に公募を実施し、プロポーザル選定審査委員会による審査がこのほど終了いたしました。

 そこで現在、プロポーザル選定審査委員会の報告を受けて、契約の準備を進めているところでございます。

 このところ、建設業界における資材の高騰や人手不足等が顕在化しつつあり、公共工事を円滑に進める上で厳しい状況にはございますが、関係機関等のご協力をいただきながら、できるだけ速やかに事業を推進したいと考えております。

今後におきましても、本市の発展に貢献できる競艇事業となるよう努めてまいりますので、議員各位並びに市民の皆様のご理解を賜りますようお願い申し上げます。

(8)行財政改革・市民の皆様との対話

 今後、全国的に、人口減少・少子高齢化の進行が避けられない中、いずれの自治体においても、それぞれの地域社会の存続を目指して、日々まちづくりに取り組んでいるところでございます。

 本市においても、この課題に対処するための方策として、私がこれまで一貫して取り組んできた2つの大きな柱が、「行財政改革」と「市民の皆様との対話」でございます。

 「行財政改革」によって、行政システムの効率化や財政状況の改善を絶え間なく進めることで、組織面・財政面において、今後のまちづくりのために必要な土台作りを行いながら、「市民の皆様との対話」によって、本市の未来について、市民の皆様とともに考え、情報を共有し、ともに行動することを通して、活力と魅力にあふれた、持続可能な地域社会は初めて実現するものと考えております。

 「行財政改革」につきましては、平成22年度に策定した行財政計画である「スーパー改革プラン」に基づき、人件費の削減や事務事業の合理化に継続的に取り組んできたところであり、計画の最終年度である今年度においても、最後まで手綱を緩めることなく、改革の総仕上げを行ってまいります。

 また、「市民の皆様との対話」につきましては、これまでも様々な機会を活用して、各界各層の市民の皆様とお会いし、積極的に対話を重ねてきたところでございますが、今後もより一層、多くの機会を作り、様々な立場や視点からのご意見をお伺いすることで、本市の課題や問題点、あるいは新しいまちづくりのアイデアについて、新たな気づきを得たいと考えております。

 そのため、今年度は初めて、それぞれの地域で開催されております各地区自治振興会の総会などに出席させていただき、本市を取り巻く状況や今年度の取り組み内容などを私自らご説明させていただいているところでございますし、今後さらに、大学生とのミーティング形式による意見交換などの新しい試みにも、意欲的に取り組んでまいります。