平成25年鳴門市議会第4回定例会

本日、第4回定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、公私何かとご多忙中にもかかわりませず、ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 まず初めに、明るいニュースとしてお伝えいたしたいのが、徳島ヴォルティスのJ1昇格プレーオフへの進出決定でございます。

 今月24日に行われた日本プロサッカーリーグJ2最終節において、徳島ヴォルティスが見事勝利し、J1昇格への挑戦権をつかみ取りました。

 12月1日には鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアムにおいてプレーオフ準決勝が行われるため、ホームタウンである本市においても横断幕を市役所に掲げるなど、全市を挙げて応援したいと考えております。

 当日は、私も応援にかけつけたいと考えておりますので、ぜひ、多くの方にスタジアムで、四国初のJ1進出に挑む徳島ヴォルティスに熱い声援を送っていただきたいと思います。 

 さて、このたびの定例会は、去る11月17日に執行されました鳴門市長選挙において、多くの市民の皆様から二期目を託されて、初めて臨む定例会であります。

 そこで、本定例会の開会にあたりまして、私の市政に対する基本的な考え方をあらためて表明し、議員各位を始め、市民の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。

 私が初めて市長に就任した4年前を振り返りますと、当時はいわゆるリーマンショックと呼ばれる世界的な金融危機の直後にあたり、我が国全体が先行きの不透明な情勢にあった時期でございました。

 そのため、本市におきましても、深刻な景気減速の影響を受け、市税収入の落ち込みが懸念される状況でございましたが、当時は財政健全化に向けた行財政改革の取り組みも道半ばであり、財政構造の改善に至る明確な道筋は見えておらず、加えて、競艇事業・運輸事業などの企業会計も累積赤字を抱え、苦しい経営状態が続いているなど、総じて危機的な状況にございました。

 私は、この切実な危機感のもと、まずは財政状況を立て直し、将来にわたって持続可能な行財政システムを確立し、市民が主役の未来へ飛躍する鳴門市とすることを最優先の目標と位置づけ、平成22年12月に「スーパー改革プラン」を策定し、一期目の任期中において一貫して行財政改革に取り組んでまいりました。

 その結果、取り組みの成果として、「スーパー改革プラン」において目標として定めた「実質収支黒字の維持」「次世代負担の軽減」「基金残高の確保」のいずれについても、現時点において達成、あるいは目標値を上回って推移するとともに、競艇事業については長年の懸案であった累積赤字を昨年度において解消し、運輸事業についても本市の新たな公共交通体系を構築する一連の過程の中で、昨年度末をもって事業会計を清算することとなりました。

 もちろん、現時点においても、本市の財政状況が依然として厳しい状況にあることに変わりはなく、今後も引き続き、行財政改革への取り組みを継続していく必要がございますが、それでも、財政再生団体への転落を、目前に迫る現実的な危機と捉えていたかつての切迫した状況に比べれば、ようやく将来の夢や目標に目を向け、中長期的な視点を持ってまちづくりに取り組むことのできる状況になりつつあるのではないかと考えております。

 このような現状認識のもとで、このたびの市長選挙期間中において、私が二期目にあたっての抱負として、市民の皆様に向けてお話しし、お約束をいたしました取り組み事項について、それぞれご説明したいと思います。 

 まず、最初に、これから私が重点的に取り組んでまいりたいと考えている施策の一つが、「うきうき活力と魅力あふれるまちづくり」、すなわち、産業振興や観光・文化資源のブランド化の推進であります。

 私は、本市が有する「強み」は、何よりもまず、渦潮に代表される豊富な観光資源や、なると金時、鳴門わかめ、大谷焼などの優れた地場産品にあると考えております。

 多くの方が「鳴門」という言葉の響きとともにイメージする、これらのすばらしい素材一つひとつが持つ魅力こそが、全国的に高い「鳴門」の認知度の、言わばブランド力の源泉であることは明らかでございます。

 しかしながら、これらの観光資源や地場産品の魅力を、広く全国に発信する役割を担う本市の商工・観光業や農林水産業を取り巻く環境に目を向けますと、来年に予定されている本四道路の「全国共通料金制度」導入や、年内妥結の可能性も報道されるTPP(環太平洋連携協定)交渉の行方など、先行きに予断を許さない、まさに激動の時代を迎えつつあり、このような時期に、自治体としていかに取り組むべきかが、今問われているものと実感しております。

 そこで、本市では、農業の国際化などにも対応するため、これまで以上に農水産品ブランド化や農商工連携を推進し、事業者の経営安定化の支援に努めてまいります。

 また、今月16日に大道商店街周辺で2回目が開催されました「100円商店街」のように、頑張る事業者の皆様の活動を、行政としても様々な側面から支援するため、一期目で手掛けた「エコノミックガーデニング」をさらに推進するとともに、「中小企業振興条例」の制定も目指します。

 さらに、来年、予定されている本四道路の「全国共通料金制度」導入を、好機としてとらえ、積極的な観光PRと、さらなる観光施策の充実を図ってまいります。

 そして、「第九アジア初演の地」のブランド化など、本市が有する文化資源の有効活用や、姉妹都市・友好都市との国際交流の推進を、本市の魅力発信と再発見につなげる取り組みとして積極的に進めてまいります。

 次に、今後より一層、力を入れて取り組んでいく必要があると私が考えている施策が、「ずっと笑顔で生きがい感じるまちづくり」、すなわち、生きがいとゆとりを感じて健康に暮らし、安心して子どもを産み育てることのできるまちづくりの推進であります。

 「子どもからお年寄りまで、あらゆる世代が、それぞれの夢や目標に向かって充実した日々を送ることができる。」

 私が理想と考えるこのようなまちづくりを実現するためには、「福祉」や「教育」といった市民生活を基礎からしっかり支える行政分野の充実が不可欠であると考えております。

 そのため、これらの行政分野につきましては、一期目におきましても様々な方面に目を配り、きめ細かく各種施策を実施してきたところでございますが、その一方で、本市における厳しい現実として、現在、進行している人口減少と少子高齢化を食い止めるまでには至っておりません。

 本市が、今後においても、活気とにぎわいにあふれるまちであり続けるためには、何よりもまず、本市で暮らす全ての世代にとって、これからもずっと暮らし続けたいと思える魅力的なまちへと進化し続けるほかに解決策はなく、厳しい現実を直視し、これまで以上に的確に、そして、タイムリーに、市民ニーズに対応した施策を展開していくことが重要であると認識しております。

 まず、子育て世代につきましては、子育てにかかる経済的負担の軽減策とともに、子どもの発達支援や子育て支援のより一層の充実を図ってまいりたいと考えております。

 次に、高齢者福祉につきましても、元気に暮らせる生きがいづくりを進め、社会福祉・地域包括ケアの充実を図ってまいります。

 他にも、高齢者の肺炎や子どもの肥満対策など、市民の健康を守る保健事業を充実させるとともに、地域の医療を地域で守るための条例の制定も目指します。

 また、教育分野におきましては、一期目において重点的に実施してまいりました英語教育や、鳴門教育大学との連携による学園都市化をさらに推進するとともに、学校へのエアコン設置とあわせて、夏期休業日を短縮するなど、学力向上への取り組みを進めることで、子ども達がのびのびと力を伸ばすことのできる教育環境を整備したいと考えております。

 そして、全ての世代に対する施策として、「スポーツ推進計画」を策定し、スポーツを通じた健康づくり、地域づくりにも取り組んでまいります。

 続きまして、本市が何よりもスピード感をもって対処しなければならない喫緊の課題として、「しっかり安心・快適住み良いまちづくり」、すなわち、防災対策や人口減少対策、そして都市環境整備を推進してまいります。

 まず、防災対策につきましては、一期目におきましても、「南海トラフ巨大地震」を想定したハード、ソフトの両面にわたる各種施策を幅広く実施してきたところでございますが、今月25日に徳島県が公表した津波災害警戒区域の指定案や「南海トラフ巨大地震」の被害想定への対応を含め、私が目標として掲げる「震災死者ゼロ」「津波からの即避難率100%」を実現するためには、まだまだ取り組むべき課題が多く残されております。

 そこで、各地域におきましては、これまで以上に自主防災会との連携を図り、より一層、地域における災害対応力の強化を図りたいと考えております。

 また、教育委員会におきましても、現在、幼稚園、小学校、中学校の防災対策への基本的な考え方や取り組みを定める「鳴門市学校・幼稚園防災推進計画」を策定中であり、防災教育の充実や地域との連携、そして、防災備品の整備などを通じて、子どもたちの命を守る学校、幼稚園づくりを進めてまいりたいと考えております。

 そして、現在、本市が進めている公共施設の耐震化は、学校施設が中心でございますが、今後は災害対策拠点である消防団詰所などの耐震化についても計画的に進めていかなければならないと考えております。

 さらに、各ご家庭における防災対策である住宅耐震化や家具の転倒防止に対する支援につきましても、引き続き実施してまいります。

 人口減少対策につきましては、本市で進行している人口減少と少子高齢化の状況を分析したところ、子育て世代の市外流出が顕著であったことから、これら子育て世代の定着促進策を進めてまいります。

 そして、誰もが「安心」「快適」で住みたくなるまちづくりを創造するための施策として、住宅リフォーム助成制度や空き家対策などを推進してまいります。

 次に、都市環境整備についてでありますが、まず、水環境改善に係る取り組みにつきましては、これまで一貫してご説明してまいりましたとおり、合併処理浄化槽と下水道の整備区域の最適なバランスを、経済合理性などを基準として常に検証しつつ、着実に事業を進めてまいります。

 さらに、環境・エネルギー対策につきましては、地域全体で「省エネと創エネ」に取り組み、地球に優しい環境都市を目指してまいります。

 今月20日には、その具体策の一つとして、鳴門商工会議所及び大麻町商工会が、本市からの呼びかけに応じていただき、特定目的会社である「株式会社鳴門太陽光発電所」を設立したところであります。

 今後、同社において、市有地を活用した太陽光発電事業を実施し、その売電による収益金を本市の地域経済の振興等にお役立ていただくとともに、本市においても、同社から得られる借地料を環境保全対策等の財源として活用する方針であります。

 また、基幹施設が老朽化し、施設の大規模更新や耐震化が急務となっている上水道事業につきましては、これからも安全な水を安定して市民の皆様に供給できるよう、水道経営の抜本的な改革と徹底的な効率化を推進してまいります。

 最後に、「おおきく躍動みんなで創るまちづくり」として、行財政改革、情報の共有化や市民協働の推進など、私の市政運営にあたっての基本方針を説明させていただきます。

 社会構造の急速な変化や価値観の多様化を背景にして、地域を取り巻く課題は近年ますます増大、複雑化する傾向にあります。

 これまでのような行政主導による画一的な解決策が、これらの地域課題に、必ずしも有効に機能しなくなった現在において求められているのは、市民の皆様にこれまで以上に主体的に市政に参画していただくとともに、市民と行政がお互いの役割や特性を理解し、また補完しあいながら、それぞれの持つ力を発揮して、まちづくりを進めていくことであります。

 私が平成23年11月、県内で初めて「鳴門市自治基本条例」を施行いたしましたのは、このような認識のもとで、市民の皆様が主役のまちづくりを実現するため、市民の皆様と本市が協働してまちづくりを進めるという理念を明確な形にしたかったからでございます。

 市民の皆様と直接向き合い、対話を通じてご意見やお考えを拝聴し、それを市政に反映していくという、私が市長に就任して以来、一貫して実践してまいりました市政運営にあたっての基本姿勢は、二期目においてももちろん変わることはございません。

これからも、市民の皆様との対話の機会や、広報・広聴活動の更なる充実を図ることで、市民の皆様と本市との意思疎通をより密なものとし、まちづくりにおける市民「参画」、市民との「協働」、そして市民との「情報共有」を実現した市政運営に努めてまいります。

 そして、これまで「スーパー改革プラン」に基づき、積極的に進めてまいりました行財政改革につきましては、先にも述べましたとおり、一定の成果を挙げたものの、本市の財政状況は未だ楽観視できる段階には至っておりません。 

 二期目においては、この「スーパー改革プラン」を改定し、さらなる事務事業の見直しと効率化、そして財政健全化の徹底に努めてまいります。

 さらに、来年度から2年間の本場休催期間を迎える競艇事業につきましては、この期間を最大限有効に活用し、安心・コンパクトでファンに喜ばれるための施設改築を行い、リニューアルした「ボートレース鳴門」において収益性の向上を目指してまいります。

 私は、平成21年10月からの4年間、一期目の市長としての取り組みの中で、本市が今後解決すべき課題や、将来のまちづくりにつながるヒントを、できるだけ数多く把握するため、様々な催しや会合などにできる限り参加し、市民の皆様との意見交換に努めてまいりました。

 そしてこれらの取り組みは、本市に愛着を持ち、本市の明るい未来のため、ひたむきに力を尽くして、活動されているたくさんの方々との出会いを私にもたらしてくれるとともに、そのような方々との交流を通じて、それまで私自身が気付いていなかった本市の新たな魅力や可能性を発見することのできる貴重な機会となりました。

 市長としての4年間、このような充実した日々を重ねていく中で、この鳴門市をよりよいまちにしたいとの私自身の思いはますます強く切実なものとなり、私自身が心に描くあるべきまちとしての姿も、より鮮明に、そしてより具体的な形を伴ったものへと変化してまいりました。

 前回、私が初めて市長への立候補を決意するに至った背景には、当時の本市が市政始まって以来の危機に直面し、ふるさと鳴門再生のため、もはや一刻の猶予も許されないとの強い危機感がございました。

 それからの4年間、ただひたすらに、市長として目の前に山積する課題に取り組んだ日々でございましたが、その間においても、我が国においては、東日本大震災や、来年度からの消費税増税決定など、これからの地方行政や地方経済に多大な影響を及ぼす出来事が次々と起こり、地方自治のかじ取りを担う市長としての責務は、近年ますます重く、また、スピード感と決断力が求められる時代になったと実感しております。

 これからの4年間は、財政健全化への道筋が見え始めたばかりの本市にとって、今後のまちの浮沈をかけた、まさに正念場の時期であると位置付けておりますが、私自身にとりましても、一期目以上に困難で険しい、大いなる挑戦になるものと考えております。

 子どもたちの未来のため、そして、笑顔とにぎわいあふれるまちづくりを実現するため、これより全身全霊をかけて全力で市政に取り組んでまいる所存でございますので、議員各位を始め、市民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。