平成22年鳴門市議会第2回定例会

■目 次 

(1) はじめに  

(2) 国の施策への対応 

(3) 本市を取り巻く経済情勢 

(4) 市政運営について 

(5) 事業仕分け 

(6) 鳴門市女性支援センター『ぱぁとなー』の開設 

(7) 10%プレミアム付うずとく商品券 

(8) 下水道事業 

(9) 本市の新たな公共交通体系の構築 

(10) 競艇事業の経営改善 

(1)はじめに

 本日、第二回定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様方には公私何かとご多忙中にもかかわりませず、ご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

 初めに、新聞報道等ですでにご承知のとおり、去る4月27日から28日の早朝にかけて県内全域を襲った強風波浪により、里浦町の大手海岸沖に設置されていた里浦漁協所属のわかめ養殖棚の大半が沖に流されるという被害が発生いたしました。

 被害発生直後より、里浦漁協を中心とした関係者が一体となり、事態の収拾に向けた対策に取り組んで参りましたが、5月13日には回収困難な養殖棚を海底に固定するなどして、当面の応急措置は終了いたしました。

 まずは、この場をお借りしまして、被害に遭われた生産者の方々にお見舞いを申し上げますとともに、対応に当たってくださいました国や県など関係機関の皆様方に対しまして、厚くお礼を申し上げます。

 しかしながら、今回の被害によるわかめ生産者の方々の損害は甚大であり、来年度以降の「鳴門わかめ」の生産量への影響も危惧される状況とのことでございます。

 そこで、本県及び本市の代表的なブランドのひとつである「鳴門わかめ」が、来期以降も安定的に供給されるための措置として、このたび県が新たに創設した融資制度を利用される方々に対し、県と協調して利子補給を行う予定といたしているところでございます。

 次に、5月26日に行われました「チャレンジデー開催事業」は、市民の皆様を始め、市外から訪れられた観光客並びに通勤・通学などで通って来られた方々を含め、約3万6,000人の方々にご参加、ご協力をいただき、大変な盛り上がりのうちに終了することができました。

 本市として初めて参加したスポーツイベントでございましたが、今回の対戦相手である山梨県甲州市と住民参加率を競い合った結果、鳴門市57.2%、甲州市55.8%と僅差で相手を上回り、目標としておりました初挑戦・初勝利を達成いたしました。

 このイベントの最大の目的は、勝敗の結果のみならず、多くの方々に運動やスポーツを楽しんでいただき、身体を動かすことの大切さや健康に対する意識を高め、健康づくりのきっかけをつくることであり、今回その目的は十分に達成できたものと考えております。

 また、多くの方々が一つの目標に向かって一致団結することによりもたらされた、参加者同士の連帯感の醸成や仲間意識の高揚は、地域コミュニティの充実、活性化にもつながり、来たるべき災害時の対処にも生かされるものと確信しております。

 ご参加をいただいた方々を始め、イベントの成功に向けてご尽力をいただいた協力団体並びに関係者の方々に対し、この場をお借りしまして、厚くお礼を申し上げます。

 さらに、6月5日、6日の両日にわたり、鳴門市文化会館において「第九」交響曲演奏会を開催いたしました。

 今回の演奏会は、「大鳴門橋開通25周年記念事業」と銘打ち、初日に全国公募の若手ソリストなどをお招きして「アリアと第九の祭典」を催すなど、例年にもまして盛大に執り行われました。両日とも徳島交響楽団の演奏で、市内外から参加された延べ約1,000人の合唱団の方々に歓喜の歌声をご披露いただき、2,000人を超える聴衆の方々にご感動いただきました。

 今後も、この全国に誇れる素晴らしい歴史と文化の火を絶やすことなく、世代や地域を越えた交流の積み重ねによって培われた友情の輪を広げ、本市の魅力ある財産として、次代に引き継ぐことができるよう努めて参りたいと考えております。

 また、4月25日には、映画「バルトの楽園」の新ロケ村「阿波大正浪漫バルトの庭」が、NPO法人「ドイツ村BANDOロケ村保存会」により大麻町桧に開設されました。

 昨年2月に閉鎖いたしました旧ロケ村の兵舎や管理棟などのロケセットを移設しただけでなく、当時実際に使用された兵舎も新たに移築されたと伺っております。板東俘虜収容所の歴史を後生に伝える場として、また本市の新たな観光拠点として、地域にますますの賑わいをもたらされるようご期待申し上げております。

 さて、今期定例会には、条例改正を始め、各種の議案を提出いたしておりますが、これら議案のご説明に先立ち、当面する市政の取り組みなどについてご説明を申し上げ、議員各位を始め、市民皆様方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

(2)国の施策への対応

 私が市長に就任して、早くも8カ月になろうとしております。この間、国においては民主党政権による初めての当初予算が編成され、「子ども手当」「高校授業料無償化」など、市民生活に大きな影響を与える新規施策も数多く実施されることとなりました。

 これらの施策の実施に伴い、「子ども手当」の受給申請など、新年度早々より市民の皆様に新たに手続きをお願いするものもございましたが、市民サービスの提供を円滑に進めるべく、迅速な事務処理に努めて参りたいと考えておりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。

 その一方で、現在検討されております「高速道路の新料金制度」につきましては、既にご案内のとおり、本州四国連絡道路の通行料を他の高速道路とは別料金とした上、その上限額についても他と比べて1,000円割高に設定するとの案が示されております。

 本市を含めた四国地方にとって極めて不利益なこの新料金制度が実施されれば、四国全域の地域経済、さらには物流、観光、地域間交流など、多方面への深刻な影響が避けられないことから、4月28日には徳島県知事、兵庫県知事、淡路島の三市長とともに、国に対し、制度改善への要望を行って参りました。

 さらに、5月13日の四国市長会におきましても、新料金制度の見直しと、これによって影響を受ける公共交通機関への支援策を求める緊急決議を、徳島県市長会より提案し、満場一致で採択されました。本緊急決議は、明日、6月8日より開催される全国市長会での決議を経て、改めて国に対して提出される運びとなっております。

 当初、予定されていた6月からの実施は当面見送られることとなりましたが、今後も、この新料金制度につきましては、本市への影響を最小限にくい止めるべく、あらゆる機会をとらえて、関係機関への要望活動を引き続き行って参りたいと考えております。

(3)本市を取り巻く経済情勢

 続いて、本市を取り巻く経済情勢についてであります。

 我が国の経済状況は、一昨年秋に発生した欧米発の金融危機に端を発する「世界同時不況」の影響により、依然として厳しい状態が続いており、国の平成22年度当初予算は、戦後初めて国債発行額が国税収入を上回る異常事態となったことは記憶に新しいところであります。 

 地方財政も同様に深刻な状況であり、本市においても歳入の根幹をなす市税において、その伸びが見込めない上、少子高齢化による扶助費や消防庁舎・学校耐震化など、緊急性の高い課題に対応するための財政需要が大きいことからも、非常に厳しい財政運営を余儀なくされております。

 そこで、平成22年度当初予算においては、このような財政状況の中にあっても、将来の本市のあるべき姿を見据え、「子どもたちの未来のために」、「笑顔とにぎわいあふれるまちづくり」を目指し、市民の皆様から託された要望や期待にお応えすべく、今ある資源を最大限に有効活用しながら、各種事業を推進するための予算を計上したところであります。

 このたび上程いたしました議案第60号平成22年度鳴門市一般会計補正予算(第1号)におきましても、国の経済対策予算を原資とする緊急雇用対策事業を追加計上し、本市の経済・雇用対策に活用するものであります。

(4)市政運営について

 厳しい財政状況のなかで、市民の皆様のご理解を得ながら市政運営を行っていくために、私がなによりも重要だと考えるのは、まずは市政運営にあたっての基本的な考えをできる限りわかり易く、詳しくお示しすることであり、さらに、これをお受け止めいただいた市民の皆様から寄せられるご意見やご提言に真摯に耳を傾け、積極的に市政に反映していくことです。

 そのために現在進めているのが、まちづくりの基本理念、基本原則を定める「自治基本条例」の制定、そして、将来にわたって持続可能な市政運営の道筋をお示しする「スーパー改革プラン」の策定であり、さらに、市政運営についての考えを、私自身が市民の皆様に直接ご説明し、ご意見やご提言をお伺いする「鳴門元気アップトーク」「産業版出前市長室」「まちづくり出前市長室」などの広聴活動の充実です。

 まず、自治基本条例の制定につきましては、これまで自治振興会やNPO団体など各種団体への説明会や、市民と市職員によるワークショップでの議論を通じて制定準備を進めてきたところでありますが、去る3月31日には「第4回鳴門市自治基本条例策定審議会」が開催され、条例構成案の検討が行われたところであります。

 今後、市民参加と協働の実現に向け、「自治基本条例」の今年度中の制定を目指して全力で取り組んで参りたいと考えておりますので、議員各位を始め市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。

 次に、スーパー改革プランの策定につきましては、5月14日に「鳴門市行政改革推進本部」を設置し、今後の財政収支見通しや定員管理目標などの検討を進めるとともに、5月20日には「行政改革推進検討部会」を設け、更なる行政事務の効率化や市民サービスの向上策などと併せ、具体的な目標設定についての検討作業にも取り組んでおります。

 さらに、「広報なると6月号」におきまして、市民の皆様からの行政改革に関する提案の募集を開始したところであります。

 議員の皆様方には、今年9月を目途に素案をお示しする予定であり、その後、パブリックコメント等の手続きを経て、今年度中の策定を目指しております。

 広聴活動につきましては、まず、市内で多様な活動を行っておられる団体やグループの方々と気軽にお話しし、意見交換を行うことを目的とした「鳴門元気アップトーク」をこれまでに2回開催いたしました。1回目は「第一次産業の活性化」をテーマにNPO法人の方々と、2回目は「ボランティア活動」をテーマにボランティア団体の代表者の方々と意見交換を行い、実際に現場で活動しておられる中から得られた貴重なご意見をいただきました。

 また、6月4日には、産業分野ごとに抱えている課題やその解決策について話し合う「第1回産業型出前市長室」を大津農協にて開催いたしました。

 第1回目は農業分野をテーマとして、市内認定農業者の方々約20名にご参加いただき、「市内農業の現況と課題」や「課題解決に向けての方策」などについて、活発な意見交換を行ったところであります。

 さらに、市民と行政が地域の課題を共有し、相互理解を深めることを目的とした「まちづくり出前市長室」につきましても、7月3日の木津神地区を皮切りに、自治振興会単位で順次開催する予定としております。

 今後もこのような直接対話の機会を通じて、出来るだけ多くの市民の声をお伺いするとともに、「市民提案制度」や「広報なるとの双方向型コーナー」など、さまざまな手段を講じて広く市民のご意見をお伺いすることで、市民の皆様の思いをしっかりと受け止めながら、市民目線に立った市政運営を進めて参りたいと考えております。

(5)事業仕分け

 次に、財政健全化への取り組みの一環として、7月31日に実施することとしております「事業仕分け」についてでありますが、本市では今年度の「事業仕分け」を、公開の場において、行政サービスの受益者である市民を始め、外部の学識経験者などの視点により、市が行っている各種事業の必要性や事業費の見直し等について議論を行っていただく「市民参加の事業仕分け」と位置付け、実施いたします。

 こうしたことから、「広報なると6月号」及び本市ホームページにおいて、事業評価者としてご参加いただける市民ボランティアの公募を行ったところであり、今後さらに、この市民ボランティアや学識経験者からなる「鳴門市事業仕分け委員会」において、対象事業の選定基準や仕分けを行う上での評価基準などについて検討を進めて参ります。

(6)鳴門市女性支援センター『ぱぁとなー』の開設

 次に、鳴門市女性支援センター『ぱぁとなー』の開設についてであります。

 近年急増しているDV(家庭内暴力)被害者からの救済支援も含め、年々、複雑化・多様化が進む女性からの相談に適切に対応するため、このたび、全国の市町村で14番目、四国の市町村では初めての「配偶者暴力相談支援センター」機能を備えた女性支援センターを4月1日に開設いたしました。

 5月15日には、センターの開設を広くお知らせするため、センター開設記念フォーラムを開催し、DVに関するパネルディスカッションや専門相談員による女性相談等を実施いたしましたところ、約150人の方々にご参加いただきました。

 センター開設後の相談件数も、4月は41件、5月は89件と、昨年度を上回る状況が続いており、センターの活動について着実に周知が進んでいるものと考えております。

 今後も、広く市民の皆様方へのセンターの業務内容の周知に努め、ひとりで悩みがちな女性が気軽に相談できる施設として、様々な悩みやご相談に適切に対応し、安心して社会生活を営むことができるよう支援して参ります。

(7)10%プレミアム付うずとく商品券

 次に、消費者の購買意欲の喚起と市内での消費拡大を促進するため、鳴門商工会議所と連携して昨年に引き続き発行を予定しております、総額1億円の「10%プレミアム付うずとく商品券」についてであります。

 現在、市内約240軒の加盟店舗で予約販売分の受付を行っており、7月3日には一般販売を予定しております。今年度は、加盟店舗での使用期限を7月1日から12月31日までの六カ月間に設定いたしますことから、より短期間での経済効果の波及につながるものと期待いたしております。

 なお、今年度は、鳴門商工会議所及び市観光協会と連携して人気アニメ「NARUTO(ナルト)」との共同事業にも取り組んでおり、今回の商品券を始め、阿波踊りポスターなどにも登場キャラクターをデザインに取り入れ、鳴門市の全国的な知名度アップにも繋げて参りたいと考えております。

(8)下水道事業

 次に、下水道事業についてであります。

 下水道事業につきましては、第一期事業区域において昨年4月より一部供用を開始して以来、戸別訪問や助成金制度の充実など、下水道への接続促進に向けた取組を進めてきたところであります。

 5月14日からは、私自身も戸別訪問を行い、市民の皆様のもとに直接お伺いして、下水道への接続をお願いして参りましたが、受益者負担金や下水道使用料についてのご意見、今後の下水道事業の進め方や将来に関する不安など、多くの方から様々な声をいただきました。

 現在、県から示されました策定マニュアルに基づき、「鳴門市汚水処理構想」の見直しを進めているところでありますが、本市の下水道事業はこの構想に基づいて計画され、事業に取り組んでいること、また、私たちが生活するために利用した水は適切に処理しなければならないという汚水処理に対する基本的な考え方を皆様に繰り返しお伝えするとともに、事業を停滞させることなく着実に推進することで、多くの方に水環境の改善を実感していただくことが何よりも重要であると再認識したところでございます。

 今後も、戸別訪問だけでなく、様々な機会を捉えて正確な情報を発信していくとともに、市民の皆様との対話を通じて、事業へのご理解が得られるよう最大限努めて参りたいと考えておりますので、ご協力をお願いいたします。

(9)本市の新たな公共交通体系の構築

 次に、本市の新たな公共交通体系の構築についてであります。

 これまで策定作業を進めておりました「鳴門市地域公共交通総合連携計画」につきましては、2月に実施いたしましたパブリックコメントの手続きを経て、去る3月30日に開催いたしました「鳴門市公共交通連携協議会」において正式に策定されました。

 計画では、「市民ニーズや社会環境の変化に対応し、利用しやすく効率的で、まち全体の活性化にもつながる新しい公共交通体系の確立を目指す」ことを基本方針とし、「効率的で持続可能な公共交通体系づくり」を始めとする4つの目標を掲げ、目標達成のために実施する各種事業を設定しております。

 この計画に基づき、早期に取り組むべき事業を着実に推進するため、今年度から新たに企画広報課内に交通政策室を設置したところであり、今後、新たな公共交通体系の構築に向けて、地域バスの路線再編や民間移管などについて順次取り組んで参ります。

 さらに、公営企業としてのバス事業からの撤退につきましては、撤退後の財政収支の見通しなどを総合的に考慮した上で、先の第一回定例会においてお示しした「市営バス・地域バスの年次的スケジュール」に従い、民間事業者との協議と平行して、庁内でのさらなる検討を進めて参りたいと考えております。

 今後も、市民ニーズや社会環境の変化に対応し、これからの時代に適合した新しい公共交通体系づくりに取り組んで参る所存でありますのでご理解を賜りたいと存じます。

(10)競艇事業の経営改善

 次に、競艇事業についてであります。

 競艇事業につきましては、これまで、本市の財政運営と地域経済の発展に大きく貢献して参りましたが、景気低迷やレジャーの多様化、ファン層の高齢化など複数の要因が重なり、舟券売上金は減少を続けております。

 これまで、舟券自動発売機導入による整理合理化や人件費を始めとした各種経費の削減など、経営改善に向けて様々な取り組みを進めて参りましたが、平成21年度決算におきましても二億六千万円を超える赤字が発生するなど、非常に厳しい経営状況が続いております。

 こうした状況を打開するため、昨年7月より「鳴門競艇のあり方に関する検討会議」を設置し、競艇事業の今後の目指すべき方向性について検討を進め、本年3月に経営改革に向けた取り組みの提案などを盛り込んだ報告書が提出されたことから、現在、報告書の内容を具体化するためのアクションプランを作成しているところであります。

 また、現時点におきましても出来ることから改革に取り組む必要があるため、既に関係皆様方との協議を進めてきたところであり、6月からは、特色あるレースの導入や競走時間の変更、電話投票や場内キャンペーンなど、売上向上に向けて様々な施策を実施しております。

 今後におきましても、経営改革に向けて、さらなる努力を重ねて参る所存でございますので、議員各位並びに市民皆様方のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。