アドバイス菜々『なると金時』

アドバイス菜々

材料選びや下ごしらえなど、ちょっとしたこころがけと工夫で見違えるほど仕上がりは変わるもの。
最後に、「なると金時」をよりおいしく召し上がっていただくために、簡単で有意義なアドバイスをいくつかご紹介しましょう。

 

なると金時は肌がきれいで身が締まったものを選ぶ

 おいしい料理をつくるには、素材のよさが必須条件。なると金時の場合は、次のポイントを参考にしてお選びください。皮は鮮やかな紅色、つややかでキズやシワのないものを。毛穴や芽が深すぎない、なめらかな肌がよいでしょう。そして身は、ふっくらとした紡錘形がおすすめ。ころっと太って、肉質がしっかりと緻密なのが美味とされています。素材を選んだら、さっそく下ごしらえ。皮つきのまま、また皮をむいて使うときも、流水の下できれいに洗います。くぼみの部分は特に汚れが残りやすいので、布でていねいに。それが終わったら、軽く水気を切り、料理に合わせて包丁で切っていきます。

なると金時

 

切ったなると金時は水にはなす

 下ごしらえの工程においては、アク抜きもかんじん。まず、皮なしで使用する時、皮は厚めにむくのがコツ。そうして適切な大きさに切った後、しばらく水にはなしておくと、より黄色くなり、おいしくきれいに仕上がります。

切ったなると金時

 

なると金時は冷蔵庫に入れない

 なると金時は、寒いところが大の苦手。冷蔵庫に入れるとしもやけを起こし、腐りやすくなるので注意が必要です。掘りたての品質を保つためには、貯蔵の温度と湿度が重要。残った分は切り口からしだいに傷んできますので、人数に応じてサイズを使い分けるなど、なるべく一度で使い切りましょう。 

 

料理によってサイズも使い分ける

 箱詰めで市販されている「なると金時」はほぼ大きさが一定ですが、本来は大小、長短、太さもさまざま。見た目はもうひとつ、でも、味はほとんど同じです。サイズの違いを料理に生かしてみませんか。煮物や天ぷらに、輪切りでそのまま使う場合は、ちょうどよいものを。また、細いとすじっぽく、大きすぎても火の通りが悪くなるので焼きイモには適しません。こうした少しの気配りで、ぐんと簡単でおいしくなります。

芋掘り

 

黄色く仕上げたいときはくちなしの実で

 黄色い身が自慢のなると金時ですが、より鮮やかに仕上げたい時には、くちなしの実を少量加えてください。包丁の背で実をつぶし、そのまま一緒に煮込むとみるみる冴えた黄色に。あらかじめ少量の水につけて着色し、その液を加える方法もあります。プロ級の技にあなたも挑戦してみませんか。

くちなしの実