無形民俗文化財 鳴門市の獅子舞

種別 無形民俗文化財
名称 鳴門市の獅子舞
員数 1件
所有者  
年代  
指定の理由及び文化財的特徴

徳島県内において「阿波の北方」と呼ばれる県北部一帯は、古くから獅子舞の盛んな地域とされ、中でも県東部の吉野川下流域に位置する現在の鳴門市域は、分布密度も高く最も盛んに伝承されてきた地域となっている。このことは、国内でも獅子舞の盛んな地域として知られる香川県の東部と隣接する地理環境が一因と考えられている。

鳴門市の獅子舞は、現在、市内12ヶ所で各地域の神社の祭礼などに合わせて行われている。これらの獅子舞は、獅子の二人立ち・二頭立て、大太鼓二つ、小太鼓二つの基本構成で、徳島県東部(吉野川下流域)の獅子舞の典型的な特色を有している。また、獅子は、動きが速く切れのよい暴れ獅子で、華やかな着物を着た太鼓役が太鼓を打ちつつ踊りをおどる形をとる。このほか、拍子木や手拍子(手鉦・摺り鉦)に加えて子役が獅子を誘導する「チョウコ」が入る地域が多いのも特徴である。獅子舞は、3~7段ほどの演目から構成され、演目の節目で中の人が交代しながら舞う。

鳴門市の獅子舞は、構成・道具・芸態・伴奏などから見て、いずれも同じ系統の獅子舞に属するものと位置づけられるだけでなく、チョウコや手拍子(手鉦・摺り鉦)などに香川県東部との共通性もみられる。現在は、獅子舞の構成や芸態、演目などが一部省略されている地域もあるが、多くの地域で徳島県東部における近世以降の伝統的な獅子舞の姿をよく伝えていると共に、鳴り物のリズムや獅子の動きなど細かい部分で地域ごとの特徴を持ちながら伝承されている。

このように、鳴門市が徳島県で獅子舞の最も盛んな地域であるだけでなく、伝統的な獅子舞文化圏の展開地域として一体的に評価できることから、市内各地の獅子舞は、文化圏を構成する伝統芸能の諸様相を示すものとして貴重である。

また各地域では、伝承のための保存団体を組織した上で、複雑な芸態の体得に時間を要する獅子舞の稽古に積極的に取り組んでおり、子どもが担うことも多い太鼓など鳴り物の稽古についても、地域ぐるみで支える習慣が根付いている。このことから、現在、市内で存続する獅子舞は、地域住民の伝統文化継承に対する高い意識に基づいた、地域社会の紐帯および地域への愛着を象徴する伝統芸能として重要である。

写真


1.池谷


2.市場


3.大谷


4.北泊


5.櫛木


6.宿毛谷


7.牛屋島


8.折野


9.大幸


10.萩原


11.桧


12.姫田

所在地 鳴門市内(12地区)