国登録有形文化財(建造物) 船本家牧舎(旧富田畜産部牧舎)

種別 国登録有形文化財(建造物)
名称 船本家牧舎(旧富田畜産部牧舎)
員数 1棟
登録年月日 平成16年11月8日
建設の年代または時代 大正6年/大正8年増築
登録の理由及び文化財的特徴

第一次世界大戦で、日本軍は一九一四(大正三)年に青島を攻略、四〇〇〇人余りのドイツ人俘虜を日本各地に送り、徳島市富田浦に一部が収容された。同五年四月板野郡板東町(現在の鳴門市大麻町)に収容所が新設されると、富田浦や松山、丸亀の収容所から九五三人が移された。その俘虜の中には、酪農や建築に優れた技能者が含まれており、純ドイツ式の牧舎を建設し、乳牛や豚の飼育と加工に本格的に乗り出した。事業は富田製薬(鳴門市)が行い、収容所の俘虜で建築技師のシュラーダーが設計を担当した。地元の大工、左官、俘虜ら三〇余人が五ヶ月をかけて一期工事(西棟と東棟の約半分)を完成させた。同八年、二期工事で増築し、海部郡出身の獣医・船本宇太郎を招いて管理人とした。建物の構造は、一階がレンガ造、二階が木造の混構造とする。一階の北側には燻蒸釜も造られ、大屋根のトラス上部に越屋根を付けるなど近代的な建物として当時は脚光をあびた。なお、この建物がモデルとなり賀川豊彦記念館が建てられた。

参考文献
『徳島の文化財』 徳島県教育委員会 徳島新聞社 平成一九年三月三一日発行 P68

写真

所在地 大麻町桧