南海トラフ巨大地震の被害想定等について
1.これまでの経緯
内閣府は、「これまでの防災対策の進捗状況」や「最新の知見」等を踏まえ、令和7年3月31日に、平成24年度に公表した南海トラフ地震被害想定を13年ぶりに見直しました。この被害想定は国が広域的な防災対策を検討する目的で実施したものです。
これに伴い、徳島県では最新の地形データなどを反映し、より詳細な県独自の「徳島県津波浸水想定」が9月12日に公表されました。
2.徳島県独自の津波浸水想定
今回公表された津波浸水想定は、平成24年度に公表された県の津波浸水想定と比べると、徳島県全体で約21.1%、鳴門市では約21.0 %の津波浸水面積が減少しております。
一方で、浸水面積が増加している箇所もあり、主な増減理由としては以下のとおりとなっております。
●減少要因
・施設整備の進捗(高速道路盛土、堤防耐震化)
●増加要因
・朔望平均満潮位の上昇
・地形データの精緻化により、低地部分を高精度に反映
下図は平成24年度と今回(令和7年度)の県の津波浸水想定を比較したもので、赤色で示した範囲は「令和7年度津波浸水想定のみで浸水する範囲」、水色で示した範囲は「平成24年度津波浸水想定のみで浸水する範囲」、緑色は「両想定で浸水する範囲」を示したものになります。
徳島県津波浸水想定図<拡大したい場合はこちらをクリック>
3.内閣府及び徳島県の被害想定の主な内容
新たに公表された内閣府及び徳島県の被害想定の主な内容は、下記のとおりです。
① 津波浸水面積
想定項目 | 内閣府想定 | 徳島県想定 | ||
---|---|---|---|---|
津波浸水面積 (浸水深1cm) |
H24 | R7 | H24 | R7 |
徳島県 | 117.6km² | 148.6 km² | 201.4 km² | 158.9 km² |
鳴門市 | 16.2km² | 25.3 km² | 35.3 km² | 27.9 km² |
② 鳴門市の最大津波高
想定項目 | 内閣府想定 | 徳島県想定 | ||
---|---|---|---|---|
最大津波高 | H24 | R7 | H24 | R7 |
鳴門市 | 7m | 7m | 8.2m | 6.1 m |
③ 鳴門市の津波影響開始時間 ※1
想定項目 | 内閣府想定 | 徳島県想定 ※2 | ||
---|---|---|---|---|
津波影響開始時間 初期水位±20cm |
H24 | R7 | H24 | R7 |
鳴門市 | - | - | 19分 | 16分 |
※1 津波影響開始時間とは、代表地点における地震発生から初期水位±20cmの変化が生じるまでの時間
※2 鳴門市において最短で津波の影響が確認される粟津漁港での開始時間
④ 鳴門市の津波到達時間 ※3
想定項目 | 内閣府想定 | 徳島県想定 | ||
---|---|---|---|---|
津波到達時間 津波高+1m |
H24 | R7 | H24 | R7 |
鳴門市 | 49分 | 47分 | - | 50分 |
※3 津波影到達時間とは、代表地点における地震発生から初めて初期水位+1mの高さとなるまでの時間
※4 鳴門市において最短で津波の到達が確認される里浦海岸での到達時間
⑤ 被害想定
主な想定項目 | 内閣府想定 | 徳島県想定 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
H24 | R7 | H24 | R7 | |||
徳島県 | 死者数(最大) | 31千人 | 41千人 | 31.3千人 | 見直し中 | |
建物倒壊 | 5.2千人 | 4.9千人 | 3,9千人 | 見直し中 | ||
津波 | 25千人 | 35千人 | 26.9千人 | 見直し中 | ||
地震火災 | 0.5千人 | 0.4千人 | 0.47千人 | 見直し中 | ||
全壊焼失棟数 | 133千棟 | 136千棟 | 116.4千棟 | 見直し中 | ||
揺れ | 90千棟 | 89千棟 | 61.8千棟 | 見直し中 | ||
津波 | 15千棟 | 19千棟 | 42.3千棟 | 見直し中 | ||
地震火災 | 22千棟 | 24千棟 | 12.3千棟 | 見直し中 | ||
避難者数 (最大) | 390千人 | 484千人 | 362.6千人 | 見直し中 | ||
災害関連死 | - | 1.2~2.4千人 | - | - |
※ | 内閣府想定(H24)は、平成24年8月29日に内閣府が公表された被害想定 |
---|---|
※ | 内閣府想定(R7)は、令和7年3月31日に内閣府が公表した被害想定 |
※ | 徳島県(H24)は、平成24年10月31日、平成25年7月31日及び平成25年11月25日に徳島県が公表した徳島県津波浸水想定及び被害想定 |
※ | 徳島県(R7)は、令和7年9月12日に公表した徳島県津波浸水想定 |
※ | 数値は十の位または百の位で処理しており、合計が合わない場合がある。 |
※ | 市町村ごとの内訳は示されていない。 |
4.今後の対応
徳島県において、徳島県独自の津波浸水想定が公表されましたが、より精緻なデータをもとに「徳島県独自の被害想定」の見直し(「3.内閣府及び徳島県の被害想定の主な内容」の【見直し中】に係る箇所等)も早期に進めているところです。
津波浸水想定においては、平成24年度と比較した際に被害は減少されましたが、今回の結果に一喜一憂せず、今後も切迫する「南海トラフ巨大地震」を見据え、現在の進捗状況を踏まえたうえで、徳島県、県内市町村及び自主防災会含む関係機関等と連携し、更なる対策を推進していきます。
詳細については、徳島県のウェブサイトにて公表されておりますので、ご確認よろしくお願いします。
安心とくしま:https://www.pref.tokushima.lg.jp/anshin/kinkyu/saigai-info/7247695/