平成21年鳴門市議会第4回定例会

■目 次 

(1) はじめに  

(2) 市政運営に当たっての基本方針「3つの約束」 

(3) 市政運営に当たっての基本方針「7つの挑戦」 

(4) さいごに 

(1)はじめに

 新年あけましておめでとうございます。

 市民の皆様方には、希望に満ちた新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。また、議員各位におかれましては、年始何かと御多忙中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。

 初めに、去る12月6日に執行されました鳴門市議会議員選挙におきまして、厳しい選挙戦を勝ち抜かれ、目出たく御当選の栄誉に浴されました議員皆様方に対しまして、心よりお慶びを申し上げる次第でございます。

 鳴門市の輝かしい未来のため、議員皆様方とは、十分な意思の疎通を図らせていただきながら、共に取り組んでまいる所存でございますので、格別のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 さて、今期定例会には、平成21年度鳴門市一般会計補正予算案を始め、各種議案につきまして、ご審議をお願いすることといたしておりますが、今議会は、私が市政を担当することとなって、初めての定例会でありますので、各種提出議案のご説明に先立ち、今後の市政に取り組む基本的な考え方を申し上げ、議員各位を始め、市民の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。

 私は、吉田前市長のご逝去に伴い、去る10月11日に行われた市長選挙におきまして、市民の皆様から力強いご支援を賜り、第九代鳴門市長として今後4年間、市政をお預かりすることとなりました。

 今、この壇上に立つとき、その責任の重さを痛感し、改めて身の引き締まる思いがいたしております。

 吉田前市長におかれましては、厳しい本市の財政状況の中、行財政改革を推進するとともに、喫緊の課題であります、下水道事業の供用開始に取り組むなど、並々ならぬ御苦労をされ、成果を挙げてこられました。

 ここに、市政発展に御尽力されました御功績と御労苦に対し、心から敬意と感謝の意を表する次第であります。

 さて、我が国におきましては、急速に少子高齢化が進むとともに、三位一体改革による地方交付税の縮減など、地方は疲弊し、あらゆる面で「都市と地方」の格差が拡大してきております。

 一昨年の秋以降、米国サブプライムローンに端を発した「百年に一度」と言われる「世界的な経済危機」が起こり、更に、昨年には、「ドバイ・ショック」といわれる急激な「円高・株安」も進行し、我が国経済は、これまでにない試練に立たされております。

 また、先の衆議院議員選挙では、歴史的な「政権交代」が起こり、猛烈なスピードで、補正予算の執行見直しや「事業仕分け」による事業見直し作業などが進められております。

 年末の12月25日には、新政権による平成22年度の政府予算案が閣議決定されるなど、地方としては、新政権の動きに目が離せない毎日が続いております。

 一方、本市におきましては、競艇からの繰入金に依存した財政運営が長年続いてきたこともあり、競艇の繰入金が急速に縮減しはじめた平成10年ごろから「財政再生団体」への転落を回避するため行財政改革を進めている最中にあります。

 改革の成果は着実に出てきているとはいえ、我が国経済を取り巻く環境の悪化は如何ともしがたく、本市の行財政運営は、依然として厳しいものがあると言わざるを得ません。

 このような状況の中、私は、15年間の市職員、6年半の市議会議員の間、一貫して、「鳴門の将来のこと」を考え続けてまいりました。

 今から30数年前、鳴門市は、県下の中で最も賑やかで、笑顔あふれる、他の市町村も羨む街であったと思います。私はもう一度この愛する鳴門市を「笑顔一杯の賑わいあふれる街」にしたい。こうした思いから、市長選への立候補を決意いたしました。

 私は、選挙戦を通じ、「子どもたちの未来のために」「笑顔とにぎわいあふれるまちづくり」をスローガンに、確実に実行をお約束する基本方針としての「3つの約束」と、市民の皆様とともにチャレンジしていく「7つの挑戦」をマニフェストに掲げ、市内をくまなく回りました。

 こうした中、「景気や雇用を何とかして欲しい」「将来に夢と希望の持てる鳴門を実現して欲しい」という切実な多くの市民の皆様の声をお聞きしました。

 私は、これら市民の皆様の声にお応えすべく、市職員、市議会議員を通じて積み重ねて参りました行政経験をフルに活かし、「県下一若い首長」として、私自身が先頭に立ち、知恵を絞り、創意工夫をこらすとともに、鳴門市政の未来を拓くために、市政運営に全力で取り組んでまいる所存でございます。

 その前提として、絶えず市民の皆様の声を広くお聞きしながら、市民の皆様と一緒に政策を作り上げていくという基本姿勢を貫いていく所存でありますので、議員各位を始め市民の皆様のご理解、ご協力を心からお願い申し上げます。

(2)市政運営に当たっての基本方針「3つの約束」

 次に、私の市政運営に当たっての基本方針についてご説明を申し上げます。

 私の市政運営につきましては、先の市長選挙において、お示しいたしました「3つの約束」、第一に「市民の皆様とともに歩む市政」、第二に「笑顔とにぎわいあふれる市政」、第三に「清新で公正な市政」を基本方針としてまいります。

 はじめに、第一の「市民の皆様とともに歩む市政」についてであります。

 私は、市民の皆様との対話を通じて、市民の皆様のご意見や考えを市政に反映し、ともに歩む市民参加のまちづくりを目指します。

 まずは、市民参加と協働の実現に向け「自治基本条例」の制定に取り組み、市民の皆様と将来のまちづくりについて話し合う「まちづくりフォーラム」を開催いたします。

 また、自治振興会、NPO団体等ボランティア団体と連携しながら、住民参加の協働事業を推進するとともに、市民の皆様の知恵をお貸しいただき、政策的な意見を市政に反映させる「市民提案制度」の充実を図ってまいります。

 次に、第二の「笑顔とにぎわいあふれる市政」についてであります。

 今、鳴門市にお住まいの皆様、また、訪れていただいた方々の笑顔のあふれるまちづくりを目指します。

 このため、救急医療体制の確保や地域医療の核である鳴門病院の支援を推進していくとともに、未来を担う子どもたちの健やかな成長のため、幼少期における発達過程に不安を抱える子どもたちへの支援など、「子ども対策の充実」を図ってまいります。

 また、全ての市民の皆様がいつまでも健康で暮らしていただくための、「総合型地域スポーツクラブ」との連携による健康づくり事業の推進や、地域の資源を活かしながら地域課題の解決を「ビジネス」の手法で取り組んでいこうとする「コミュニティ・ビジネス」の育成を図るとともに、地元商工業の発展と経済対策の観点から、商工会議所と連携し「プレミアム商品券の発行」を行ってまいります。

 次に、第三の「清新で公正な市政」についてであります。

 市民に分かりやすい情報公開をすすめることにより、「清新で公正な市政」を実現します。

 このため、広報紙面やテレビ番組をリニューアルし、分かりやすい行政情報の公開に努めるとともに、電子入札による「一般競争入札」の導入などの入札改革にも努めてまいります。

 また、財政健全化に向け、現行の財政健全化計画、集中改革プラン及び公営企業の経営計画を併せた「スーパー改革プラン」を策定し、実行いたします。さらには、寄附の目的の具体化を推進する、分かりやすい「寄付金制度」の確立に努めてまいります。

(3)市政運営に当たっての基本方針「7つの挑戦」

 次に、これらの「3つの約束」とは別にハードルを更に上げ、私が皆さんと共に挑戦していきたい項目をお示しさせていただきました「7つの挑戦」についてご説明申し上げます。

 まず、第1点目は「のびのび なると」についてであります。

 次世代を担う子どもたちは、地域の大切な「宝」であり、「のびのび」と育つ環境で「子どもたちの歓声が聞こえるまちづくり」を推進します。

 生まれてから、保育所、幼稚園、小学校を通じ、共働きでも子育てに困らない「子育てサポート環境」の充実を図るため、今年度中に策定する「次世代育成支援対策行動計画(後期計画)」を着実に実行するとともに、保護者を中心に地域の皆様としっかり話し合いながら、子どもたちにとってより良い「学校環境づくり」を推進します。

 また、子どもたちが、安全に教育・保育を受けられる環境をめざし、「学校・幼稚園・保育所の耐震化事業」を促進するとともに、食物を大切にし、生命を大切にする心、郷土を思う心を育てるため、鳴門の特産品を使った郷土食を献立に加えた「郷土の食育」にも取り組んでまいります。

 次に、第2点目の「いきいき なると」についてであります。

 お年寄りや障がいを持つ方々、妊婦や子どもなど、すべての市民が「いきいき」と暮らせる「健康生きがい社会」の実現を目指します。

 生涯にわたって健康で安心して暮らせるよう、生活習慣病や三大疾病などの予防を始め、お年寄りや障がいを持つ方々が、ボランティアやコミュニティビジネス、市民講座などを通じて地域で働け、楽しめる「生きがい環境づくり」を推進していくとともに、すべての市民が参加できる「スポーツイベント」を開催するなど、市民の健康づくり対策に取り組んでまいります。

 さらに、医療に関わる方々にご参加をいただき、地域の医療や救急体制について話し合う、仮称ではありますが「医療議会」の開催を検討するなど「健康生きがい社会」の実現に向け、各種施策の展開を図ってまいります。

 次に、第3点目の「あんしん なると」についてであります。

 今後30年間で50%の確率で発生が予測されている南海地震などに備え、市民の生命と財産を守るため、安全で「あんしん」して暮らせるまちづくりを推進します。

 また、高規格救急車の整備や救急救命士の養成を行い、「救急体制の充実」を図り、災害に対する危機管理体制の強化と防災拠点施設の整備のため「災害対策本部機能を合わせ持った消防庁舎」を建設いたします。

 さらに、緊急時の避難経路や輸送経路を確保するため、「橋りょうの耐震化と長寿命化」を推進し、市民皆様方との協働による危機対応能力の強化を図るとともに、公共施設の耐震化など、防災対策を積極的に推進してまいります。

 また、四国の市町村では初めてとなります「女性支援センター」を設置し、DV被害者などへの支援を行ってまいります。

 次に、第4点目の、「にぎわい なると」についてであります。

 鳴門の「観光・文化ブランド力」を活かし、人が集まる、人がふれあう、人がとどまる、「にぎわい」のまちづくりを目指します。

 鳴門の観光財産「鳴門公園」の世界遺産化に向けた取り組みの推進や、「ドイツ村公園」の国指定文化財化を目指すなど「観光ブランド化」を推進し、産直市などの第一次産業や「美食」「エステ・岩盤浴」などの女性向けサービス産業と連携することで、「特色ある観光コース」の設定を行い「滞在型観光」を促進して参ります。

 さらに、市民参加型のイベントやプロスポーツとの連携による「人と人がふれあう交流の場づくり」の推進や、文化振興の分野におきましても、「第九」初演の地のブランド化を図り、観光・文化振興による交流人口の増加を図るとともに、文化ボランティアの育成や文化的地域貢献活動などの推進に取り組みます。

 次に、第5点目の、「にこにこ なると」についてであります。

 鳴門の「きれいな空気と美しい水」を大切にし、そこで育まれる農水産品の「鳴門ブランド」を守り、育てることにより、「笑顔」あふれるまちづくりを推進します。

 「きれいな空気と美しい水」実現のために、学校施設への「太陽光発電装置」の整備を促進するとともに、環境学習館における環境講座の充実を図り、「環境を大切にする心」を育てる環境教育・環境学習を推進してまいります。

 また、水環境の整備につきましては、地域の皆様としっかり話し合いながら、下水道事業を含めた汚水処理に関する全体計画の見直しを図るとともに「単独浄化槽」から「合併浄化槽」への転換を促進するなど、鳴門の「美しい水環境」を守ります。

 農水産業振興においては、「産直市」などの支援を行うとともに、農水産品の「鳴門ブランド」を守り育てることにより、農漁業者と関連商工業者の経営を支援してまいります。

 また、「新規農業者養成塾」を関係機関と連携して開催することにより、農業の「担い手育成対策」を実施し、農業後継者の育成確保に関する施策も講じてまいります。

 商工業分野においては「なるとソフトノミックスパーク」など、本市への企業誘致を推進するとともに、商工業発展のために関係機関と協力し、起業支援や新事業創出、販路拡大のための「ビジネスサポーター制度」の充実、鳴門市の誇る「伝統的な産業」を全国にPRすることによる、地場産業の振興などに取り組んで参ります。

 次に、第6点目の、「いっしょに なると」についてであります。

 市民の皆様の声をお聞かせいただき、一緒に考え、一緒に行動する「市民とともに歩む鳴門市」の実現に取り組んで参ります。

 地域での主体的な取り組みによる地域課題の解決を主眼とした「統合補助金」制度の導入を図り、自治振興会と連携した「まちづくり」を推進します。

 また、産業分野ごとに抱えている課題やその解決策について話し合う「産業型出前市長室」を開催いたします。

 さらに、「広報なると」に市民の皆様からの声を届けていただき、その声に答える「双方向型コーナー」の導入、さらには、厳しい財政状況の情報共有化を図り、ともに考えていただくための「予算編成過程の公開」の実施や事務事業見直しのため、市民参加の「事業仕分け」を導入して参ります。

 次に、第7点目の、「しっかり なると」についてであります。

 市民サービスを守り、セーフティネットやまちづくりの財源を確保するため、無駄や非効率な部分を見直し、「しっかり」行財政改革を推進します。

 このため、将来に向けての財政計画を市民の皆様にお示しする「財政健全化計画」の見直しを図り、財政健全化を推進するとともに、競艇事業を始めとする公営企業については、「企業経営のあり方」について抜本的な見直しを行います。

 さらには、「児童虐待」、「自殺予防」、「振り込め詐欺」など市民皆様の不安や心配事に配慮する相談窓口の設置や、研修プログラムの充実による「人材育成」と「組織のスリム化」を図ることにより、市民サービスを守る「適切な定員管理」を促進して参ります。

(4)さいごに

 以上、「笑顔一杯の賑わいあふれる街鳴門づくり」を進めていくための基本的な考え方や、重点的に取り組む施策について申し述べました。

 そして、これらのお約束を実現していくに当たっての私の強い決意として、企業誘致、農水産品、観光交流のPRと「新たな財源」の確保に「トップセールス」で鳴門を売り込むこと、私自身の「給与・期末手当・退職手当」を25%カットすること、現市長車・副市長車を廃止して一般公用車を使用すること、の3つを「私の姿勢」として示させていただきました。

 これらの施策の中には早期の実施が必要な項目、中長期的視野で実現を目指すべき項目など様々なものがございますが、早期の実施が必要な項目の推進に当たりましては、今後とも可能なものからスピード感を持って実施していきたいと考えております。

 全体としましては、こうした私の政策を「第五次鳴門市総合計画・後期基本計画」実施計画の中に位置付け、主な項目につきましては、これまでの施策との整合性も図り、早期に実施する事業につきましては、現在編成作業中であります、「平成22年度当初予算」において、その具現化を図ってまいりたいと考えております。

 鳴門市は、まだまだ未来を描ける位置にあります。

 私自身、ふるさと鳴門市の未来を切り拓くことに全力をかけ、市民や職員の皆さんと気持ちをひとつにして、笑顔とにぎわいあふれるまちづくりに邁進してまいる所存でございます。

 「こどもたちの未来のために」考え、行動することは、「鳴門市民全員の未来のために」また「鳴門市の未来の発展」にも繋がるものと考えておりますので、議員各位を始め、市民の皆様方のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。