令和7年鳴門市議会第3回定例会
◆ 目 次
(1)はじめに
本日、第3回定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、公私何かとご多忙中にもかかわりませず、ご出席を賜り、誠にありがとうございます。
今期定例会におきましては、令和7年度鳴門市一般会計補正予算案など、各種議案を提出いたしておりますが、これらの議案説明に先立ちまして、まずは、諸般の報告と当面の諸課題についての所信を申し上げ、議員の皆様をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
(2)「防災対策・災害対応」について
はじめに、「防災対策・災害対応」についてであります。
去る7月17日、気象庁から徳島県・高知県を対象に「線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけ」が発表されました。
本市においては、線状降水帯に対する独自の対応基準を策定しており、気象庁の発表を受け、速やかに警戒本部を設置し、13支部の開設準備体制を整える等の対応を行いました。
また、7月30日にはカムチャツカ半島付近を震源とする地震が発生し、徳島県に「津波注意報」が発表されたことを受け、速やかに警戒本部を設置し、沿岸部に「避難指示」を発令するとともに、避難所を開設いたしました。
幸いなことに、本市においては線状降水帯の発生までには至らず、また、津波による人的及び住家被害などもなかったところであります。
今後は、今回の経験を踏まえて運用を改善しながら、引き続き災害時の体制整備を図り、市民の生命と財産を守るため、災害対応を迅速に行うとともに、来るべき南海トラフ地震に備え、安全安心なまちづくりを推進してまいります。
(3)「第107回全国高等学校野球選手権大会」について
次に、「第107回全国高等学校野球選手権大会」についてであります。
7月の徳島県大会において鳴門渦潮高等学校との決勝戦を制した鳴門高等学校硬式野球部が、3年ぶり15回目の甲子園出場を果たされました。
鳴門高校は、大会2日目となる8月6日の第4試合で奈良県代表の天理高校と対戦し、強豪校相手に5対4で見事な逆転勝ちを収めました。
続いて8月14日に行われた2回戦では、今大会の優勝校となった沖縄県代表の沖縄尚学高校に0対3で惜しくも敗れましたが、最後まで逆転を信じて戦う姿に大きな感動を与えていただきました。
鳴門高校硬式野球部の皆様の健闘を称えますとともに、今後の更なるご活躍をお祈りいたします。
(4)「鳴門の夏まつり」と「鳴門市阿波おどり」について
次に、「鳴門の夏まつり」と「鳴門市阿波おどり」についてであります。
去る8月7日、「納涼花火大会」をリニューアルしたイベント「BOAT RACE鳴門PRESENTS鳴門の夏まつり~ 歌と花火のファンタジックショー」を鳴門・大塚スポーツパークにおいて、初めて開催いたしました。
アニメ「ポケットモンスター」の主題歌で有名な松本梨香さんを迎えたステージショーをはじめ、縁日やマルシェなどで賑わい、フィナーレには、音楽やレーザーライトによる多彩な演出にあわせて約1,000発の花火を打ち上げました。
初めての試みでありましたが、約3万5,000人の方にご来場いただき、大きな混乱もなく、皆様にお楽しみいただけたものと考えております。
また、「鳴門市阿波おどり」につきましては、天候不良のため、2日目が中止となったものの、2日間で約4万5,000人の方にご来場いただきました。
鳴門市阿波おどりPR大使の石田靖さんや鳴門観光大使の青山隼さんなどのゲストに演舞場を盛り上げていただくとともに、にわか連の参加者には「ししゃもねこ手ぬぐい」を配布するなど、本市のPRを行いながら、熱気あふれるイベントが実施できたものと考えております。
イベントの実施に際し、ご協力を賜りました鳴門商工会議所、鳴門市うずしお観光協会をはじめ、市民の皆様、関係者の皆様に改めて厚くお礼を申し上げます。
(5)「鳴門海峡の渦潮」国際シンポジウムについて
次に、「鳴門海峡の渦潮」国際シンポジウムについてであります。
去る9 月1 日、兵庫県南あわじ市において開催されました「鳴門海峡の渦潮」国際シンポジウムに参加し、鳴門の渦潮の普遍的価値や海外の事例に関する基調講演を拝聴するとともに、ユネスコ等の世界遺産関係者との意見交換を行ってまいりました。
鳴門の渦潮の魅力や共同研究、世界遺産登録の可能性などについて、識者の皆様から貴重なご意見をいただくとともに、本市高校生の「渦潮は地域の誇りであり、みんなで協力し守りつないでいく」という力強いメッセージに触れ、改めて、徳島県や兵庫県、南あわじ市をはじめ、関係団体等の皆様とともに、世界遺産登録に向けた取組を着実に進めていかなければならないと感じたところであります。
議員の皆様をはじめ、市民の皆様には、引き続きご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
(6)「中心市街地の活性化」について
次に、「中心市街地の活性化」についてであります。
大道銀天街のコワーキングスペースを活用したインキュベーション施設については、現在、関係各所との協議を進めており、10月中のオープンを予定しております。
本施設は、起業・創業の支援拠点としての機能はもちろん、若い世代の「やりたい」を応援する場所を目指すこととしており、中学生から大学生までが気軽に集まることができ、親しみやすい施設となるよう、7月16日から愛称の募集を開始し、現在は選考作業を進めているところであります。
コワーキングスペースを運営する「株式会社HIROKA」と連携して市内での起業・創業を促進し、地域経済の活性化を図るとともに、「起業」をテーマに若者が集まる拠点を創出し、中心市街地の活性化を図ってまいります。
(7)「庁舎周辺施設の利活用」について
次に、「庁舎周辺施設の利活用」についてであります。
障がいの有無や年齢に関係なく、誰もが利用しやすいインクルーシブな施設として、「鳴門市地域共生センター」を旧鳴門市分庁舎の1階に設置することとし、本年11月1日のオープンに向けて改修工事を進めており、8月1日からセンター使用の事前申込を開始したところであります。
センター内には、市内に在住、在勤、在学する方や、市内に活動の本拠を有する団体が使用できる「多目的室」、「中会議室」、「談話室」に加え、市内に活動の本拠を有する障がい者等の当事者団体や支援団体が使用できる「障がい者活躍ルーム」を整備することとしており、いずれの施設も使用料は無料としております。
また、「鳴門市産業振興センター」につきましては、鳴門市社会福祉協議会が移転することを踏まえて、10月1日に「鳴門市産業福祉センター」に名称を変更することとし、現在、改修工事を進めており、7月7日から2階会議室の予約受付を開始しております。
両施設ともに、利用しやすく、皆様に親しまれる施設となるよう利用再開に向けた準備を進めてまいります。
(8)「民間提案制度」について
次に、「民間提案制度」についてであります。
旧教育委員会棟である「UZUビル」については、「民間提案制度」を活用し、2階フロアに大手製造系人材派遣サービス企業である「株式会社ワールドインテック」の誘致が実現しております。
この度、更なる施設の有効活用を図るため、8月19日から1階フロアについての提案募集を開始いたしました。
また、旧鳴門東小学校・幼稚園につきましても、9月中の提案募集の開始に向けて準備を進めており、これまでの閉校施設利活用事業と同様に、地域経済の活性化など、地域振興に寄与することを条件とした無償貸付を行いたいと考えております。
今後も、公共施設の有効活用を図りながら、地域課題の解決につながるよう、積極的に民間提案制度を活用してまいります。
(9)「企業誘致と雇用の創出」について
次に「企業誘致と雇用の創出」についてであります。
少子高齢化が急速に進展する中、本市からの人口流出を抑制し、本市の転入者を増やすためには、子育て世代に対する支援に注力するとともに、企業誘致に積極的に取り組み、若い世代や女性など、新たな雇用を創出することが重要であります。
直近では、本年5月に「株式会社ワールドインテック」の誘致が実現し、旧教育委員会棟に事務所及び教育研究施設が新設され、170人の雇用が創出されました。
全国的に製造業企業を顧客に持つ同社とは連携協定を締結し、これまでアプローチが困難だった県外企業を含めた誘致活動をスタートしております。
また、旧大麻学校給食センターを活用し、食品製造業を中心に誘致活動を行った結果、病院・高齢者施設向けに配食サービス事業を展開する企業の進出が決定し、将来的に60人から70人規模の雇用が創出されることとなっております。
さらに、徳島県が推進している「徳島バッテリーバレイ構想」につきましても、本市から立地候補地を提案しているところであり、蓄電池関連産業の企業誘致にも取り組んでいきたいと考えております。
一方、これまでの製造業中心の企業誘致に加え、スタートアップやコールセンターの誘致にも精力的に取り組んでまいりました。
若い世代や女性の雇用創出が見込めるコールセンターについては、現在本市に関心を示している企業と誘致交渉を行っているところであり、誘致が実現すれば50人から60人規模の雇用が創出される予定であります。
今後も幅広く企業誘致に取り組み、新たな雇用創出に努めてまいります。
(10)「なるとのうた」について
次に、「なるとのうた」についてであります。
本市では、市制施行1 周年を記念するとともに市民の愛市意識を高めることを目的として、鳴門の渦のすばらしさや市勢発展を表現した明るい内容の歌詞を一般から公募の上、「市民歌」を昭和23年7月に制定しており、現在も市制施行記念表彰式や、はたちの記念式典などの公式行事で斉唱されますほか、業務開始前に、庁舎内において放送しております。
またこの度、地元有志の皆様が鳴門の風土や歴史、将来への希望を歌詞に込めた「なるとのうた」を自主的に制作され、7月18日より音楽配信サイトでリリースを開始しております。
鳴門の魅力が詰まった歌詞と、鳴門から新たに生まれた音楽と歌声を楽しんでいただくとともに、SNSのBGM等で自由にお使いいただけるものとなっておりますので、積極的にご活用いただき、鳴門の魅力を世界中に発信していただけますようお願いいたします。
(11)「なると第九」について
次に、「なると第九」についてであります。
去る8月24日に開催されました「認定NPO法人鳴門『第九』を歌う会」の総会において、同法人の解散が決定されました。
長年にわたり「なると第九」を支えていただいたことに改めて感謝を申し上げます。
市としても「なると第九」を次世代に継承していくことができるよう、これまでの実施体制の状況把握や開催手法の情報収集に努め、これからの運営について、早急に議論を行ってまいります。
令和9年の「第九」演奏会については、今後、指定管理候補者とも協議を行いながら、開催に向けた準備を進めてまいります。
(12)「ボートレース事業」について
次に、「ボートレース事業」についてであります。
ボートレース鳴門では、昨年度は「プレミアムGⅠ第25回マスターズチャンピオン」競走を開催し、今年度は来年2月に「プレミアムGⅠ第2回スピードクイーンメモリアル」競走を予定しているなど、これまでもグレードレースの誘致に努めてきたところでありますが、この度、来年の6月23日から28日までの6日間、「SG第36回グランドチャンピオン」競走を開催することが決定されました。
「グランドチャンピオン」は9年ぶり2回目の開催で、SGレースとしましては令和4年度の「チャレンジカップ」以来、4年ぶり5回目の開催となります。
この度の「グランドチャンピオン」開催を、ボートレース鳴門と本市を内外にPRする絶好の機会と捉え、更なる売上向上を図るとともに、皆様に親しまれる「ボートレース鳴門」を目指し、準備を進めてまいります。
(13)「9月補正予算案」について
次に、「9月補正予算案」についてであります。
まず、国の「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」の令和7年度一般会計予備費分を活用した「物価高騰対策」についてであります。
(ⅰ)「物価高騰対策」について
1つ目に、「給食費無償化事業」ついてでありますが、学校給食費につきましては、これまでも食材料費の高騰分を給食費に転嫁しないことで、給食費の増加を抑制するとともに、令和5年度からは、教育費などの経済的負担が大きくなる中学3年生を対象とした無償化を実施してまいりました。
加えて、就学前児童については、令和元年度から保育所、認定こども園、幼稚園の給食副食費の無償化事業を開始し、令和4年度からは食材費の高騰による質の低下や保護者負担額の増加を招かないよう、その補助上限額を国基準額から増額するなど、さまざまなステージにある子育て世帯を多角的に支援する施策を実施してまいりました。
しかしながら、依然として物価は上昇傾向にあり、子育て世帯の経済状況はますます厳しくなっているものと認識しております。
そこで、本年10月以降、新たに小学1年生から中学2年生までの学校給食費についても無償化することとし、市外の学校へ通うなど、何らかの理由で給食費無償化の支援を受けられない市内在住の児童・生徒の保護者には、給食費相当分として最大で3万円を支給することといたします。
さらに、保育所、認定こども園、幼稚園に通う3歳以上児に係るパン、白米等の主食に係る費用についても、10月以降は補助の対象とすることといたします。
これにより、保育所、認定こども園、幼稚園、小学校、中学校の給食無償化を実現し、子育て世帯の経済的負担の軽減を重点的に図ることにより、安心して子育てを行うことができる環境づくりを推進してまいります。
2つ目に、本市の基幹産業である一次産業に従事する方を支援するため、認定農業者や認定新規就農者が行う機械設備の導入や施設整備を支援する「農業経営基盤強化支援事業補助金」の予算額を大幅に増加するとともに、漁村の活性化に向けて中心的な役割を担う市内8漁協に対して、「『鳴門の海業』推進交付金」により支援を行うことで、豊かな自然や漁村ならではの地域資源の価値や魅力を活かした「海業」を推進してまいります。
(ⅱ)「RSウイルス感染症重症化予防事業」について
次に、「RSウイルス感染症重症化予防事業」についてでありますが、RSウイルス感染症は、2歳までにほぼすべての子どもが感染し、特に、生後6か月以内の新生児等については、気管支炎、肺炎など重症化する可能性が高いと言われております。
RSウイルス感染症の治療薬は存在しないことから、予防策として、保険適用外である基礎疾患等を有しない1歳未満の子どもを対象に、全国2例目となる予防薬投与に係る費用の助成を実施することといたしました。
新生児・乳児の重症化を予防するとともに、看護する保護者の心身・経済的負担を軽減し、子育て支援のさらなる充実を図ってまいります。
(14)「健康福祉交流センター改修事業」について
次に、「健康福祉交流センター改修事業」についてであります。
本年3月より募集をしていました「文化会館」及び「健康福祉交流センター」の指定管理候補者について、6月26日に開催しました選定委員会において「鳴門文化交流パートナーズ」を選定し、公表いたしました。
健康福祉交流センターにつきましては、建物全体の改修工事の契約に係る議案を今定例会に上程しているところであり、1階と2階に設置する予定の遊び場機能と多目的スペースエリアの設計業務、指定管理候補者が行う開館準備業務について予算を計上しております。
市の子育て支援の拠点として、未来を担うすべてのこどもの健やかな成長を後押しできるよう、誰もが利用しやすく、こどもにとって魅力的な施設の整備を進めてまいります。
(15)「農業支援パッケージ事業」について
次に、「農業支援パッケージ事業」についてであります。
本市では、令和4年3月に「鳴門市農業振興計画」を策定し、担い手の不足や施設・設備の老朽化対策などの課題解決に向けた取組を進めているところでありますが、「鳴門市農林水産業振興基金」を活用して、農業の生産・流通・販売の中核的組織となる農業協同組合を支援するため、市内3農協が実施する販売促進や広報活動等に要する経費を支援する補助金を創設いたします。
また、土地改良区等が農業用の用排水路を浚渫した際に発生する浚渫土については、近年の農住混在化の影響などにより、その処理量が増加するなど施設の機能管理に課題が出ていることから、浚渫土の処分を市が実施いたします。
物価高騰対策に加えて、「鳴門市農業振興計画」に掲げた施策や農業者に対するきめ細かな支援を複合的に実施することにより、本市の基幹産業である農業の経営基盤の強化を図ってまいります。
(16)「鳴門市まちなか未来ビジョン策定推進事業」について
次に、「鳴門市まちなか未来ビジョン策定推進事業」についてであります。
本市では、現状の課題を踏まえて、未来のまちづくりを議論する場として、「鳴門市まちづくりデザイン会議」と「大麻町未来づくり会議」を設置し、二眼レフの視点で検討を進めているところであります。
「鳴門市まちづくりデザイン会議」では、これまでに3回の会議を開催し、議論を重ねてまいりました。
今後、これまでの議論や検討内容を踏まえ、新たな「なるとの顔」となる鳴門駅周辺のコアなど、まちづくりのイメージを市民の方などに分かりやすく伝える「未来ビジョン」を策定したいと考えております。
また、持続可能なまちづくりに向けた官民連携体制の構築や、道路・鉄道などの技術的検討、人が溜まりたくなる空間創出に向けた社会実験等にも取り組み、新たなまちづくりを進めてまいります。















