令和7年鳴門市議会第2回定例会
◆ 目 次
(1)はじめに
本日、第2回定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、公私何かとご多忙中にもかかわりませず、ご出席を賜り、誠にありがとうございます。
今期定例会におきましては、令和7年度鳴門市一般会計補正予算案など、各種議案を提出いたしておりますが、これらの議案説明に先立ちまして、まずは、諸般の報告と当面の諸課題についての所信を申し上げ、議員の皆様をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
(2)「南海トラフ巨大地震被害想定の見直し」について
はじめに、「南海トラフ巨大地震被害想定の見直し」についてであります。
去る3月31日、推計手法の見直しや地形データの更新、建物の耐震化等の現状を踏まえ、南海トラフ巨大地震の被害想定が見直され、内閣府から公表されました。
今回の被害想定では、県内における津波による浸水面積が前回想定より拡大されており、本市においても約1.56倍の浸水面積となっておりますが、平成24年に公表された県独自の被害想定における浸水区域は、今回の内閣府が公表した浸水区域をほぼ包含しているものとなっております。
これまで本市においては、県が独自に行った被害想定に基づき、防災対策を推進してきたところであり、今後は、県が実施する被害想定の見直しを踏まえながら、引き続き「鳴門市南海トラフ地震等防災・減災対策推進計画」に掲げた取り組みを推進してまいります。
(3)「大阪・関西万博」について
次に、「大阪・関西万博」についてであります。
4月13日に開幕した「大阪・関西万博」は、先月26日に来場者数500万人を突破し、高い満足度が報告されていることから、今後も引き続き多くの方の来場が予想されております。
本市ではこの機をとらえ、万博を契機に訪れる方々をおもてなしするため、市内の観光関連事業者が行う受入環境整備への助成、市公式観光ウェブサイトのリニューアル、「鳴門市花街道・地域づくりネットワーク」や市内中高生と協働した花植え活動などの環境整備を図ってまいりました。
また、7月には、関西パビリオン横の「多目的エリア・屋外広場」において、「大谷焼モザイクアートづくり」が体験できるブースを出展するほか、物産販売も行い、本市の魅力を国内外へ発信することとしております。
(4)道の駅「くるくる なると」について
次に、道の駅「くるくる なると」についてであります。
令和6年度には「約134万人」の方にご来場いただくなど、開駅以来、市内外から想定を上回る多くの方々のご利用をいただいております。
この度、施設への誘客促進や利便性の向上、快適な道路交通環境の提供などを目的に、従前より進めてまいりました駐車場の増設工事が完了し、駐車スペースが約100台分増加いたしました。
今後も指定管理者と連携しながら、道の駅の魅力向上を図り、交流人口の拡大と地域経済の活性化に努めてまいります。
(5)「市役所来庁者駐車場」について
次に、「市役所来庁者駐車場」についてであります。
先月5月7日に市役所来庁者駐車場が完成し、供用を開始いたしました。
思いやり駐車場6台分を含む98台分の駐車スペースを確保し、電気自動車用の急速充電器とATMコーナーを併せて整備しております。
去る5月14日には、来庁者駐車場を活用した「夕暮市場」が開催され、多くの方のご来場をいただいたところであり、今後も来庁者が快適にご利用いただけるよう適切な維持管理に努めるとともに、新庁舎の利活用を図ってまいります。
(6)「大麻町の活性化」について
次に、「大麻町の活性化」についてであります。
「(仮称)大麻町総合防災センター」の整備や学区制の廃止など、大麻町における人の流れや環境の変化を見据え、大麻町の地域課題の解決や活性化に向けた検討を行う場として新たに「大麻町未来づくり会議」を設置するため、本年5月から委員を公募し、現在は開催に向けて準備を進めているところであります。
また、去る4月18日には、「NPO法人徳島県空き家問題解決支援センター」と連携協定を締結し、試験的な取り組みとして、大麻町板東地区を対象に空き家問題の解決までの相談サポートを行うこととしております。
今後も、「大麻町未来づくり会議」での議論を踏まえながら、大麻町の地域活性化に向け、取り組みを進めてまいります。
(7)「民間提案制度」について
次に、「民間提案制度」についてであります。
民間事業者ならではの柔軟な発想や、専門性を活かした公共施設の有効活用を図るため、民間提案制度の対象施設としていました施設のうち、「旧教育委員会棟」については、「株式会社ワールドインテック」と「税理士法人GlobalActivation」の2者から、「旧黒崎集会所」については、「社会福祉法人いずみ福祉会」からそれぞれ提案をいただき、審査の結果、提案を採択いたしました。
このうち、「旧教育委員会棟」については「株式会社ワールドインテック」の誘致が実現し、5月23日に同社と連携協定を締結したところであり、今後、2階スペースに事業所及び教育研修施設が新設され、従業員「約150名」が本市に移住していただける予定となっております。
今後は同社と連携して、製造業をはじめとした企業誘致や移住交流の促進、関係人口の創出・拡大、雇用労働対策、蓄電池関連産業などの人材育成に取り組むこととしております。
(8)「人口減少対策と市街地の活性化」について
次に、「人口減少対策と市街地の活性化」についてであります。
先月5月31日、これまで地域の皆様に長年親しまれてきました「キョーエイ鳴門駅前店」が閉店いたしましたが、改めて人口減少対策や地域の活性化をより一層推進し、持続可能なまちづくりを進めていく必要があると考えております。
本市の最重要課題である人口減少問題に対し、「子育て・教育」、「雇用の確保」、「まちづくり整備」、「地域への愛着」の視点から、本市の未来をデザインし、次期ビジョンの方向性を検討するため、新たに部局横断型の「なると未来デザインプロジェクトチーム」を設置したところであり、第1回会議を5月16日に開催いたしました。
本プロジェクトチームにおいては、国が示す新しい地方創生の方向性である「地方創生2.0」を踏まえた人口減少対策について検討を行うこととしており、新たな手法や領域に挑戦しながら、スピード感をもって人口減少社会という難局に積極的にチャレンジしてまいります。
また、3月に第1回会議を開催いたしました「鳴門市まちづくりデザイン会議」での検討を踏まえながら、持続可能であり続けるためのコンパクトなまちづくり、魅力と賑わいにあふれたまちづくりについても検討を進めてまいります。
(9)「なると第九」について
次に、「なると第九」についてであります。
先月5月25日、昨年度に引き続き、鳴門教育大学にご協力をいただき、同大学の体育館特設ステージにおいて、「第41回ベートーヴェン『第九』交響曲演奏会」を開催いたしました。
全国からご参加いただいた約270名の合唱団員とソリストによる世界平和を願う迫力ある歌声が、約850名の観客を魅了し、会場全体が一つとなり、大きな感動に包まれました。
また、翌26日には、演奏会でテノール独唱者を務めていただいた、鳴門教育大学の「頃安 利秀名誉教授」を講師として、『第九』特別講演会を開催いたしました。
「『第九』を通して見つめる平和」と題して、「第九」に込められた平和への願いや、音楽が社会に果たすべき役割について、分かりやすくご講演をいただきました。
「第九演奏会」の開催に当たり、ご理解、ご協力をいただきました関係者の皆様に、改めて御礼申し上げます。
一方、これまで「第九演奏会」の運営を主体的に担ってこられました「認定NPO法人鳴門『第九』を歌う会」の皆様から、今後の団体の運営方針等についてご相談をいただいているところであり、本市におきましても、若い世代への継承や、後継者育成等の諸課題について検討を進めていく必要がありますことから、来年度の演奏会は残念ながら開催を見合わせることとし、先日の「全日本『第九を歌う会』連合会総会」において、全国の合唱団の皆様にもご報告させていただいたところであります。
令和9年の文化会館リニューアルオープンの際には、第九演奏会を開催し、盛大にお祝いしたいと考えておりますので、ご理解いただきますようお願いいたします。
(10)「鳴門市阿波おどり」について
次に、県下でトップを切って開催する「鳴門市阿波おどり」については、鳴門公園千畳敷での初踊りを皮切りに、8月9日から11日までの3日間、「JR鳴門駅西側周辺・特設演舞場」において開催いたします。
さらに今年は、一昨年まで開催しておりました「鳴門市納涼花火大会」をリニューアルし、8月7日に「鳴門・大塚スポーツパーク」において、「鳴門の夏まつり~歌と花火のファンタジックショー」として新たに開催いたします。
このイベントでは、アニメ「ポケットモンスター」の主題歌で有名な「松本 梨香さん」を迎えたステージショーをはじめ、かき氷やくじ引きなどの昔懐かしの縁日や市内・県内の店舗による「マルシェ」をお楽しみいただけますほか、フィナーレには、音楽やレーザーライトによる多彩な演出にあわせ、約1,000発の花火が鳴門の夜空を彩ります。
県内外からより多くの方々にご来場いただけるよう、安全・安心に楽しめるイベントの開催を目指し、引き続き関係者の皆様とともに準備を進めてまいります。
(11)「東京2025世界陸上競技選手権大会」について
次に、本年9月13日から開催される「東京2025世界陸上競技選手権大会」に、本市に拠点を置く「大塚製薬陸上競技部」から「小林 香菜選手」が女子マラソンに、「古賀 友太選手」が男子20km競歩に、それぞれ日本代表として選出されました。
両選手の大会でのご活躍を祈念いたしますとともに、市民の皆様も一丸となって応援をいただけますよう、よろしくお願いいたします。
(12)「NARUTOスポーツデー」について
次に、「NARUTOスポーツデー」についてであります。
去る5月28日、「鳴門・大塚スポーツパーク」をはじめ、市内各所にて「NARUTOスポーツデー」を開催し、幅広い世代向けの体験メニューや体力測定会に、多くの市民の皆様のご参加をいただきました。
「NARUTOスポーツデー」を通して、今後も市民の皆様の運動習慣の継続による心身のリフレッシュや、健康増進につながるスポーツに親しむ機会の創出に努めてまいります。
(13)「本市を取り巻く社会経済情勢への対応」について
次に、「本市を取り巻く社会経済情勢への対応」についてであります。
アメリカ合衆国が導入した「相互関税」や「追加関税措置」に伴い、我が国の輸出産業は大きな影響を受けることとなり、今後の景気減速が強く懸念されております。
本市におきましても、輸出関連企業や、中小企業の資金繰りが悪化するなどの影響が想定され、雇用への影響も注視していく必要があると考えております。
また、エネルギーや資材価格の高騰に伴う物価高については、低所得者世帯向けの給付金や、エネルギー価格抑制支援等の様々な対策が講じられておりますが、依然として、市民生活や地域経済活動は厳しい状況が続いていると認識しております。
今後も、本年7月に予定されている参議院議員選挙後の国の施策や、県の動向を注視しながら、本市としても、適時的確にきめ細かな支援策を実施できるよう取り組んでまいります。
(14)「物価高騰対策」について
次に、「物価高騰対策 」についてであります。
国においては、 デフレ完全脱却のための総合経済対策における物価高への支援として、 昨年度に実施した定額減税及び減税を補足する調整給付金について、算定時の推計額と実績額に差異が生じた方に対し、差額を追加して給付するとともに、定額減税の対象外で、かつ、低所得者向け給付金の対象世帯に該当しない方に対して、 「原則4万円」を給付することとされております。
また、先月5月27日には、国において令和7年度一般会計の 予備費の使用が閣議決定され、「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」が増額されましたことから、市民の皆様にできる限り早期に支援をお届けできるよう円滑な事務執行に努めるとともに、引き続き適時的確に物価高騰対策に 取り組んでまいります。
(15)「(仮称)大麻町総合防災センター整備事業」について
次に、「(仮称)大麻町総合防災センター整備事業」についてであります。
昨年2月に策定いたしました「(仮称)大麻町総合防災センター整備基本計画」に基づき、これまで基本設計業務に取り組んでまいりました。
今後は、基本設計業務の成果を踏まえ、デザインビルド方式で整備工事の発注を行い、「令和9年度末」の完成に向けて、フェーズフリーの考えた方に基づいた地域の総合コミュニティ施設の整備を目指し、着実に事業を推進してまいります。
(16)「(仮称)鳴門市こども計画」の策定について
次に、「(仮称)鳴門市こども計画」の策定についてであります。
本市では、子ども・子育てに関する包括的な支援を計画的に推進するため、「子ども・子育て支援法」に基づく「第3期鳴門市子ども・子育て支援事業計画」を本年3月に策定したところであります。
一方で、令和5年4月に施行された「こども基本法」におきましては、こども施策を社会全体で総合的かつ強力に実施していくことを目指し、国が定める「こども大綱」及び「都道府県こども計画」を勘案した「市町村こども計画」の策定が努力義務化されており、本年3月には県が「徳島県こども計画」を策定いたしました。
そこで、本市におきましても、すべてのこどもが将来にわたって健やかで幸せに過ごすことのできる社会の実現を目指し、こども施策を包括的に定める「(仮称)鳴門市こども計画」を策定し、「こどもまんなか社会」の実現に向けた施策を推進してまいります。
(17)「うずっ子夢のたねプロジェクト」について
次に、「うずっ子夢のたねプロジェクト」についてであります。
本プロジェクトは、昨年度の政策形成研修で市の若手職員が政策立案したものを試行的に事業化するもので、小学生から自分の将来の夢や目標に関するアイデアを公募し、審査を経て選ばれた提案について、市が実現に向けて支援するものです。
これにより、子どもたちの具体的な夢や目標を明確にする手助けを行い、自ら考え行動する力を育むとともに、若手職員に自ら立案した政策を実行する機会を創出することにより、政策立案能力や柔軟な発想力の向上と若手職員が活躍できる組織風土の醸成を図っております。
この二つの側面を通じて、地域社会の活性化と次世代育成の両側面を強化し、若者や子どもたちが未来に期待感を持てるようなまちづくりを推進してまいります。
(18)「健康福祉交流センター改修事業」について
次に、「健康福祉交流センター改修事業」についてであります。
「健康福祉交流センター」につきましては、周辺エリア一帯を本市の子育て支援の拠点としての機能充実を図ることとしており、現在、施設改修に向けた設計業務に取り組んでいるところであり、行政機能や貸館機能を持つエリアと遊び場や多目的スペースを持つエリアに施設機能を再配置し、併せて老朽化した設備等を更新する予定としております。
今年度に選定する指定管理候補者と協議を行いながら、子育て世帯が利用しやすく、こどもの健やかな成長を後押しできる施設整備を進めてまいります。
(19)「インキュベーション施設運営事業」について
次に、「インキュベーション施設運営事業」についてであります。
市内中心部の商店街にある「コワーキングスペース」を活用し、「スタートアップ企業の集積」、「起業・創業の相談等支援、セミナー開催」、「アントレプレナーシップ教育の推進」、「プロジェクト型インターンシップなどキャリア支援」の4つのコンセプトでインキュベーション施設を運営することとしております。
国の「新しい地方経済・生活環境創生交付金」いわゆる「第2世代交付金」を活用し、インキュベーション施設を運営することにより、市内で活動するスタートアップ支援や起業・創業の促進など、地域経済の活性化を図るとともに、「起業」をテーマに若者が集まる拠点として中心市街地の活性化を図ってまいります。