○鳴門市健康づくりの推進と地域の医療を守り育む条例

平成29年3月17日

条例第6号

生涯にわたって健康であり続け、心豊かな生活を送ることは、市民誰もが望むことであり、それを実現するためには、子どもから高齢者まで全ての市民が主体的に健康づくりに努めるとともに、健康を損なったり、介護が必要な状態になった場合には、地域全体で支えながら、必要なときに、保健、医療、福祉及び介護のサービスを受けることができる社会を形成していくことが大切です。

このため、市民の健康寿命の延伸を目指し、健康増進計画「健康なると21」に基づく市民の健康づくりを今後もなお一層推進するとともに、市民の健康を支える地域医療については、その現状及び課題を市民が正しく理解し、適切に利用することにより、将来にわたって安心して医療を受けることができる体制を確保する必要があります。

ここに、市民が、生涯にわたって、健康で、住み慣れた地域で安心して暮らすことができるように、市民、医療機関等、市をはじめとする地域医療に関わる全ての関係者が、「医療は限りある資源」であることを認識し、互いに連携しながら、それぞれの役割を果たすことにより、市民の主体的な健康づくりの推進及び地域医療を守り育むことを目指して、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、市民の健康づくりの推進及び地域医療を守り育むことを基本理念で定め、市民、医療機関等の役割及び市の責務を明らかにするとともに、基本的施策等を定めることにより、市民が生涯にわたって、健康で、住み慣れた地域で安心して暮らすことができるまちづくりの実現に寄与することを目的とします。

(用語の定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによります。

(1) 市民 鳴門市内に住む人、通勤する人、通学する人その他鳴門市内の医療機関等を利用する人をいいます。

(2) 健康づくり 心身ともに健やかに、生涯にわたって自分らしい生活を営むことができるよう、健康状態をより良くしようとする取組をいいます。

(3) 地域医療 市民の生活圏内において提供される病状に応じた医療を、適切に受けることができる体制をいいます。

(4) 医療機関等 病院、診療所及び地域医療に携わる団体等並びにその従事者をいいます。

(5) かかりつけ医 市民が日常的に診療、健康管理指導を受け、又は病気等の相談をすることができる身近な医師をいいます。

(6) かかりつけ歯科医 市民が日常的に歯と口腔の診療及びケア、健康管理指導を受け、又は歯と口腔の病気等の相談をすることができる身近な歯科医師をいいます。

(7) かかりつけ薬局 市民が日常的に医薬品の調剤を受け、又は医薬品及び健康に関する相談ができる身近な薬局をいいます。

(8) 市民活動団体 健康づくりの推進及び地域医療を守り育むために、市民により組織された団体のことをいいます。

(基本理念)

第3条 市民の健康づくりの推進及び地域医療を守り育むための基本理念(以下「基本理念」といいます。)は、次のとおりとします。

(1) 健康づくりは、市民一人ひとりが、それぞれの心身の状態等に合わせて、自主的かつ積極的な意思と努力に基づき、生涯にわたって、継続的に行うものであり、学校、職場、近隣など地域全体で支援しなければなりません。

(2) 地域医療は、市民の健康を支え、安心して暮らすために欠くことができないものであり、保健、医療、福祉及び介護の連携のもと、将来にわたって安心して医療を受けることができる体制を確保するため、市民、医療機関等及び市が一体となり、地域全体で守り育まなければなりません。

(市民の役割)

第4条 市民は、基本理念に基づき、次に掲げる事項の実施に努めるものとします。

(1) 自らの健康は自らで守るという認識のもと、自らの健康に関心を持ち、日常的に健康管理を行うこと。

(2) 健康について積極的に学び、自らの健康づくりを行うとともに、家族、学校、職場の仲間等、地域の人々の健康づくりにも協力すること。

(3) 健康診査及び検診を受診するとともに、健康教室、健康相談、介護予防事業にも積極的に参加することにより、病気の予防、早期発見及び早期治療を心がけ、重症化予防及び介護予防につなげること。

(4) 自らの病歴、服薬状況など健康履歴に関する情報を、健康手帳等により管理すること。

(5) 日常的な診療、健康管理等の相談ができるよう、かかりつけ医、かかりつけ歯科医及びかかりつけ薬局を持つこと。

(6) 医師、看護師その他の医療の担い手(以下「医療の担い手」といいます。)が限られた体制の中で、市民の生命及び健康を守る役割を担っていることを認識し、安易な夜間及び休日の受診を控え、緊急の場合を除き、診療時間内に受診すること。

(7) 自らの病状に応じて、適切な医療機関等及び医療の提供方法を選択できるよう心がけること。

(医療機関等の役割)

第5条 医療機関等は、基本理念に基づき、次に掲げる事項の実施に努めるものとします。

(1) 市民に対し、日常の健康管理、病気等に関する相談及び助言を行うとともに、良質かつ適切な医療及び診療情報の提供を行い、市民との信頼関係を醸成すること。

(2) 市民が自らの病状に応じて良質かつ適切な医療を受けられるよう、他の医療機関等への紹介を行うなど相互に連携すること。

(3) 医療の担い手の確保及び人材を育成するため、関係機関と協力すること。

(4) それぞれの機能に応じた役割を適切に果たし、地域医療を確保するよう積極的に努めるとともに、市民が健康で、住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、市及び保健・福祉・介護の関係機関と連携すること。

2 前項に定めるもののほか、市が実施する健康診査、検診、予防接種等の市民の健康づくりの推進及び地域医療を守り育むための施策に協力すること。

(市の責務)

第6条 市は、基本理念に基づき、次に掲げる事項を実施します。

(1) 市民が生涯にわたって健康づくりに取り組むことができるよう、市民の健康づくりを推進するための施策を実施すること。

(2) 市民が安心して医療を受けることができる体制を確保するため、地域医療を守り育むための施策を実施すること。

(市の基本的施策)

第7条 市民の健康づくりの推進及び地域医療を守り育むための市の基本的な施策は、次のとおりとします。

(1) 健康及び医療に関する相談体制を整備すること。

(2) 健康診査及び検診の充実を図ること。

(3) 学校、職場及び地域において、自らの健康は自らで守るという市民意識の醸成並びに健康づくりの推進及び地域医療を守り育むことへの市民の理解を深めるために、啓発及び教育を積極的に行い、健康な地域づくりに取り組むこと。

(4) 地域において、健康づくりの推進及び地域医療を守り育む活動に携わる人材の育成及び確保に努めること。

(5) 市民及び市民活動団体が行う健康づくりの推進及び地域医療を守り育む活動について、情報の提供、助言、交流の機会の提供その他の必要な支援に努め、協働により取り組むこと。

(6) 地域の実情に合った、救急医療体制の整備に努めること。

(7) 市民に対する適正な受診の推進に関する啓発及び地域医療に関する情報提供を、積極的に行うこと。

(8) 医療の担い手の確保に向けて、関係機関と連携し、必要な対策を講ずること。

(9) 市民が健康で、住み慣れた地域で安心して暮らせ、市民、医療機関等及び保健・福祉・介護の関係機関が相互に切れ目なく連携ができるよう、環境を整備すること。

(推進体制の整備等)

第8条 市は、市民の健康づくりの推進及び地域医療を守り育むための施策を実施するために、推進体制を整備するとともに、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとします。

(委任)

第9条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定めます。

この条例は、平成29年11月1日から施行します。

鳴門市健康づくりの推進と地域の医療を守り育む条例

平成29年3月17日 条例第6号

(平成29年11月1日施行)