○鳴門市消防救急業務規程
平成21年2月3日
消防本部訓令第1号
鳴門市消防救急業務規程(昭和40年鳴門市訓令第3号)の全部を改正する。
(目的)
第1条 この訓令は、鳴門市消防本部が行う救急業務について、必要な事項を定め、救急業務の能率的運営を図ることを目的とする。
(1) 救急業務 消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第2条第9項に規定する救急業務
(2) 救急事故 法及び消防法施行令(昭和36年政令第37号)第42条に規定する救急業務の対象である事故
(3) 医療機関 医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5に規定する病院及び診療所
(4) 救急救命士 救急救命士法(平成3年法律第36号)第2条第2項に規定する救急救命士
(5) 救急救命処置 救急救命士法第2条第1項に規定する救急救命処置
(6) 転院搬送 現に医療機関に収容されている傷病者を、当該収容医療機関の要請に基づいて他の医療機関に搬送すること。
(救急隊の編成)
第3条 救急隊は、救急自動車1台及び救急隊員(以下「隊員」という。)3人以上をもって編成し、そのうち、1人は救急隊長(以下「隊長」という。)とする。
2 消防長は、救急救命士の資格を有する隊員及び消防学校の教育訓練の基準(平成15年消防庁告示第3号)別表第2第6項の救急科を修了した者又はこれと同等以上と認められる者をもって救急隊を編成するよう努めるものとする。
(隊員の責務)
第4条 隊長は、上司の命を受け、隊員を指揮監督し、救急業務を円滑に行うよう努めなければならない。
2 隊員は、隊長を補佐し、適正な救急業務の遂行に努めなければならない。
(隊員の心得)
第5条 隊員は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 救急業務の重要性を自覚し、救急に関する知識の修得及び技術の向上に努めること。
(2) 傷病者に対しては、懇切丁寧に対応し、羞恥又は不快の念を抱かせないよう努めること。
(3) 常に身体及び着衣の清潔保持に努めること。
(4) 業務上、知り得た秘密を他に漏らさないこと。
(隊員の訓練)
第6条 消防長は、隊員に対し、救急業務を行うに必要な学術及び技術を修得させるため、常に教育訓練に努めなければならない。
(隊員の服装)
第7条 隊員は、救急業務を実施する場合は、アポロキャップ及び救急服を着用し、必要に応じ白衣又は感染防止衣等を着用するものとする。ただし、安全を確保する必要があるときは、アポロキャップに代えて、保安帽を着用するものとする。
(救急自動車に備える資器材)
第8条 救急自動車には、次に掲げる資器材を備えるものとする。
(1) 応急処置等に必要な資器材で別表第1に掲げるもの
(2) 通信、救出等に必要な資器材で別表第2に掲げるもの
(救急隊の出動)
第9条 消防長は、救急事故が発生した旨の通報を受けたとき、又は救急事故が発生したことを知ったときは、当該事故の発生場所、傷病者の数及び傷病程度等を確かめ、直ちに所要の救急隊を出動させなければならない。
(口頭指導)
第10条 消防長は、救急要請時に、指令室又は現場出動途上の救急自動車等から、救急現場付近にある者に、電話等により応急手当の協力を要請し、その方法を指導するよう努めるものとする。
(出動区域)
第11条 救急隊の出動区域は、本市全域とする。ただし、消防長又は消防署長が特に必要と認めるときは区域外に出動を命ずることができる。
(救急活動の原則)
第12条 救急活動は、傷病者に対し応急処置等の基準に基づく応急処置等を行うとともに、傷病者の症状に適した医療機関等に速やかに搬送して、救急救護を図ることを原則とする。
(高速自動車道等における活動の原則)
第13条 高速自動車道等における救急活動は、警察官、道路関係者等による通行禁止又は交通整理が行われ、傷病者及び隊員の安全が確認されたうえで行うものとする。
2 高速自動車道等においては、原則として走行車線を逆走行してはならない。
(観察等及び応急処置の実施)
第14条 傷病者に対する観察等及び応急処置は、応急処置等の基準に基づき的確に行うものとする。
2 傷病者が医師の管理下にある場合においては、前項の定めによることなく、医師の指示に従い応急処置を行うものとする。
(救急救命処置)
第15条 救急救命士は、救急業務の実施に際して救急救命処置の必要があると認められる場合は、速やかに医師の具体的な指示を受け、必要な救急救命処置を行うものとする。
(医療機関等の選定)
第16条 搬送先医療機関の選定は、傷病者の症状に適応した医療が行える最寄りの医療機関を選定するものとする。ただし、傷病者又はその関係者から、掛かり付け等特定の医療機関への搬送を依頼された場合は、傷病者の症状を勘案し、依頼された医療機関に搬送することができるものとする。
(搬送を拒んだ者の取扱い)
第17条 隊長は、救急業務の実施に際し、傷病者又はその関係者が搬送を拒んだ場合は、これを搬送しないものとする。
(医師の要請)
第18条 隊長は、次のいずれかに該当する場合は、速やかに救急現場に医師を要請し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(1) 傷病者の状態からみて搬送することが生命に危険であると認められる場合
(2) 傷病者の状態からみて搬送可否の判断が困難な場合
(3) 傷病者の救出活動に時間を要し、かつ、救急現場において医師による診察が必要と認められる場合
(警察への通報)
第19条 隊長は、救急事故の原因が交通事故、犯罪の疑い又は服毒等で、警察への通報が必要であると認めたときは、速やかにその旨を警察署長に通報するとともに、証拠の保全に留意しなければならない。
(死亡者の取扱い)
第20条 隊長は、傷病者が明らかに死亡している場合、又は医師が死亡していると診断した場合は、これを搬送しないものとする。
(関係者の同乗)
第21条 隊長は、救急業務の実施に際し、傷病者の関係者又は警察官が同乗を求めたときは、努めてこれに応ずるものとする。
(感染症と疑われる者の取扱い)
第22条 隊長は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条に規定する1類感染症、2類感染症、指定感染症又は新感染症と疑われる傷病者を搬送した場合は、隊員及び救急自動車等の汚染に留意し、直ちに所定の消毒を行い、この旨を消防長に報告するとともに、当該傷病者に対する医師の診断結果を確認し、所要の措置を講ずるものとする。
(要保護者等の取扱い)
第23条 消防長は、生活保護法(昭和25年法律第144号)に定める被保護者又は要保護者と認められる傷病者を搬送した場合においては、同法第19条各項に定める機関に通知するものとする。
(転院搬送)
第24条 転院搬送は、転院元医療機関の医師が、緊急に他の医療機関に搬送する必要があると判断し、かつ、搬送先医療機関が確保されている場合に行うものとする。
2 転院搬送は、医師又は看護師の同乗が得られる場合に行うものとする。ただし、傷病者に必要な医療処置を施し、かつ、症状が安定していると認められる場合で、主治医が医師又は看護師の同乗を要しないと判断したときは、この限りでない。
(医療機関への引継ぎ)
第25条 隊長は、傷病者を医療機関へ搬送した場合は、救急事故の現場状況、傷病者の症状、応急処置又は救急救命処置の実施状況その他救急隊の搬送途上における経過について医師等に連絡するものとする。
(傷病者の引渡し)
第26条 隊長は、傷病者を医療機関に搬送した場合は、救急搬送確認書に必要事項を記載し、医師及び医療機関の署名又は押印を受けた後、救急搬送確認書(医療機関控)を当該医療機関に提出するものとする。
(家族等への連絡)
第27条 隊長は、傷病者の傷病の状況により必要があると認めるときは、その者の家族等に対し、傷病の程度又は状況等を連絡するよう努めるものとする。
(複数傷病者搬送の原則)
第28条 傷病者が複数の場合は、自隊で管理可能な範囲において、症状が重いと認められる傷病者から搬送するものとし、応援隊が必要な場合は、速やかに応援隊の出動要請をしなければならない。
(活動の記録及び報告)
第29条 隊長は、救急活動を実施したときは、速やかに救急報告書を作成し、消防署長に報告するものとする。
2 隊長は、傷病者を医療機関等へ引き継いだ場合は、傷病名、傷病程度等について当該医師等の所見を聴し、救急報告書に記録するものとする。
3 救急救命士は、救急救命処置を実施した場合は、遅滞なく当該医師の氏名、指示内容、処置内容その他の所要の事項を救急救命処置録に記録し、前項の救急報告書と合わせて消防署長に報告するものとする。なお、救急救命処置録は、5年間保存しなければならない。
(救急即報)
第30条 消防署長は、救急事故が次の各号のいずれかに該当するときは、火災・災害等即報要領(昭和59年10月15日消防災第267号)に準じ、速やかに消防長に報告しなければならない。
(1) 死者5人以上の救急事故
(2) 死者及び負傷者の合計が15人以上の救急事故
(3) その他報道機関に取り上げられる等社会的影響度の高い救急事故
(医療機関との連携)
第31条 消防長は、救急業務の実施について医療機関と、常に密接な連絡をとるよう努めるものとする。
2 消防長は、前項の規定に基づき知り得た医療機関における空床の状況等の情報については、必要に応じ、近接する他の消防本部の消防長と相互に情報を交換するよう努めるものとする。
3 救急救命士は、救急救命処置の実施について、救急救命士法第44条の規定に基づく具体的な指示を行う医師又は医療機関と、常に密接に連絡をとるものとする。
(団体等との連絡)
第32条 消防長は、救急に関する事務を行っている関係団体等と救急業務の実施について情報を交換し、密接な連絡をするものとする。
(感染防止対策の基本)
第33条 消防長は、感染症及びこれと疑われる傷病者の血液、体液、吐物等(以下「血液等」という。)による傷病者及び隊員への感染防止に関し、必要な対策を講じておくものとする。
(感染防止措置)
第34条 隊員は、傷病者の応急処置の実施に際し、傷病者の血液等に触れるおそれがある場合、必要に応じて感染防止用資器材(プラスチック手袋、マスク、ゴーグル及び腕カバーをいう。)を装着し、血液等に直接触れない措置を講ずるとともに、消毒機器を活用して、傷病者及び隊員自身の感染防止に努めるものとする。
2 消防署長は、隊員が感染症及びこれと疑われる傷病者の血液等により汚染したと判明したときは、直ちに消防長に報告するとともに、医師の検診及び免疫剤の投与を行う等の必要な措置を講ずるものとする。
(救急自動車等の消毒等)
第35条 救急自動車及び救急用資器材の清潔保持を図るため、次に掲げる消毒を実施するものとする。
(1) 定期消毒 月1回以上
(2) 使用後消毒 毎使用後
2 前項による消毒を実施したときは、別に定める消毒実施表に所定の事項を記載のうえ、救急自動車の見えやすい場所に表示しておくものとする。
(救急業務計画)
第36条 消防長は、特殊な救急事故の発生した場合における救急業務の実施についての計画を作成しておくものとする。
2 消防長は、毎年1回以上前項に定める計画に基づく訓練を行うものとする。
(救急調査)
第37条 消防長は、救急業務の円滑な実施を図るため、管轄区域について、次に定めるところにより調査を行うものとする。
(1) 地勢及び交通の状況
(2) 医療機関等の名称、位置、診療科目その他必要な事項
(3) その他消防長が必要と認める事項
(応急手当の普及啓発)
第38条 消防長は、住民に対する応急手当の普及啓発活動を計画的に推進するよう努めるものとする。
(救急搬送の証明)
第39条 消防長は、傷病者又はその関係者から救急搬送の証明願があったときは、当該搬送の事実に基づいて証明することができる。
附則
この訓令は、平成21年4月1日から施行する。
附則(平成29年3月31日消防本部訓令第1号)
この訓令は、平成29年4月1日から施行する。
別表第1(第8条関係)
分類 | 品名 |
観察用資器材 | 体温計 検眼ライト |
呼吸・循環管理用資器材 | 自動式人工呼吸器一式 手動式人工呼吸器一式 心肺そ生用背板 酸素吸入器一式 吸引器一式 |
創傷等保護用資器材 | 副子 三角巾 包帯 ガーゼ ばんそうこう 止血帯 タオル |
保温・搬送用資器材 | 担架 机 敷物 保温用毛布 雨おおい |
消毒用資器材 | 噴霧消毒器 その他の消毒器 各種消毒薬 |
その他の資器材 | 氷のう・水枕 臍帯クリップ はさみ(1組) ピンセット(1組) 手袋 マスク 膿盆 汚物入れ 手洗器 洗眼器 |
その他必要と認められる資器材 |
備考
自動式人工呼吸器一式には、自動式人工呼吸器、開口器、舌鉗子、舌圧子、エアウエイ、バイトブロック、酸素吸入用鼻孔カテーテル及び酸素ボンベを含むものとし、手動式人工呼吸器一式及び酸素吸入器一式に含まれる資機材と重複するものは共有できるものとする。
別表第2(第8条関係)
分類 | 品名 |
通信用資器材 | 車載無線機 携帯電話 |
救出用資器材 | 救命浮環 救命綱 万能斧 |
その他の資器材 | 保安帽 救急かばん 警笛 懐中電灯 |
その他必要と認められる資器材 |
別表第3(第8条関係)
分類 | 品名 |
観察用資器材 | 血圧計 聴診器 血中酸素飽和度測定器 心電計 |
呼吸・循環管理用資器材 | 経鼻エアウエイ 喉頭鏡 マギール鉗子 ショックパンツ 自動式心マッサージ器 自動体外式除細動器 輸液、薬剤セット ラリンゲアルマスク 気管内チューブ 気道閉鎖式エアウエイ |
通信用資器材 | 心電図伝送装置 自動車電話 |
その他の資器材 | 在宅療法継続用資器材 |
その他必要と認められる資器材 |