○鳴門市文化のまちづくり条例
平成18年12月25日
条例第51号
鳴門市は、市制施行当初から「観光と文化」による都市形成を目指し、文化について重きをおいてきた。
鳴門の渦潮に代表される雄壮で風光明媚な自然は、全国の著名な文化人を魅了し、感動を与え、数多くの文化芸術作品を生み出してきた。
また、古くから本州と四国を結ぶ交通の要衝として栄えるとともに、豊かな自然に育まれた農業や漁業のほか、製塩業をはじめとする産業を有する経済環境にも恵まれていたため、あらゆる文物がいち早く伝えられた。
更に、四国霊場八十八カ所巡礼の出発点であり、お遍路さんへのお接待によって育まれた人情味溢れる土地柄と、江戸時代から庶民中心に発展してきた社会は、豊穣な地域の伝統を培うとともに、多様な文化を積極的に取り入れることにより、個性ある文化を育て、市民はこれを誇りとし、受け継いできた。中でも、第1次世界大戦時の板東俘虜収容所で、ドイツ兵によって日本で初めて演奏されたベートーヴェン「交響曲第9番」は、市民によって歌い継がれ、平和を願う「歓喜の歌声」を高らかに響かせている。
このような鳴門市の特色ある文化を更に広げ、深めていくことにより、市民一人ひとりの幸福につながる、豊かで活力のある文化のまちづくりを目指すため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、鳴門市の文化のまちづくり(以下「文化のまちづくり」という。)を推進するに当たっての基本理念を定め、市の責務及び市民等の役割を明らかにするとともに、文化のまちづくりに関する施策(以下「文化施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、文化施策を総合的かつ計画的に推進することで、暮らしの中で文化と創造が息づき、豊かで活力のある鳴門市の未来を拓くことを目的とする。
(基本理念)
第2条 文化のまちづくりを推進するに当たっての基本理念は、次のとおりとする。
(1) 市民一人ひとりが文化の担い手であることを認識し、市民の自主性及び創造性を最大限に尊重するものとする。
(2) 多様な文化の保護及び発展を図るものとする。
(3) 文化が経済や社会の発展に結びついていることを認識し、学術研究、産業、観光及び社会生活等に関する活動との連携を推進するものとする。
(4) 文化活動を行う者その他広く市民の意見が反映されるように、十分配慮するものとする。
(市の責務)
第3条 市は、前条の基本理念にのっとり、鳴門市の特性に応じた文化施策を総合的に策定するとともに、効果的に実施する責務を有する。
2 市は、市の実施する施策について、文化のまちづくりを図る視点を取り入れるよう努めるものとする。
3 市は、文化施策の推進に当たっては、市民並びに民間団体及び公共団体等(以下「民間団体等」という。)の協力を求め、その有する人材、情報その他の能力を活用するよう努めるものとする。
(市民の役割)
第4条 市民は、文化のまちづくりの担い手として自主的に文化活動を展開するとともに、その活動を互いに尊重し、支援するよう努めるものとする。
(民間団体等の役割)
第5条 民間団体等は、市の文化施策へ積極的に参加し、及び協力し、その構成員の文化活動を支援するとともに、自らの実践活動による文化のまちづくりに努めるものとする。
(財政上の措置)
第6条 市は、文化施策を総合的に推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(基本計画)
第7条 市は、文化施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、文化のまちづくりに関する基本計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 文化施策に関する基本的事項
(2) 前号に掲げるもののほか、文化のまちづくりに関する重要事項
(担い手の育成等)
第8条 市は、文化のまちづくりを推進するため、文化活動を担う人材及び団体の育成を図るとともに、文化活動の成果を発表する機会を提供するものとする。
(文化団体との協力及び連携)
第9条 市は、文化施策の推進に際しては、市民の組織する文化団体と協力し、及び連携するものとする。
(文化鑑賞の機会の提供)
第10条 市は、市民の文化の向上を図るため、優れた文化を鑑賞する機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
(文化的な環境の整備)
第11条 市は、市民が日常生活の中で等しく文化に親しみ、及びこれを創造することができるような環境の整備に努めるものとする。
2 市は、高齢者及び障害者等が行う文化活動の充実を図るため、環境の整備及び交流の場の提供その他必要な措置を講ずるものとする。
3 市は、次代を担う子どもたちの文化への関心と文化活動への参加意欲の向上を図るため、子どもたちが優れた文化に触れる機会及び交流の場の提供その他必要な措置を講ずるものとする。
(文化施設等の整備及び充実)
第12条 市は、市民の文化活動の場となる文化施設等(以下「施設等」という。)の整備及び充実に努めるとともに、施設等に関する情報の提供及び施設間の連携の確保並びにその他施設等の活用を図るために必要な措置を講ずるものとする。
(景観の保全及び創造等)
第13条 市は、市民が文化に親しむことのできるまちづくりを行うため、景観の保全及び再生又は創造ができる環境の整備に努めるものとする。
(成果の地域的活用)
第14条 市は、市民の文化活動の成果が、地域の産業、観光及び社会の発展に結びつくように活用できる環境の整備に努めるものとする。
(特色ある地域文化の創造等)
第15条 市は、地域の歴史や風土を反映した特色ある文化の創造及びそれによるまちづくりに努めるとともに、その情報を広く発信するために必要な措置を講ずるものとする。
(文化交流の促進)
第16条 市は、日独国際交流をはじめ国内外の文化交流を促進することにより、地域間の相互理解と新しい文化の創造に努めるものとする。
(鳴門市文化月間)
第17条 市は、5月15日からの1月間を「鳴門市文化月間」と定め、市民及び民間団体等と協力し、及び連携して文化事業を実施するために必要な措置を講ずるものとする。
(顕彰)
第18条 市は、文化のまちづくり及び文化の振興に関し、功績の顕著な者又は団体の顕彰に努めるものとする。
(鳴門市文化のまちづくり審議会)
第19条 市は、基本計画及び文化のまちづくりに関する重要事項を審議するため、鳴門市文化のまちづくり審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、委員30人以内をもって組織する。
3 前項の委員のほか、特別の事項を審議するため必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。
4 審議会の委員及び臨時委員は、文化に造詣の深い者、文化団体の役員及び有識者のうちから、市長が任命する。
5 審議会の委員の任期は、2年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任は妨げない。
6 臨時委員は、特別事項の審議が終わったときに退任する。
附則
この条例は、平成19年4月1日から施行する。