平成22年鳴門市議会第3回定例会

■目 次 

(1) はじめに  

(2) 健康で安心して暮らせる鳴門づくり 

(3) 安全で快適な環境の鳴門づくり 

(4) 心豊かで多彩な人材を育む鳴門づくり 

(5) 活力とにぎわいのあふれる鳴門づくり 

(6) 分権社会に向けた新しい鳴門づくり 

(1)はじめに

 本日、第三回定例会を招集いたしましたところ、議員皆様方には公私何かとご多忙中にもかかわりませずご出席をいただき、誠にありがとうございます。

 まず、提案理由のご説明に先立ち、市民の皆様方におわびを申し上げたいと存じます。新聞等の報道もございましたが、去る8月6日、勤務時間中に市職員として不適切なインターネットの使用を行った職員を戒告処分いたしました。全体の奉仕者として公共の福祉に携わり、市民に範を示すべき立場にある本市職員がこのような不祥事を起こし、市民の皆様の信頼を著しく損なう事態になりましたことを、ここに深くおわび申し上げます。

 こうしたことが再び起こることのないよう、すぐさますべての職員に対し、改めて公務員倫理の徹底と服務規律の厳守を指導いたしたところであり、また、先の予算決算委員会において、再任用の制度運用のあり方についてゼロベースで見直しを行うとのご報告をさせていただいたところであります。今後は、職員一丸となって市民の皆様の信頼回復に努めて参りたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、去る8月7日から15日間、炎天下で熱戦が繰り広げられました第92回全国高校野球選手権大会において、県立鳴門高校野球部が徳島県代表として15年ぶり6度目の出場を果たされました。今大会の優勝校となり、春・夏連覇を達成した沖縄県代表興南高校と一回戦で対戦し、敗れはいたしましたが、強豪校を相手に高校生らしい熱気と若さあふれるプレーで堂々と立ち向かう姿は、鳴門市民に大きな感動を与えてくれました。

 監督、選手の皆様には惜しみない拍手を送りますとともに、未来に向かって力強く再スタートを切り、再び甲子園の舞台に立たれますことを大いに期待するものでございます。

 次に、8月7日から11日にかけて開催されました「鳴門市納涼花火大会」および「鳴門市阿波おどり」についてでございます。途中、台風四号の影響による降雨に見舞われた日もございましたが、県内外から多数の方にお越しをいただき、「花火大会」は約17万5,000人、「阿波おどり」は三日間累計で約7万5,000人の方々にお楽しみをいただきました。

 特に今回は、新しい試みとして人気アニメ「NARUTO―ナルト―」とのタイアップを企画し、アニメに登場するシンボル花火の打ち上げや、声優の方々によるトークショーなど様々なイベントを行い、大盛況のうちにこの真夏のイベントを無事終了することができました。鳴門商工会議所、鳴門市観光協会ほか、これらの行事の実施にあたりご協力をいただきました関係各位に、改めて厚くお礼申し上げます。

 なお、NARUTO―ナルト―とのタイアップにつきましては、現在も「NARUTO祭り」と銘打ち、鳴門地域地場産業振興センターにおいて「NARUTOコーナー」を12月末まで開設しておりますが、出来れば今後も引き続き、このようなアニメを活用した観光振興に積極的に取り組み、地域の活性化に努めて参りたいと考えております。

 さて、私が昨年10月11日に市政をお預かりして以来、季節は一巡し、早くもあと一カ月余りで一年の節目を迎えようとしております。今、改めて振り返れば、子どもたちの未来のため、そして笑顔とにぎわいあふれるまちづくりを実現するため、市長として市民の皆様にお約束したマニフェストを一つでも多く達成するため走り続けた11カ月でした。その中には、「女性支援センターの開設」や「チャレンジデーの実施」など、今年度においてすでに実現し、目に見える形で市民の皆様にその成果をお示しできた施策がある一方で、着手済みではあるものの、まだ最終的な形をお示しするには至っていない施策もあります。

 このように、マニフェストの進捗状況は施策の内容によって様々ですが、いずれの施策につきましても一つひとつ課題を克服し、着実に達成することで、鳴門市が明るい未来に向かって一歩ずつ前進するとの信念のもと、これからもスピードを緩めることなく、マニフェストの実現に向けた取り組みを進めて参りたいと考えている次第です。

 さて、今期定例会には、平成22年度鳴門市一般会計補正予算案をはじめ、各種の議案を提出いたしておりますが、これら議案のご説明に先立ち、当面する市政の重要課題に取り組むにあたっての私の所信の一端を申し上げ、議員各位を始め市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

(2)健康で安心して暮らせる鳴門づくり

 まず、「健康で安心して暮らせる鳴門づくり」についてであります。

 先ほども触れました鳴門市女性支援センター「ぱぁとなー」についてですが、四国の市町村では初めての「配偶者暴力相談支援センター」機能を備えた女性支援センターとして4月1日に開設して以来、5カ月余りが経過いたしました。開設から8月末までに延べ486件の相談を受け付けましたが、その中には配偶者の接近禁止や住居からの退去を地方裁判所が命じる「保護命令」の申立援助にまで至った切迫したケースもあり、DV(家庭内暴力)を巡る状況の深刻さを再認識すると同時に、女性支援センターを設置した意義についても改めて感じているところです。

 今後も、女性の様々な悩みやご相談に適切に対応できるよう体制を整えるとともに、あらゆる機会をとらえて女性支援センターの周知に努めて参ります。

 また、今年度は男女共同参画社会の実現に向けて平成12年度に作成した鳴門市女性行動計画「鳴門パートナーシッププラン」の計画最終年度にあたることから、来年度を計画初年度とする第二次計画を今年度中に策定いたします。この第二次計画においては、男女が互いにその人権を尊重しつつ、それぞれの個性と能力を充分に発揮することができる男女共同参画社会の実現を目指したこれまでの基本理念に加え、配偶者からの暴力の防止や被害者への支援の充実など、女性支援センターを中心として行われる様々な施策の指針となる「DV防止基本計画」を新たに包含した総合的な計画にしたいと考えております。

 今後、パブリックコメントなどの手続きを順次行いながら、具体的な内容をお示ししていきたいと考えておりますので、議員各位を始め市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。

 次に、子宮頸がん予防接種事業についてであります。

 子宮頸がんは、20歳代から30歳代にかけての女性において近年急増していると言われている、乳がんと並ぶ女性特有のがんの一つです。しかし、このがんは予防ワクチンの接種により「唯一予防できるがん」とも言われており、昨年10月には厚生労働省より予防ワクチンの製造販売が日本で初めて承認され、12月から一般の医療機関で接種できるようになったところです。

 本市では当初予算において、これまでの子宮がん検診に加え、子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)の検査に関する助成経費についても県下初の取り組みとして計上し、実施しておりますが、このたびこれらの施策に加えて、この予防ワクチンを中学3年生の女子生徒を対象として接種する「子宮頸がん予防接種事業」を新たに実施し、子宮頸がん予防に向けた総合的な取り組みを進めて参りたいと考えているところです。

 本事業については、厚生労働省においても来年度予算で国庫補助事業とすべく現在検討されているとのことですが、本市ではこれに先行し、県と協調して今年10月より対象者のワクチン接種に係る費用を全額負担して、予防接種を実施することとしたものであり、対象となる方々にできるだけ接種していただけますよう呼びかけて参りたいと考えております。

(3)安全で快適な環境の鳴門づくり

 次に、「安全で快適な環境の鳴門づくり」についてであります。

 本市が現在進めております下水道事業についてですが、昨年4月に第一期事業区域の一部を供用開始して以来、現在までに約1,300世帯・約2,800人の方々について供用開始し、今年3月末以降に供用開始した世帯を除く今年8月末現在の世帯ベースの水洗化率は約26.7%となっております。

 下水道事業を円滑に実施していくためには、何よりもまず市民の皆様に事業の趣旨や必要性をご理解いただくことが重要であると考え、これまでも地元説明会や戸別訪問、広報による周知などに精力的に取り組んで参りましたが、さらに今年5月からは私自身も戸別訪問に参加し、現在に至るまで機会あるごとに市民の皆様のもとに直接お伺いして、各家庭の様々なご事情やご意見を伺いながら、下水道接続のお願いをして参りました。

 戸別訪問を通して多くの方から様々なご意見をいただきましたが、中でも下水道事業の将来に対する不安を口にされる方が多かったことから、本市が下水道事業の推進に信念を持って取り組み、事業を停滞させることなく前進する姿勢をお示しすることが大切であるとの思いを強くしたところでございます。

 第二期事業の実施につきましては、既に地元説明会を終え、本来であれば今年度中に事業認可を取得し、基本設計を策定した上で、来年度から工事に着手する予定でございましたが、昨年の国の政権交代による公共事業費の削減や関連補助金の一括交付金化が検討されていることなどにより、財源確保等に懸念が生じたとの理由で、先の第一回定例会において基本計画の策定に係る予算が減額修正されたところでございます。

 しかしながら、下水道事業を間断なく継続的に推進していくためには、今年度中に第二期事業の事業認可を取得する必要があることから、国に対する要望など来年度以降の財源確保に努めるとともに、事業規模を見直した新たな第二期事業区域案を今議会中に議員の皆様にお示しし、ご理解を賜る所存であります。

 本市の豊かな水環境を守るため、安定的かつ継続的に下水道事業を推進できますように、今後も市民の皆様との対話を通じて、事業へのご理解が得られるよう最大限努めて参りたいと考えておりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。

(4)「心豊かで多彩な人材を育む鳴門づくり」

 次に、「心豊かで多彩な人材を育む鳴門づくり」についてであります。

 東南海・南海地震対策として取り組んでおります学校耐震化につきましては、次代を担う子どもたちの安全を確保することが本市にとって最優先の課題であるとの認識のもと、これまで小・中学校校舎の耐震診断、耐震補強設計及び耐震補強工事を重点的に実施して参りました。その結果、耐震診断については今年度をもってすべての小・中学校校舎について実施済みとなり、さらに今月末には今年3月に着手いたしました里浦小学校・林崎小学校校舎の耐震補強工事が完了する見込みです。

 今年度はこれら2校のほか、4校の耐震補強設計、3校の耐震補強工事、さらに大麻中学校の全面改築工事が進行中ですが、このたび上程いたしました補正予算案において、さらに大津西小学校と瀬戸中学校の耐震補強工事に係る予算を、国の経済危機対応・地域活性化予備費を活用して追加計上し、全体計画を前倒しして実施したいと考えております。

 厳しい財政状況の中ではありますが、子どもたちにとって安全でより良い教育環境の整備・充実を図るため、今後も国の補助制度や県の支援策を最大限に活用しながら、可能な限り早急に事業を実施できるよう努めて参りたいと考えております。

(5)「活力とにぎわいのあふれる鳴門づくり」

 次に、「活力とにぎわいあふれる鳴門づくり」についてであります。

 先の第二回定例会においてご報告をさせていただきました里浦漁協所属のわかめ養殖棚流出被害のその後の経過でございますが、5月13日に回収困難な養殖棚が応急措置として海底に固定された後、養殖棚のわかめが自然に溶出するのを確認した上で7月14日に撤去作業が再開され、翌15日に無事引き揚げられました。対応にあたられた関係者の方々のご尽力に対しまして、改めてお礼を申し上げます。

 このたびの件で被害を受けられたわかめ生産者の方々が、来期以降も安定的にわかめ生産に携わっていただくための措置として、先の第二回定例会において「わかめ生産支援緊急対策資金利子補給補助金」に係る債務負担行為の設定をお認めいただいたところですが、8月末までに18名、融資総額にして5,000万円のお申し込みがあり、今後、更に追加のお申し込みがあるものと想定しております。

 なお、このたび上程いたしました補正予算案において、今年度支出予定の利子補給額を計上しております。

 次に、7月にわかめ販売最大手企業において乾燥鳴門わかめ商品を自主回収したことが新聞等により報道されました件につきましては、現在、県などが事実確認を行っている段階でございますが、過去の「鳴門わかめ」原料原産地不適正表示問題を受けて、関係者が一丸となって信頼回復や再発防止に向けた取り組みを続けているところであっただけに、風評被害の拡大が懸念されるところであります。

 そこで本市といたしましては、今後も引き続き「鳴門わかめ」の信頼回復に努めるべく、わかめ加工業者の方々と協議し、業者間の相互監視通報制度を導入したほか、「生産者証明書」の発行徹底やその運用方法のあり方について、加工業者及び鳴門市内七漁協の組合長で組織する「鳴門市水産振興協議会」との話し合いを進めております。

 さらに、「鳴門わかめ」商品に使用するロゴマークの作成や農水産物フェア開催に係る経費をこのたび上程いたしました補正予算案において新たに計上し、「鳴門わかめ」のブランド力向上に向けた取り組みも並行して進めて参る所存です。

 次に、本市の新たな公共交通体系の構築についてであります。

 本市では、先の第二回定例会でご説明いたしました「市営バス・地域バス路線再編の取り組み状況」に基づき、七月に里浦地区及び鳴門西地区において地元説明会を開催し、そこで頂いた様々なご意見を踏まえて「地域バス路線再編案」を策定し、8月25日に開催した「鳴門市公共交通連携協議会及び鳴門市地域公共交通会議」において、その内容についてご協議をいただいたところであります。

 このたびの「地域バス路線再編案」は、地域バスの利用実態を踏まえた運行時刻や経路の見直し、休日の減便、民間事業者との競合路線である高島線の見直しなどによる地域バスの運行効率化を主眼としており、今年12月に予定しております地域バスの路線再編に向けて、引き続き取り組みを進めて参りたいと考えておりますので、ご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。

 さらに、公営企業としてのバス事業につきましては、今議会中に撤退時期など本市の具体的な考え方をお示ししたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

(6)「分権社会に向けた新しい鳴門づくり」

 次に、「分権社会に向けた新しい鳴門づくり」についてであります。

 自治の基本理念や原則を明らかにし、市民と行政との協働のまちづくりを推進するための自治基本条例の制定につきましては、現在、条例構成案を経て、条例素案の内容検討を行っている段階であり、去る8月26日には「第5回鳴門市自治基本条例策定審議会」を開催するなど、鋭意協議を重ねているところであります。

 今後も、本市における市民参加と協働を実現するため、「自治基本条例」の今年度中の制定を目指して全力で取り組んで参りたいと考えておりますので、議員各位を始め市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。

 次に、外部の視点から事務事業の必要性などを根本的に見直し、経営資源の有効活用を実現するための「事業仕分け」につきましては、去る7月31日、鳴門地域地場産業振興センターで、市民公募による2名を含む9名の仕分け委員による「市民参加型事業仕分け」を今年度初めて実施いたしました。市庁舎維持管理事業を始めとする十事業について仕分け作業が行われましたが、公開の場での各委員と事業担当課との議論を経て、全ての事業において「要改善」との結果になりました。

 事業の効率化のご要望や事業改善策のご提案など、各委員それぞれの立場からのご発言やご議論により、職員自身にとっても自らの業務をこれまでと異なる視点から見直す大変有意義な機会となりました。

 今後、仕分け結果や各委員から頂いた様々なご意見を、新年度予算の編成作業の中でどのように反映させるかについて、検討を重ねていきたいと考えております。

 続いて、持続可能な行財政システムの確立を目的として、今年度中の策定を目指しておりますスーパー改革プランについてですが、「鳴門市行政改革推進本部会」及びその作業部会である「行政改革推進検討部会」をこれまでに延べ30回以上開催し、従来の行財政改革の中身を総点検する中で、今後の財政収支見通しや定員管理目標のほか、市民協働の推進策や市民サービスの向上策、さらに公営企業の収支見通しや経営健全化策について一体的に捉え、幅広く検討を重ねて参りました。

 現在、中長期的視点に立った簡素で効率的な行財政運営の道筋をお示しするべく、収支見通しや各種個別項目の目標設定についての最終調整作業を進めているところですが、今議会中に計画素案を議員の皆様にお示ししたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、競艇事業についてであります。

 競艇事業につきましては、これまで、本市の財政運営と地域経済の発展に大きく貢献して参りましたが、景気低迷やレジャーの多様化、ファン層の高齢化など複数の要因が重なり、舟券売上金は長期的に減少傾向にあり、非常に厳しい経営状況が続いております。

 こうした状況を打開するため、昨年7月に「鳴門競艇のあり方に関する検討会議」を設置し、競艇事業が今後目指すべき方向性について検討を進め、今年3月には経営改革に向けた取り組みの提案などを盛り込んだ報告書をご提出いただきました。現在、報告書の内容を具体化するための「ボートレース鳴門経営改革アクションプラン」を作成しているところであり、今議会中に議員の皆様にその内容をご報告させていただきたいと考えております。

 舟券売上の向上を図るための施策としては、今年6月より、特色あるレースの導入や競走時間の変更、電話投票や場内キャンペーンなど様々な施策を実施して参りましたが、現在はこれらに加えて、ボートレース振興会の支援制度を活用した外向発売所拡張の検討や関西版のスポーツ新聞への掲載、JLC(日本レジャーチャンネル)のボートレース鳴門放送中のCM放映、国の緊急雇用対策事業を活用した各種場内イベントの実施や観光施策とタイアップした事業企画など様々な施策を実施しております。

 その他にも、新たなお客様にボートレース鳴門を知っていただくため、人気女性ボートレーサー「横西奏恵選手」の写真集を発売したほか、お客様のみならず地元の方々にもお楽しみ頂くためのイベントとして、8月7日に選手会とともに「ファン感謝祭」を開催し、約800名の方々にお越しいただくなど、これまでにない取り組みも並行して行って参りました。

 今後におきましても、競艇事業の経営改革に向けて、さらなる努力を重ねて参る所存でございますので、議員各位並びに市民皆様方のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。