鳴門市ドイツ館館報
Ruhe(ルーエ やすらぎ)
発行者
鳴門市ドイツ館
〒779−0225
鳴門市大麻町桧字東山田55−2
TEL(088)689-0099
FAX(088)689-0909
第10号

皇太子殿下ドイツ館へご来館
 去る10月25日快い秋の日射の中、「育樹祭」で来県中の皇太子殿下がドイツ館にご来館になりました。たくさんの市民・関係者に迎えられた皇太子はにこやかに手を振られ、館長の案内で常設展示室などをご覧になりました。ことに収容所の模型や、ご自身もヴィオラを演奏されることもあって、「第九シアター」を興味深げに見入っておられました。「住民との交流は」「印刷の機械はどのようなものでした」など、随所に関連した鋭いご意見を出され、時間が足りないのが残念でした。
 1階の大会議室では、「コーラス9」の合唱とお囃子に乗って、板東の小学生と太閤連の人々が踊る「第九」阿波踊りをご覧いただきました。最初は阿波踊りと「第九」の取り合わせに戸惑われたようでしたが、終演後は見送る合唱団、小学生、太閤連のそれぞれにねぎらいのお言葉をかけられ、ご満足の様子でした。
 館を出られてからも、広場や沿道で見送る人々に応えられ、ことに車椅子を連ねたお年寄りの方々の手を次々に握られるなど、深い印象を残されてお帰りになりました。
 1時間たらずのご訪問でしたがお楽しみいただけたようで、関係者一同喜んでおります。
 
歓迎に応えられる殿下
「収容所模型」の説明に聞きいられる殿下
 
 
「第11回ドイチェス・フェスト」と
 「リューネブルク親善使節団」の来鳴

-好評だった「シュラークバル」と「クライン・リューネ」-

 好天に恵まれた10月10日(日)に、ドイツ館を中心に「第11回ドイチェス・フェスト」が開かれました。姉妹都市リューネブルクとの使節団交流も第30回を迎え、それに合わせて開催された今年の「フェスト」には、39名のリューネブルク市民の方々が参加してくださいました。
 「ドイツ村公園」での歓迎式に始まり、慰霊碑近くの「菩提樹の森」での記念植樹、さらには「シュラークバル」への参加と行事が相次ぎました。

「シュラークバル」とはドイツ式野球にあたるもので、「球技の王様」として板東収容所でも盛んに行われました。日本人による大会は初めてでしたが、「少年シュラークバル大会」には、板東小学校の2チームと桑島の1チームの3チームが参加しました。ちょうど「体育の日」と重なり参加チームはわずかでしたが、父兄の応援やマスコミの取材も多く、結構な盛り上がりで、下記のとおり「リトルKuwajima」チームが優勝しました。
 この大会のエキビションには、メドケ市長をはじめとするリューネブルク・チームも参加し、黒崎のシルヴァーの方々と対戦しました。ボンボンを持った応援団まで現れ気合が入りましたが、女性の選手に日本側がそっと球をぶつけるなど、随所に笑いの渦が湧き起こりました。
戦 績

 リトルKuwajima対板東ファイターズ=26:10
 板東ファイターズ対ジュビロ板東プライマリー=15:18
 リトルKuwajima対ジュビロ板東プライマリー=15:10
 リューネブルク親善使節団対鳴門黒崎=5:13
 

 
 小さなリューネブルクの家々が並んだ「クライン・リューネブルクまちづくり大会」のコンクールには、40ものミニチュアが軒を連ねました。親子がダンボールを使って2ヶ月もかけて作った力作が多く、本物のカーテンの生地を張った窓なども見られ、審査にあたったリューネブルクの方々も、その出来栄えに感心していました。たまたま風が強く作品が倒れそうになるごとに、日独の観客が協力し合って支えあっている姿が印象的でした。主な受賞作品は、次のとおりです。

表彰チーム
 リューネブルク市長賞:CanCanチーム
 リューネブルク独日協会賞:いがちゃん5チーム
 リューネブルク・パレッテ会賞:SAIJO Klinikチーム
 鳴門市長賞:TUBASAチーム
 鳴門市議会議長賞:子どもホリデーフリーパスチーム
 鳴門日独協会賞:頭文字(イニシャル)Kチーム
 鳴門市美術協会賞:草の実学園チーム

 そのほか、当時収容所で演奏された曲を集めた「クラシック・コンサート」、地元の人々による獅子舞や演芸ショーなど、たくさんの方がそれぞれに秋の一日を楽しみました。「シュラークバル大会」「クライン・リューネまちづくり大会」を推進して下さった渡辺さん、戸田さんをはじめ、さまざまな形でご協力くださった皆さん、ほんとうにありがとうございました。


「クライン・リューネ」表彰式


「第1回少年シュラークバル大会」
 
文化審議会、旧「バラッケ」2棟と「船本牧舎」を国の「登録文化財」に答申

 一昨年の2002年の初めに、元板東俘虜収容所の兵舎を移築した建物が相次いで発見され話題になりました。
 1920年1月にドイツ兵が去って後、元収容所跡地は徳島の連隊の射撃訓練場となり、兵舎は兵隊や学生などの宿舎として利用されていました。いつのことかは判りませんが、これらの施設のうち西半分は失われましたが、東半分は太平洋戦争終了後もそのまま残り、戦災者や外地からの引揚者の住宅として利用されました。そこに住んでいた高橋春枝さんらが草に埋もれたドイツ兵の慰霊碑に気づき、長年にわたって献花や清掃に努めたことが、日独交流を深める重要なきっかけとなったことはよく知られています。
 これらの施設も老朽化が進み、1967年から県営住宅の建設が始まりました。それを機会に、残っていた元「バラッケ」の5号棟から8号棟と管理棟が解体され、近くの農家に畜舎などとして引き取られていきました。
 これらの建物のうち主として活用されたのは、「洋小屋トラスト」と呼ばれる梁・合掌・束・方杖を組み合わせた屋根裏の部分です。椎尾谷(しおだに)の安芸さん宅の牛舎を手はじめに、桧の圃山さん、富樫さん、萩原の柿本さん、板東東の舞姫会館など8ヶ所ほどの元「バラッケ」が発見されました。
 関係者の間では、募金を集め「ドイツ村公園」などに復元してはとの声もありましたが、それを成功させるためにもまず文化財としての価値をはっきりさせた方がよいのではとの意見も出されました。県内の文化財保存に努めてこられた建築士の森兼三郎さんに相談したところ、まず国の文化財に登録するのが第一歩とのことでした。本年初めに大麻比古神社裏の「ドイツ橋」が県の文化財に指定されましたが、これと並行して準備を進めることになりました。 その過程で、同じくドイツ兵が残してくれた「ドイツ兵の慰霊碑」や「船本牧舎」も登録してはとの提起もあり検討しましたが、「慰霊碑」は「ドイツ橋」と同じく教育委員会の方から県の指定文化財に申請予定とのことでしたので、「バラッケ」と「船本牧舎」にしぼりました。
 どの「バラッケ」を選ぶかにつきましてもさまざまな意見がありましたが、さしあたり保存状態のよい安芸さん宅と柿本さん宅を申請することにしました。 「船本牧舎」は「再現が容易でない、貴重な農業施設」との高い評価を受けましたが、「バラッケ」につきましても、これを機会に有意義な活用をめざしていきたいと思っています。ご協力くださった森兼さん、安芸さん、柿本さん、船本さんに、あらためてお礼を申し上げます。
 
 
  
安芸宅の「旧バラッケ」の屋根裏部分
「船本牧舎」の内部

「『青島戦俘虜収容所』研究 第2号」刊行

 このたび、昨秋創刊されました「『青島戦ドイツ兵俘虜収容所』研究」の「第2号」が出ました。グループでの参加もあり、寄稿数は12編、寄稿者15名、総ペ−ジ数は前回の倍以上の160ページにもなりました。
 「研究・報告等」と「エッセー等」の2部構成ですが、「第1部」冒頭のギュンターさんの論文は、現存している『徳島新報』『陣営の火』『バラッケ』3誌の比較検討ですが、なぜ『バラッケ』に、所内でもかなりの反響があったと思われる「第九」の初演への論評や、「コスモポリタン」と呼ばれていた板東収容所の分置所居住者についての記述がないのかなど、興味深い分析もあります。
 「ヴィーティングの日記」は、以前に「ルーエ 第9号」で紹介しました「青島戦争」「収容所時代」の部分の全訳で、これまで知られなかった具体的な生活状況をうかがうことができます。 そのほかにも、前回に続いて名古屋収容所での俘虜の動向を追われた校條さん、松山収容所の詳細な日誌を整理してくださった森さん、板東だけで100回も演壇に立ったゾルガー大尉の講演を紹介してくださった高橋さんなど、読み応えのある論文等が並んでいます。
 「第2部」ではことに、篠田さんの祖父ヴァルツァーさんの墓参記が感動的です。
 購入を希望される方は、下記の要領でドイツ館にご連絡ください。
 なお来年からの「日本におけるドイツ年」に向けて本研究会では、全国の方々に呼びかけての「研究・情報交流会」や「シンポジウム」を予定しています。こちらにも、よろしくご協力をお願いいたします。

 
連絡先  鳴門市ドイツ館
     〒779−0225 鳴門市大麻町桧字東山田55−2
     Tel 088-689-0099 Fax 088-689-0909
     E-Mail doitukan@city.naruto.lg.jp
     定価 500円 送料290円
 

新任者紹介
 8月初めからドイツ館勤務の「国際交流員」が、3年間お勤めいただいたローランド・シュルツさんから、マティアス・ヒルシュフェルドさんに代わりました。シュルツさん同様よろしくお付き合いください。ヒルシュフェルドさんにあいさつと、来られてまもなく本館で行われました児童劇団「グリーンソース」公演の感想をお願いしました。


 ごあいさつ
 
マティアス・ヒルシュフェルド(Mattias Hirschfeld)

 「やすらぎ」の読者の皆さん、初めまして。マティアス・ヒルシュフェルドと申します。ドイツのライプツィヒ市から参りました。今年8月からローランド・シュルツさんの後任のJETプログラム国際交流員として、鳴門市ドイツ館に勤めることになりました。ドイツ館を中心に、鳴門市の国際交流のためにがんばりたいと思います。そのためにも、皆様のご協力を大切にしたいと思っています。  鳴門に来る前に、ほぼ6年間ドイツのライプツィヒ大学で勉強しました。専攻は、文化社会学や日本学、音楽学でした。日本は今回が初めてではなく、1999年に東京にあるドイツ学術交流会のオフィスで半年間インターンシップをしましたし、2001年から2002年までの1年間、京都の立命館大学に留学もしました。
 ライプツィヒ大学での卒業論文は「日本における西洋音楽の導入」がテーマで、来年ドイツで出版を予定しています。まだ判らないことが多いのですが、とても興味深いテーマです。このような点でも、日独の音楽史上で重要な意味をもつドイツ館で仕事ができるのは幸せです。
 私の趣味は、スポーツや音楽(合唱)などです。ドイツではバイオリンを学んでいましたので、日本の伝統的な楽器(笙など)を習いたいと思っています。日本で好きなことはたくさんありますが、なかでも温泉・カラオケ・刺身が大好きです。いろいろ迷惑を掛けることもあるかと思いますが、がんばって仕事に取り組んでみます。どうぞよろしくお願いいたします。
 

   
 
 ドイツ館での行事報告と今後の予定
行事報告
  ・特別企画展「日本に残った俘虜のその後−バールト、ボーネル、マイスナーの場合」(8月8日−9月20日)
    :大阪教育大学ドイツ語関係者の方々、旧制浪速高校OBの方、ファン・デア・ラーンさんなどのご協力で、有意義な展示をすることができました。
   ・佐藤育帆リサイタル(7月31日)
   ・劇団「グリーンソース」公演『海辺の鳥たち』(8月22日)
   ・スペス・カルテット・コンサート(8月29日)
   ・西奥章リサイタル(9月26日)
   ・「世界名歌の花束を」:11月14日(日)
 
 『海辺の鳥たち』を見て
  マティアス・ヒルシュフェルド

 8月22日、ドイツ・フランクフルトの劇団「グリーンソース」が、ドイツ館で『海辺の鳥たち』という児童劇を上演し、約60人の児童と保護者が楽しみました。
 ステージにはビーチパラソルと四つのビーチ・チェアが置かれ、そのそばに500キログラムもの砂が積み上げられました。 スーツを着た4人の俳優は、携帯ラジオ、フリーザーバック、水鉄砲、テディベアなどを持って舞台に登場します。
 子どものいるお父さんも出てきますが、お父さんもまた子どもです。ビーチで始めて出会い、たがいに話をし、子どもみたいに一緒に砂の城造りをして遊びます。けんかをしたり、仲直りをしたりもします。2人の父は自分の子どものころを想い出し、子どももお父さんとの間にあった感情的なわだかまりを反省します。
 彼らは子どもみたいに幼稚であり、また大人みたいに尊大でもあります。それが観客を笑わせ、観客に考えさせます。
 せりふがわずかで、歌ったり踊ったり喧嘩したりする役者の活き活きしたしぐさは、日本語のナレーションにも助けられ、子どもたちをにぎやかな笑いの渦に巻き込んでいました。楽しい公演だったと思います。
 
 今後の予定
  ・ 「ドイツ兵俘虜関係者からの寄贈資料展」:10月1日−10日および12月1日(水)−1月30日(日)
  ・ 「リューネブルク パレッテ会絵画展」:11月6日(土)−30日(火)
  ・ドイツのクリスマス・マーケット:11月21日(日)−12月26日(日)
  ・第8回鳴門マルティグラ:12月4日(土)
  ・第24回鳴門市美術協会歳末チャリティー展:12月18日(土)・19日(日)
  ・リューネブルクの街並み展:12月18日(土)−21日(火)
  ・冬ソナ・コンサート:12月23日(木)
 
編集後記

 催し等に追われ遅くなりましたが、「ルーエ 第10号」をお届けいたします。今回は行事が重なったこともあって、たくさんの方々に写真の提供をお願いしました。
 この8、9月から、「国際交流員」ばかりでなく、ドイツ館勤務の非常勤の女性たちも何人か代わりました。前任者同様、よろしくお願いいたします。なおこの9月初め、大会議室のステレオ・コンポなどをご寄贈下さいました、元市史担当の山口登史雄さんが亡くなられました。心から、お悔やみ申し上げます。
 前回『徳島新報』の解読協力者をご紹介いたしましたが、「宮永義夫」さんのお名前が落ちておりました。お詫びして、追加させていただきます。
 次回は、来年1月1日に「ドイツ語版第4号」を出す予定です。